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睡眠をもたらす「メラトニン」についてあまり知られていないことまとめ

by Jelleke Vanooteghem

メラトニンは自然な睡眠をもたらすホルモンとして知られていますが、メラトニンがどのような働きをするのか、具体的に知らない人も多いはず。博学者・ブロガーとして活動するスコット・アレキサンダー氏が、メラトニンの効果や適切な服用量、時差ぼけにメラトニンが役立つのかといった一般にあまり知られていない点について説明しています。

Melatonin: Much More Than You Wanted To Know
https://www.lesswrong.com/posts/E4cKD9iTWHaE7f3AJ/melatonin-much-more-than-you-wanted-to-know


メラトニンは松果体と呼ばれる部分から分泌されるホルモンで、概日リズムと同調し、覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを誘う効果があるため「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

通常、目が覚めた時の血中のメラトニン濃度が1日の中で最も低く、1pg/mlほどになります。目覚めから15時間経過したころからメラトニン濃度が10pg/mlほどに上昇しだし、その後も血中のメラトニンは増え続け、60~70pg/mlに達すると眠気がやってきます。メラトニンのピークは午前3時頃だと言われており、午前3時を超えると朝にかけてどんどんメラトニン濃度は低くなっていきます。

一方で、人の眠りには概日リズムだけでなく「Sプロセス」と呼ばれるものが関わっています。Sプロセスは部分的にはアデノシンという分子によって制御され、人に疲れを感じさせます。人が起きている間にはアデノシンが生み出され、眠るとアデノシンが一掃されます。

概日リズムとSプロセスが共に機能することで覚醒と休息がコントロールされますが、時差ぼけや夜型への遷移、薬の使用などによって2つのシステムがそれぞれ別の指示を送ってしまうことがあります。この時、人は朝に疲れを感じたり、夜ベッドに入ってもなかなか眠りにつくことができない、という状況に陥るとのこと。

メラトニンは2つのプロセスの両方に関わっている物質です。Sプロセスにおいては「催眠剤」として関わり、概日リズムにおいては「体が『何時頃に眠ればいいか』を認識すること」に関わっています。

◆1:メラトニンには催眠効果があるのか?
メラトニンに催眠効果があることは、満場一致で認められています。ただし、どれほどの催眠効果があるかということについては意見が分かれるところであり、「非常に弱い」と考えている研究者も。日本では手軽に手に入れることはできませんが、メラトニンのサプリメントがドラッグストアなどで購入できる国もあります。このサプリメントを飲むとどれくらい睡眠に入る時間が早くなるのか?ということを調べた研究では、わずか「10分」という結果も示されています。睡眠導入剤として使われるゾルピデムの3分の1ほどの効力ですが、副作用がずっと少なく、睡眠導入剤としての効果はあると言えるそうです。

◆2:メラトニンの正しい服用量

by freestocks.org

アメリカではメラトニンを10mg含むサプリメントも販売されていますが、メラトニンの正しい服用量は0.3mgとのこと。

メラトニン研究の多くは高齢者を対象にしてものです。高齢者は若い年代の人々よりもメラトニンの生成が少なく、ゆえにメラトニンのサプリメントに対して敏感に反応します。2001年の研究では、3mgのメラトニンを投与された被験者より0.3mgのメラトニンを投与された被験者の方がよく眠れ、副作用も少なかったことが報告されています。メタアナリシスでも0.3mg以上の投与が効果に影響を与えないこと、一方で副作用のリスクが上がることが示されています。

◆3:概日リズム睡眠障害とは?
人が眠りたい、起きたいと思っている時間に概日リズムがマッチしないことを、概日リズム睡眠障害と呼びます。概日リズム睡眠障害を患いやすいのは、まず、メラトニンのサイクルが自然と後ろにずれてしまう10代の少年少女。彼ら、彼女らは深夜になるまで眠る気にならず、朝の遅い時間にならないと起きることができません。体のサイクルが学校というシステムにあっていないため、10代の少年少女は睡眠不足になったり、体が求めていない時間に眠ることで適切な睡眠がとれなかったりします。

大人になってもこのような傾向が続いたり、あるいは悪化したりするようになると、睡眠相後退症候群(DSPS)と呼ばれるようになります。軽度のDSPSは「夜型」と呼ばれますが、重度になると不眠症のような状態になることも。ただし、不眠症は「23時にベッドに向かうも深夜2時まで眠れず寝返りをうち、朝の7時にアラームに起こされる」という状態ですが、DSPSの場合は例え朝何時に起きようとも「午前2時」という決まった時間になれば必ず眠れるようになることが特徴です。

このほかに、DSPSの逆で高齢者に多い睡眠相前進症候群(ASPS)や、入眠時間が毎日1時間ずつ後退していく非24時間睡眠覚醒症候群などもあります。メラトニンはこのような睡眠障害の治療に役立てられます。

例えばDSPSの治療の場合は「起床の9時間後、就寝時間の7時間前にメラトニンを摂取する」「ブルーライトをブロックする」「朝に運動を行う」といった方法が、ASPSの場合は「起床後すぐにメラトニンを摂取する」「ブルーライトをブロックする」「夕方に運動する」という方法が取られるとのこと。

◆4:時差ぼけにメラトニンは使えるか?

by Leio McLaren

これまでに行われた研究では、新しいタイムゾーンで寝る前にメラトニンを0.3mg摂取することが効果的だとされているそうです。ただし、Alexanderさんは「時間が5時間巻き戻る場所に移動することは、10代の少年少女の概日リズムを持つことに等しいから、DSPDの治療法にのっとり起床の9時間後、就寝の5時間前にメラトニンを摂取すべきなのでは?」と疑問を投げかけています。

◆5:メラトニンを取ると変な夢を見るようになるのか?
これはAlexanderさんの経験に基づくもの。ただしハフィントンポストの取材に対しスタンフォード大学の睡眠医学教授であるラファエル・ペラヨ博士は「メラトニンが鮮やかな夢を生み出すとは考えていない」と答えました。睡眠障害に悩む人が薬などを飲むと、レム睡眠の抑制が起こると言われており、逆に薬を止めると悪夢を見たり不眠になったりする「レムリバウンド」が起こると考えられているためです。

◆6:メラトニンは精神状態と関係しているか?

by Pablo Heimplatz

季節性情動障害(SAD)はメラトニンが関係していると考えられている代表的な気分障害です。冬に気分障害が起こりやすくなる原因の1つとして、日の出時間が遅れることで概日リズムにも遅れが生じることが挙げられますが、一方で日没が早まることで概日リズムが早まるともいわれています。この2つの組み合わせで概日リズムが崩れ、気分障害が起こるわけです。

SADの治療の1つとして、DSPDの治療と同様に太陽の光を浴びるというものが存在します。そして、予備的な研究ではあるものの、メラトニンの投与が効果を発揮するとする研究結果も存在するとのこと。ただしSADの場合、概日リズムが前にずれている人と後ろにずれている人が混在しており、間違ったタイミングでメラトニンを投与すると症状が悪化する恐れがある点に注意しなければなりません。また、SADの原因は太陽光の量ではなく概日リズムにあることから、冬ではなく夏に発生することもあるとのことです。

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