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Googleの目指す未来都市「スマートシティ」はなぜ「プライバシーの悪夢」と化しつつあるのか?

by Ludovic Bertron

Googleの親会社であるAlphabet傘下の研究所「Sidewalk Labs」は2015年に立ち上げられてから、「生活の質」向上のための都市改革を行ってきました。しかし、カナダで行われているSidewalk Labsの都市計画で、Sidewalk Labsが提案するプライバシーの考え方をめぐり次から次へと委員会の専門家が辞める事態となっています。

Google’s smart city dream is turning into a privacy nightmare
https://www.engadget.com/2018/10/26/sidewalk-labs-ann-cavoukian-smart-city/

Sidewalk Labsは既にカナダ・トロントのスマートシティ化「Sidewalk Toronto」をスタートしており、数年内にはトロント南東部のウォーターフロント地区のうち一部が再開発によって「Quayside(キーサイド)」というコミュニティに生まれ変わる予定です。

Sidewalk Toronto
https://sidewalktoronto.ca/


Sidewalk Labsが関わる前から、トロントでは同地区の開発が予定されていました。オンタリオ州のプライバシー委員会の一員であったAnn Cavoukian氏は、1990年代半ばにエンジニアリングプロセス全体にわたってプライバシーを考慮する「プライバシーバイデザイン」を提唱しており、都市開発はプライバシーバイデザインに基づいて行われてきました。

しかし、Cavoukia氏は2018年10月19日に委員会からの辞任を発表。Cavoukia氏はSidewalk Labsとのミーティングで、「Sidewalk Labsに関係した第三者機関は、プロジェクトで収集された個人特定が可能なデータにアクセスできる」と知らされ、計画を「支持できない」として辞任したとのこと。「苦しい状況でしたが、私はこのプランを受け入れることができませんでした」とCavoukia氏はEngadgetに対して語っています。

Ann Cavoukian, former Ontario privacy commissioner, resigns from Sidewalk Labs - Toronto | Globalnews.ca
https://globalnews.ca/news/4579265/ann-cavoukian-resigns-sidewalk-labs/

'City of surveillance': privacy expert quits Toronto's smart-city project | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2018/oct/23/toronto-smart-city-surveillance-ann-cavoukian-resigns-privacy

2017年にキーサイドの都市計画のパートナーに選ばれてから、Sidewalk LabsはプライバシーバイデザインについてCavoukia氏を含む専門家たちと議論を行ってきたとのこと。トロント市民の中にも広告ビジネスにおけるGoogleの評判から、プライバシー上の問題を懸念している人もいます。


しかし、Sidewalk Labsはそんな中でも計画を進めており、8月には鉄やコンクリートの代わりに木材を使って住宅の建築を行うこと、自動運転車のための新しい道路を作ること、エネルギー使用を目的としたデータの収集のためセンサーを使うこと、環境汚染に歯止めをかけること、交通量を減らし騒音をモニタリングすることなどをアイデアとして出しています。

Alphabet's Sidewalk Labs reveals plan for Quayside in Toronto - Business Insider
https://www.businessinsider.com/alphabets-sidewalk-labs-reveals-plan-for-quayside-in-toronto-2018-8


2018年10月16日にはデータ使用のための新しいモデルが提案されました。この中でSidewalk Labsは「キーサイドの物理的な環境から収集された情報を所有する権利は誰にもない」「都市データは独立した市民データ・トラスト(データ信託機関)の支配下にあるべき」と述べています。この提案によると、Sidewalk Labsや他の会社がキーサイドの市民をトラッキングするハードウェアやサービスを用いる際には、その影響を評価し責任を負うための書類をデータ・トラストに提出しなければなりません。提出されたデータは公開され、自己認証が行われたり即座に承認されたりするものもあれば、専門家によって慎重に検討されるものもあるとのこと。

例えば、公園にビデオカメラを設置する(PDFファイル)場合は個人情報が含まれるため自己認証ではなくデータ・トラストの承認が必要で、「ビデオは公園の改善のため」「データは7日ごとに破棄される」という条件付きになるとみられます。また、カメラの近くに標識を設置したり、カメラの場所を公的に登録する必要性なども検討する必要があります。

Sidewalk Labsは、全ての申請はプライバシーバイデザインに基づくと述べていますが、一方でデータ・トラストはソースが匿名化されない申請であっても承認することができるとしています。しかしCavoukia氏は市民のプライバシーのためにキーサイドのデータは全て匿名化すべきだと主張。非匿名化されないデータを許してしまうと、キーサイドが「埋蔵金」となり、匿名化されないフォームを用いて企業がより多くのデータを得ようと考えることが予想されるためです。

Cavoukia氏によると、Sidewalk Labsは「市民データ・トラストは個人データの非匿名化に関係する決定を含めた幅広い権限を持つとはっきりと言った」とのこと。


「これがもたらす結果について考えてみてください。個人が識別可能なデータが匿名化されていない状態で提供されたとしたら、我々は個人情報の中央データベースを作ることになります。これは誰によって制御されるのでしょうか。データは本人の同意なしに使用され、ハッキングや不正アクセスのリスクにさらされることになります。我々がよく知っているように、既存の暗号化は絶対に確実ではなく、破られ、ウォーターフロント・トロントの市民の個人データが露出する危険性もあります。どうしてこのようなリスクを冒すのでしょうか?」とCavoukian氏は述べています

委員会を離れたCavoukian氏は、Sidewalk Labsを起用したウォーターフロント・トロントの政府機関に対し、Sidewalk Labsの考えを変え匿名化を行うよう圧力をかけています。

なお、キーサイド・プロジェクトを辞めた専門家は、これまでにも存在しました。 TechGirls Canadaを創設したSaadia Muzaffar氏も10月はじめに委員会を辞任。Muzaffar氏はウォーターフロント・トロントが「社会的な信認やソーシャル・ライセンスに関してリーダーシップが全くなく、無関心だった」としており、諮問委員会は「誠実に」行われたものの「データを懸念する市民を軽視していた」と述べました。

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in メモ, Posted by logq_fa

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