「仕事の有無に関係なく政府は住民にベーシックインカムを与えるべき」とリチャード・ブランソンが語る

住民に対して一定の条件あるいは完全に無条件で一定額を手渡す「ベーシックインカム」の社会実験が世界各地で実施されています。そんな中で、ベーシックインカム推進派の一人として知られるリチャード・ブランソン氏がCNNの取材に対して、「仕事の有無に関係なく政府は住民にユニバーサル・ベーシックインカムを与えるべき」と話しています。

Richard Branson: Universal basic income is coming - Feb. 15, 2018
http://money.cnn.com/2018/02/15/news/companies/richard-branson-basic-income/index.html

ブランソン氏は、CNNのキャスターでジャーナリストのクリスティン・ローマンズ氏とのインタビューの中でベーシックインカムについて語っています。ベーシックインカムの必要性について尋ねられたブランソン氏は、「人工知能(AI)の進化に伴って、人々の収入に不公平性が生じる危険がある」と語り、近い将来において大きく収入の在り方が変わることを示唆します。

その未来が到来することについて「疑問の余地はない」とするブランソン氏は、新しい仕事を作り出す必要性を説くと同時に、全ての市民に最低限の収入を保障する「ユニバーサル･ベーシックインカム」の制度を導入すべきだと語っています。

ここでローマンズ氏に「アメリカではそのような方法をとることは過保護であるという見方もありますが」と尋ねられたブランソン氏は、「そういうふうに言う人もいるでしょうが、それは必要に迫られて起こるでしょう」と、ベーシックインカムの導入は必然的に起こるものであるという見方を示します。

その上でブランソン氏は、政府がベーシックインカム制度の実験を進め、どのような変化が生じるのかを見るべきだと語ります。その例の1つとしてブランソン氏が挙げているのが、アメリカで広がりを見せているマリファナ(大麻)の合法化の動きです。当初は医療用の大麻の認可から始まり、次第に嗜好用の大麻を認める州が増加しているのですが、ブランソン氏は「実際に大麻の使用が爆発的に広がったことはない」とし、一方で税収が増えたメリットを挙げています。

これと同じことをベーシックインカムでも実施すべきだというのが、今回のブランソン氏の発言です。「ベーシックインカム制度を導入することで人々の勤労意欲が失われるのでは」という社会の疑問が、実際にはどのような形として現れるのか、まずは自治体レベルでの実験を繰り返すことで、その有効性を確かめて本格的な導入を進めるべきだとブランソン氏は語っています。

ブランソン氏が語っているベーシックインカムの社会実験は、すでに世界各地で実施が進んでおり、おおむね前向きな結果が明らかになっている模様。フィンランドでは、失業者を対象に毎月560ユーロ(約7万円)を支給するという大規模実験が行われた結果、「ベーシックインカム制度のおかげで、より安定した職探しができた」というよい結果が現れていることが判明しています。

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また別の実験では、ベーシックインカムによって労働意欲が減退する効果が認められないという結果も判明しています。

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