現状から抜け出せなくなったり無謀な行いをする前に「決断疲れ」をなくす方法
by Finn Frode
重要な決断やタスクは、疲れきってしまう1日の終わりに行うよりも朝起きて最初の3時間に行うのがよいと言われることがあります。とはいえ、全ての決断を午前中に行うのは難しいということで、「決断疲れ」の状態を起こさずに決断を行えるようになる方法「VARY」について、ビジネススクールの教授が解説しています。
Fighting Decision Fatigue - YouTube
人は1日に何百という「決断」を下しています。
その決断は「お昼に何を食べよう」「スマートフォンの着信音を何にしよう」という軽いものから、「どの大学に行こう」「どの家を買おう」という大きなものまで、さまざま。
しかし、これまでの研究で、人間が1日に下せる決断には限りがあることがわかっています。そのため、1日中決断を下してばかりいると、人は疲弊してしまうとのこと。
人が決断疲れの状態に陥ってしまうと、自制心が失われ、無謀な決断を下してしまったり……
精神的に閉ざされてしまい、現状を受け入れているわけではないのに行動を起こさなくなります。
そこで、決断疲れを避ける方法としてメリーランド大学のNicole M. Coomber教授が作り出したのが「VARY」と呼ばれるもの。VARYは「Values(価値)」「Automation(自動化)」「Rational Decision Making(理性的な決断)」「Intuition(直感)」の頭文字を取ったものです。
まず、「Values(価値)」から見ていきます。人はそれぞれの価値観を持っているので、自分にとって何が大切なのかは人によって異なります。そのため、ある人の「最善の決断」は必ずしも別の人の「最善の決断」とは一致しません。
そのため、何かを決断する時には2つのバケツを思い浮かべましょう。1つ目のバケツは「家族の幸せ」「金銭的な安心」「社会的正義」というような、自分が最終的に目指すべき価値観が入っています。
そして、もう1つのバケツには「手段としての価値」が入っています。このバケツには、誠実さ・公平さ・信頼性・親切さなど、上記で描いた最終的な結果を出すために私たちが行う「自分の振るまい」が入っています。この2つのバケツが、自分が決断を行う上での基準となっていくわけです。
自分の価値観をハッキリさせたら、次に、が行う決断のうち自動化できるものは何かを考えます。
重要でない決断をアウトソーシングして誰かに任せることはもちろん、重要な決断の中にも自動化できるものがあります。
これはたとえば「給与のうち10%は明細を見るよりも前に退職後の貯蓄に回す」「家族と食事するために退勤するときアラームを鳴らす」「『何を食べるのか?』をいちいち決断することなくダイエットやエクササイズをする」ということ。成功者たちは、これらの事柄について気を悩ませることなく実行しています。そして、そのカギは「習慣化」にあります。習慣化することで、「自制心を働かせてその都度決定を下す」前に「もうやり終えている」という状態にできるというわけです。
もちろん、全ての決断が自動化できるわけではありません。
自動的な決断ができない、複雑な事柄に対しては、「理性的な決断」というアプローチを行います。
これはまず、最初に考えた「価値観」を思い浮かべ、選択肢をリスト化し、選択肢を評価するための基準を設けます。そして、基準に照らし合わせて選択肢に順位を割り振っていきます。この方法によって、合理的に順位付けされた選択肢を元に、理性的な決断が下せるのです。
ただし、ある種の決断は、データをスプレッドシートに入力するよりも重要視されることがあります。
それが「直感」。理性的な決断を全て投げうってしまう必要はありませんが、自分の感情や仮説など、物事の全体的な関係を概観して、決断を下すことが重要になります。
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