テスラの自動車工場で労働組合の組織化を妨害する動きがあったとして労働者が訴え
テスラの普及価格帯EV「モデル3」の生産問題に少しずつ解消の兆しが見え始めたと言われているフレモント工場で、今度は労働組合を結成しようとする従業員との間で会社との対立が生じていることが明らかになっています。
Tesla, labor officials spar over Fremont factory union drive in hearing - San Francisco Chronicle
https://www.sfchronicle.com/business/article/Tesla-labor-officials-spar-over-Fremont-factory-12985453.php#photo-15383271
この問題は、従業員の代理を務める弁護士が全米労働関係委員会(NLRB)に対して起こした訴えで明らかになったもの。従業員が労働者団体の組織を目指して活動したところ、会社側から圧力をかけられたと主張しています。一方の企業側は、この動きを工場内での組織化を進めるための「宣伝行為」と断じています。テスラのフレモント工場ではすでに1万人を超える従業員が雇用されていますが、これまでのところ労働者団体が結成されるには至っていない状況です。
労働者団体側の弁護士は、テスラは労働者の団結権を認めている憲法に反する活動を行っていると主張しています。弁護士によると、テスラの工場では従業員が工場の駐車場で労働団体結成を呼びかけるビラをまいていたところ、警備員が近寄ってきてその行動を阻止しようとしてきたとのこと。また、組合結成に賛同するTシャツを着用しようとしていた従業員に対し、工場の管理者がこれをやめさせようとしたことも明らかにされています。
工場の労働者で、報道時点では病気療養で勤務から離れているマイケル・サンチェスさんが2017年2月10日、工場の敷地外で団体活動を呼びかけるビラを配っていたところ、警備員が近づいてきたとのこと。サンチェスさんが警備員に「従業員ですか?」と尋ねられたので、「そうです。ここでもう5年働いています」と返答。すると警備員から施設から出ていくように言われたのでサンチェスさんは「私は法的権利にのっとってここにいる」と答えたところ、警備員は一度現場を離れたとのこと。
しかしその直後、複数の警備員がやって来て、サンチェスさんの名札をチェックして写真を撮影。そして再び施設から出るように告げ、さらに「組合に意味はない。加入すべきじゃない」と言ったとのこと。サンチェスさんはこれに対し「それはあなたの見方だ」と答えたそうです。
労働団体「全米自動車労働組合(UAW)」の代理人を務める弁護士のマーゴ・フェインバーグ氏は「私たちはいま、全ての従業員の生活に悪影響を与える強引な反団体活動に直面しています」と述べています。またフェインバーグ氏によると、全従業員に対して求められた新しい守秘義務契約では、勤務以外の時間で報道陣にコメントを求められても対応を禁止する内容が含まれているとのことです。フェインバーグ氏は「彼らは『反テスラ』ではありません。彼らはテスラを信じており、テスラの成功を願っています。求めているのは、公平な扱いを受けるということです」と述べています。
一方、企業側の弁護士であるマーク・ロス氏は「この訴えは全てマスク氏および企業にネガティブな印象を与えるためのインフォマーシャル(キャンペーン)です」と主張しています。この訴えに対する公聴会は2018年6月14日まで開かれ、その後9月24日に再開される予定となっているとのことです。
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