ソニーが「遊び×ロボット」のコンセプトで生み出したプログラミング工作キット「toio(トイオ)」
東京おもちゃショー2017で、ソニーがトイ・プラットフォーム「toio」を発表しました。「遊び×ロボット」というテーマで、小さな「キューブ」にプログラムを読み込ませることで、愛らしい動きを作り出せるプログラム教育にも使えそうな製品になっています。
トイ・プラットフォーム「toio™」 | First Flight
https://first-flight.sony.com/pj/toio
「toio」と書かれたブース。
ソニーがトイ・プラットフォームとして発表した「toio(トイオ)」という製品です。
人だかりができるほど注目を集めていました。
小さなブロック状の「キューブ」にプログラムを読み込ませれば動き出すとのこと。
toioはこのような部品から成り立っています。
本体となる「toioコンソール」。中央に挿さっているのはダミーカートリッジ。ゲーム機のようにカートリッジを差し替えてさまざまな遊び方が楽しめます。
iPhone 6sと比べるとこれくらいの大きさ。角のない丸みを帯びたデザインは、小さな子どもも楽しむからこそのデザイン。
これが「toioコアキューブ」(キューブ)と呼ばれる動く物体。プログラムを読み込ませればキューブの動きは自由自在。アイデア次第でさまざまな動きを楽しめるとのこと。
キューブの天面の突起は、他の「おもちゃ」をドッキングさせるためのもの。例えばレゴを合体させれば「動くレゴ」を作れるというわけです。
底面は2輪と支点となる突起の3点で支える構造で、モーターを内蔵しており動き回ることができます。左上の黒い部分がセンサーで右上には充電用の端子を搭載しています。
キューブを操作するのはドーナツのような丸いコントローラー「toioリング」。中には加速度センサーを内蔵しており、揺すったり傾けたりといった操作を認識できます。左手・右手を問わず操作でき、ボタンも押しやすいように人間工学に基づいてデザインされています。
toioリングは机に置いてたたくように操作したり……
ハンドルのように両手で握って使ったりと、使い方も自由自在。コントローラーの使い方自体に大きな自由度を持たせています。
親指で操作するボタン1
グリップ部分と反対の場所にもボタン2とボタン3の2つのボタン。
親指で押すボタン4
toioロゴがホームボタンになっています。
そして、ソニーらしい「ジョグ」ダイヤル。
リングの側面にインジケーター。
toioコンソールの天面のディスプレイはあえて白黒。あくまでキューブの状態を伝えるモニターとしての機能を果たすものだとのこと。
カートリッジの横にはスピーカー。
コントローラーは脱着可能で2つ搭載しています。
キューブを充電するくぼみ。
toioコンソールの手前側にボリュームボタンと……
電源スイッチがあります。
なお、拡張用にUSBポートも搭載。
試作機はMicro-USBポートでしたが、抜き差しのやりやすさと安全性から製品ではACジャックになる予定だそうです。
ということで、toioでどのような遊びができるのか、デモを行ってもらいました。
説明してくれるのはtoioの開発者でソニーコンピューターサイエンス研究所のアンドレ・アレクシーさん。
まずはtoioコンソールにカートリッジを挿し込みます。カートリッジには、toioにさまざまな動きをさせるプログラムが入っています。
そして、2つのキューブ。
キューブは「位置」「向き」「時間」の3要素からあらゆる動きを作り出せるとのこと。テーブルの上に置かれたマットのすべての地点の位置情報をキューブは読み取ることで、自分がどこにいるのかを正確に把握できるのがキューブの大きな技術的利点だとのこと。
キューブをプログラムした「めだま生物」の動きを見れば、toioの生み出す「遊び」の可能性を一発で理解できます。
狙った獲物は逃がさない、トイ・プラットフォームtoioの「めだま生物」がかわいすぎる - YouTube
工作絵本「ゲズンロイドの作り方」というガイドブック。この絵本の中に各種プログラムが用意されてます。
遊び方は、「好きな物をえらぶ」→「工作する」→「動きのプログラムを注入する」→「マットの上で遊ぶ」という流れ。
工作で作った目玉をキューブに取り付けます。接着剤などは不要で、ブロックの突起で取り付け可能。
めだま生物を、絵本の黒いプログラム読み込みシートの上に置けば、プログラムが読み込まれます。
めだま生物の前に、もう一つのキューブを置いてみます。めだま生物にとっては「エサ」だとのこと。
めだま生物は、獲物から目を離しません。素早く左右に動かしても、しっかりとキューブを追いかけます。
さっと目の前からエサを取り上げるという意地悪をすると……
キョロキョロと辺りを見回しながら動き回ります。カワイイ……。
後ろにキューブを戻しても、すぐにエサを発見します。
じっと獲物を見つめるめだま生物。めだま生物はシャイなので、目が合っている状態だと見つめているだけ。
エサが背中を見せると……
千載一遇のチャンスに身震いをした後、猛然と襲いかかりました。
あまりに激しいアタックでエサがこちら向きになると、また見つめるのみ。
このめだま生物とエサとなるキューブの動きは、なんとほとんど擬似的なもの。実際に物理的な衝突をしているわけではなく、それぞれが位置を把握して、ダイナミックな動きを作り出しているとのこと。例えば、エサの後ろに十分なスペースがあれば、攻撃を受けたエサ・ブロックは後ろにはじかれるような動きを見せます。
ところが、後ろに十分なスペースがなく、マットから落っこちてしまいそうな場合は、アタックにも負けず受け止めます。それぞれのキューブが位置・時間・向きを把握することで、愛らしくリアルな動きを作り出すというわけです。
なお、プログラム次第では、物理的に接触して相手を吹っ飛ばす、というのも当然OKです。土俵に見立てた円盤状のマットで相手を落っことす相撲ごっこをするのもアリ。
キューブの上に好きなおもちゃをくっつければ、自分でロボットを作り出せます。おもちゃを手にとって「空想の世界」で対戦していた戦いごっこ遊びは、toioでプログラムすれば「リアルなファイト」に変身させられるというわけです。
愛機を操縦するのはtoioリング。
リアル世界で戦いごっこをする様子は以下のムービーで確認できます。
トイ・プラットフォーム「toio」で好きなキャラを操って、リアルな世界で戦いごっこ - YouTube
toioリングの使い方は非常に自由。プログラム次第では、ブレスレットのようにして使うのもアリかもしれません。なお、toioリングのワイヤレス化の予定を聞くと、コストアップのため今回は見送ったそうですが技術的には可能だとのこと。要望次第では追加されるかもしれません。
アレクシーさんによると、toioの構想自体は5年前に誕生していたとのこと。プログラムで自由にキューブを動かす方法を作り出すのが難しく、4年前にはマットの上に複数台のカメラを取り付けて、動きをトラッキングするような試作がされていたそうです。アイデアを実現するための技術的ハードルを越えるためには時間が必要だったとのことですが、マットとセンサーを使って「位置」「向き」「時間」のパラメーターを操作するという現在のモデルについにたどり着き、製品化することができたそうです。
toioが教育ツールとして優れているのは、考えたアイデアを即座に試して、試行錯誤を繰り返せるところだとのこと。toioコンソールやtoioリングなどはあくまでサブの役割で、実際にキューブ本体に手を触れて、自分でゴール(目標)を決めて、それに合わせたプログラムを考えることこそがtoioの意義だというわけです。
toioを使えば、単純な動きでも愛らしい尺取り虫型ロボット「シャクトリー」に変身させることが可能。
キューブを自由にプログラムできるトイ・プラットフォーム「toio」でかわいく動く尺取り虫を再現した「シャクトリー」 - YouTube
シャクトリーは、デザインを変えればまったく違った動きを見せてくれます。
トイ・プラットフォーム「toio」のシャクトリーを改良して不思議な動きの生き物に変身させる - YouTube
トイ・プラットフォーム「toio」は、プラットフォームとしておもちゃの基盤を下支えする存在でありたいとのこと。このため、すでにレゴとコラボレートしてレゴ・キューブを作るなど、他社と協力したさまざまな構想があるとのこと。コラボ次第では、大好きなキャラクターが動き出す日がくるかもしれません。
トイ・プラットフォーム「toio」は、toioコンソール・toioリング・toioコアキューブがセットで2万円前後で2017年12月1日に発売予定。
プログラムも多数用意され、記事内の「工作生物ゲズンロイド」は4000円前後となる予定です。
toio 「工作生物 ゲズンロイド」紹介動画 - YouTube
なお、toioの発表と同時にソニーのECサイト「First Flight」で予約販売が始まりましたが、記事作成時点では初回限定の「全部セット」(税込2万5855円)、「基本セット」(税込2万1557円)は売り切れとなっています。
トイ・プラットフォーム「toio™」 | First Flight
https://first-flight.sony.com/pj/toio
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