ハードウェア

DJI製ドローンのジオフェンス機能を無効化するハードウェアとソフトウェアをロシアのハッカーが作製


DJI製のドローンには、空港や政府機関などの飛行禁止区域にドローンが入り込んでしまわないためのGPS機能「ジオフェンス」や高度・速度制限などの安全機能が搭載されているのですが、この機能をバイパスしてしまうハードウェアおよびソフトウェアのModをロシアのハッカー企業が開発しています。

Drone Pilots Are Buying Russian Software to Hack Their Way Past DJI's No Fly Zones - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/8x9jv4/drone-pilots-are-buying-russian-software-to-hack-their-way-past-djis-no-fly-zones

このハッキングツールを販売しているのはロシアに拠点を置き、皮肉にも名称が「CopterSafe」という企業。同社では、DJI製のドローン「Phantom」シリーズや「Spark」に装着するハードウェアや、ソフトウェアそのものに手を加えるプログラムを使うことで各種安全機能を無効化してしまう製品をオンラインで販売しています。


近年販売されているDJI製のドローンには、本体に搭載されたGPSセンサーと制御用ソフトウェアを使って特定のエリアに近づけないようにする「ジオフェンス」機能や、運動性能に一定の制限を加えることで予期せぬ事故を防止する速度リミッターといった機能が搭載されています。例えば、多くの飛行機が離発着する離着陸する空港周辺や発電所などの重要インフラ、そして政府関連施設などへの接近をソフトとハードの両面で防止することで、誤操作による事故の発生や、さらにはテロリストの攻撃手段として悪用されることを防いでいます。

そんな安全機能を無効化して自由にドローンを飛べるようにしてしまうのがCopterSafeの改造キットというわけです。商品は、ドローン本体に追加する基板とソフトウェアのタイプが販売されており、300ドルから500ドル程度(約3万3000円~約5万5000円)の価格で販売されています。


CopterSafeの広報担当者は「DJIの安全機能はとても良い機能です」と語ったうえで、「しかし、時には地方ごとの実情に合っていないことがあります」と語っています。この人物が語ったところによると、ある空撮会社がロケを実行しようとした時に、地方機関の許可を受けていたにもかかわらずジオフェンス機能の制限により撮影を実施できなかったという実例があるとのこと。DJIではこのような場合に手続きを踏めば制限を解除できる対応を提供しているとのことですが、それを使わずに本体をいじってしまえ、というのがこのMODの狙いである模様。

スマートフォンの「脱獄」をはじめとして、ソフトウェアで制御される機器には必ずと言って良いほどその抜け道を見つけ出そうとする人が出現するもので、ドローンに関するディスカッションが交わされているあるFacebookのグループでは、「コード(プログラム)が支配する世界においては、コードをいじれる者が多少のお金を手にすることができる」という意見も投稿されています。

実際にこのMODを使って空港で撮影されたとみられるムービーをCopterSafeが公開しています。滑走路に向けて移動中の旅客機を空港上空から捉えたもので、一度でもドローンを飛ばして失敗したことがある人なら思わず「これ、ここで墜落させたら大変だろ……」と汗が出てしまいそうなシチュエーションでの撮影となっています。

https://www.instagram.com/p/BUWkNQSBwXy/
INSPIRE 2 shooting at Tallinn airport with coptersafe mod

CopterSafeさんの投稿 2017年5月22日


CopterSafeはこれらの機器やソフトウェアについて「完全に合法である」としていますが、一方のDJIはこのような製品に対しては厳しい見方を示しており、「これらの機能を無効化することで他の機能も影響を受け、予測できない出来事につながる可能性があります」と警鐘を鳴らしています。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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