メモ

どこでも温かい食事がとれる「加熱できる容器」の歴史


駅弁には加熱式の容器が使用されているものがあります。これは酸化カルシウムを水と反応させることで熱を発生させ、どこでも温かいお弁当が食べられるというもの。こうした「加熱容器」は第二次世界大戦時の兵士の食事にも利用されていました。

Self-heating drinks cans return - here's how they work
https://theconversation.com/self-heating-drinks-cans-return-heres-how-they-work-98476

ノルマンディー上陸作戦において主要な計画の一つはオック岬に設置されている砲を破壊することでしたが、この砲を破壊する際に使用された手りゅう弾は爆発を起こす通常のものではなく、テルミット反応を利用して高熱を発生させるものでした。


テルミット反応は酸化鉄と粉末状のアルミニウムを利用した非常に簡単に利用できる化学反応です。酸化鉄とアルミニウムの混合物は安定しているため取り扱いに気をつける必要がないうえ、マグネシウムリボンなどを使用して点火すると2500℃以上の高熱を発生させながら一気に激しく燃え上がります。反応の様子は以下のムービーよりスローモーションで確認できます。

Thermite reaction in slow-mo - YouTube


テルミット反応は発熱反応の極端な例でしたが、私たちに最も身近な例としては炭素と酸素の反応である燃焼が挙げられます。また、加熱式の駅弁に使用されている酸化カルシウムと水の反応も発熱反応の一例です。こうした発熱反応は第二次世界大戦中の兵士たちの食事にも使用されていました。

兵士たちのスープを詰めていた缶は中央に穴が空いており、中央に燃料となるコルダイトを入れて点火すると5分ほどで温かい食事を用意することができていました。


コルダイトはしばしば爆発を起こすという問題を抱えていたため、別の方法で発熱させる数多くの試みが行われてきました。駅弁に使用されている酸化カルシウムと水の反応は危険性は少ないものの発生する熱量が少なく、液体を40℃まで加熱しようとするとその液体と同量の加熱剤を用意しなければいけません。

現代でもテルミット反応のような効率的に熱を発生させる反応を利用して食品を温めようとしている企業に、発熱缶を開発するHeatGenieがあります。テルミット反応は鉄をも溶かすような高熱を発生させてしまうため、なんとかして温度を下げる必要があります。そこで酸化鉄の代わりに二酸化ケイ素をアルミニウムと反応させることで利用しやすい温度の反応を起こすことができます。

HeatGenieによると発熱部をブロックする「ファイアウォール」や熱を効率的に飲み物に伝える「ヒートシンク」という構造を利用することで、加熱剤を容器の10%だけにして2分でホットコーヒーを作ることができるとのこと。こうした取り組みが評価され、HeatGenieは600万ドル(約6億6000万円)の調達に成功しています。

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