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重力操作で猫が壁を走ったり水が天井に流れる奇妙な部屋のムービーはどうやって撮影されたのか?


物体が物体を引き寄せる力が「重力」で、地球上では地球が地上の物体を引っ張ることで下向きの力が働いています。「もしも重力の働く方向が変化したら?」というコンセプトのもと、1匹の子猫が部屋の中の重力をコロコロ変化させてしまい、天井や壁が足元にきたり水が天井に流れていったりと普通では考えられない不思議でどこかワクワクするような出来事が連続するムービーが「GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編」です。メイキングムービーも公開されており、合わせて見ると「なるほどこの場面はこうやって撮影していたのか……!」と目から鱗な内容になっています。

本編ムービーは以下から見ることができます。

#重力猫『GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編』presented by GRAVITY DAZE 2 - YouTube


「1665年。ニュートンは、木から落ちるリンゴから重力理論を発想。」


「その350年後、東京。」


「ニュートン理論と重力」というタイトルで卒業論文を作成しているところからムービーはスタート。


ムービーは卒業論文を書いている女の子の目線で進んでいきます。


ノートPCを使っているところに子猫がやってきてタイピングの邪魔をするので遊んでいると……


部屋に妹が入ってきました。


卒論がなかなか進まないことについて、「お姉ちゃんは常識にとらわれすぎなんじゃない?」と妹に痛いところを突かれます。


続いて、「ゴトッ」と音が鳴るのでその場へ急行してみると、牛乳パックが悲惨なことに……。


犯人はもちろんこの子。


こぼした牛乳を片付けようと机の上に子猫を置いたところ……


ビュッと高速移動して……


壁に張り付きました。そのまま、まるで壁が床になったかのように動き回る子猫。


異常事態発生でパニックになる姉は妹を呼び……


妹もこの驚きよう。


そのまま子猫は壁や窓の上をテクテク歩き……


カーテンの中に消えてしまいます。


慌てて子猫を探す2人。


2人のあわてふためきぶりをよそに、子猫は天井をテクテク。


「ムービー撮ってムービー!」と、妹にせかされ……


スマートフォンのもとへ直行する姉。


カメラを起動すると、天井の子猫を何とか捕まえようと奮闘する妹の姿が写ります。


ググッとズームにするとこんな感じ。


ムービーを撮っていると突如「ゴゴゴゴ……」という音と共に周囲が揺れ始め……


なんと部屋が傾き始めます。


壁にかけられていた衣類などはすべて宙ぶらりん状態に。


もはや床ではなく壁に立っている状態になってしまいます。


しかし、窓の外に見える景色は何の変化もないので、部屋の中でだけ何かトンデモナイ事態が起きているようです。


さらに重力が働く方向が変わっていき……


とうとう部屋の天井に立ってしまうという、天地がひっくり返った状態に。


そんなこんなでようやく子猫を確保します。


人騒がせな子猫ですが、愛くるしい表情を向けられると責める気持ちになれません。


一段落かと思いきや、次は「ジジジ」という音と共に変なニオイが充満。天井に落ちてきた家電から火が出ているようです。


さらに火災報知器が煙を探知し、天井のスプリンクラーが作動。天井が足元に来ているので、まるで冬の融雪用散水スプリンクラーのように下から水が噴き出します。


火を消すために天井にあるシンクから水を流しますが、水は天井へ流れて行ってしまうので……


こんな感じで水をコップに入れます。


火元に水をかけようとしますが、コップに入れた水も天井へ流れてしまいます。部屋の中の重力がメチャクチャになってしまっていることがよくわかるシーンです。


タオルでなんとか消火に成功したものの……


再び重力が働く方向が変化し、妹は天井の上をスライドしていきます。


そして窓の上に立つことになってしまった妹。


その頭上には本棚があり……


本がバサバサッと落ちてきて……


窓ガラスが割れて外に放り出されてしまいます。


姉も一緒に外に飛び出してしまい……


どの方向に重力がかかっているのかもわからない状態のまま妹&子猫に遭遇。


「Play with Gravity」


というわけで、これはプレイヤーが自由に重力の働く方向を変え、壁や天井を縦横無尽に動き回ることや「空に落ちる」ことができるゲーム「GRAVITY DAZE」の続編となる「GRAVITY DAZE 2」のプロモーションムービーなのでした。同シリーズをプレイしたことのある人なら重力が働く方向に姉妹が落ちていく様子がGRAVITY DAZEと非常に似通っているのがよくわかるかも。


「あなたは、この世界の常識から自由になれる。」


場面は変わり、再び卒業論文をPCで書いているところ。


またしても子猫の邪魔が入ります。


ムービー本編は全編姉視点でストーリーが進行していくのですが、エピローグでは姉の顔が普通に映ります。


お騒がせな子猫と一緒に作業……


と思いきや、なんと天井で作業中ということで、子猫の重力操作能力にすっかり慣れきってしまったようです。


そして最後は卒業論文の名前を「Newton's Law of Grabity(ニュートンの重力理論)」から「Mewton's Law of Grabity(ニャートンの重力理論)」に変えてムービーは終了。


このムービーでは重力の方向がぐるぐる変わって部屋の中のものがバラバラ落ちてきたりニャートンが壁や天井を走り回ったりするのですが、それをどのように撮影したのかがわかるメイキングムービーも公開されています。メイキングムービーもとても興味深い内容になっており、これを見れば本編ムービーを3倍楽しく見られる、という内容になっています。

#重力猫『The Making of GRAVITY CAT - Behind the Scenes - 』 presented by GRAVITY DAZE 2 - YouTube


複数人のスタッフにより何やら巨大なセットが準備されています。


準備していたセットはコレ。


この撮影には3つの挑戦があったそうで、挑戦のひとつ目は【主観ワンカット】での撮影であったという点。


2つ目は【子猫の撮影】を行うという点。


絵コンテ通りに子猫を動かすのが難しいであろうことは明らかです。


3つ目の挑戦は【重力変化の表現】という最も大きな課題。


重力が変化することで猫が壁を走ったり……


部屋の壁や天井に立ったりする様子を、どのように表現するのでしょうか?


「この3つの挑戦を同時に実現するため、事前シミュレーションを様々な方法で実施。」


手作りの模型を使って撮影シーンをシミュレーション


模型を用いたシミュレーションと……


CGを用いたデジタル上でのシミュレーションの2つも行われ……


さらにはテスト撮影も行っています。


そして撮影本番。妹役は乃木坂46の伊藤万理華さん。


姉役は女優の高田静流さんが演じています。


というわけでさっそく【主観撮影】の様子がスタート。


姉役の高田さん目線で物語を展開していくため、なんと以下のように演技中の高田さんの顔の真横でカメラを構えて撮影が行われていました。


演技に合わせてカメラも上下左右に動きます。


高田さんが天井を見上げればカメラもそれに合わせて上を向き……


撮影時以外もカメラマンと高田さんの2人で入念なカメラワークの確認作業が行われていました。


続いて【子猫の撮影】


これは子猫が窓の上を走ってカーテンの中に姿を消すシーン。カーテン下に子猫を誘導するために棒の先っぽにエサをつけて音を鳴らしていますが……


カーテンの上を歩いてしまったりと、何度もリテイクされたことがうかがえます。


姉役の高田さんの邪魔をするシーンでも……


PCを華麗にスルーされています。


「大変だニャー」といった表情の伊藤さんもパシャリ。


「そして、【重力変化の表現】に挑戦する。」シーンがやってきます。


黄緑色のシートと、何かの骨組みのようなものが置かれたスペース。


これらを組み立てて完成したのが名付けて「重力変化装置」。


以下のように、セットとして作り上げたひとつの部屋を丸ごとグルグル回転させることで重力変化を表現します。


遠目で見るとかなり巨大なセットであることがわかります。


中に人を入れたままグールグル。これまで体験したことのない「壁立ち」や「天井立ち」に興奮するスタッフたち。


姉役の高田さんもこれまで見たことのない動きをする部屋に興味津々の様子。


実際に体験したことのない動きを演じるため、かなり入念にグルグル回転する部屋の中で動きをチェックしている……はずですがその様子はどこか楽しそう。


壁や天井を少しずつ動いていく練習(?)をしているようにも見えます。


カメラマンはこの部屋の中をカメラで撮影しながら動き回る必要があるわけですが、自身の足元を確認することはできないのでかなり入念に動き方や撮影ポイントをチェックしています。


部屋の回転と共にカーテンや紙がバサッと散乱します。


そんなこんなで完成した「完成シーン」は……


こんな感じ。画面の左上には重力変化装置が映し出されており、重力変化装置が回転すると部屋の中も回転していることがよくわかります。


部屋にかかった衣類もびろーんと垂れ下がりますが、これらはCGではなく全て実写で撮影したようです。


妹役の伊藤さんの動きも全てが全て演技というわけではなく、実際に部屋が回転しているからこそ出せるリアリティなのかも。


ただし、部屋から見える外の景色は合成で、クロマキー合成のためにセットの下に黄緑色のシートが敷かれたようです。


天井に立つ頃には重力変化装置が180度回転しているのがよくわかります。


撮影した映像をPCでチェック。


撮影も終了間近となり、部屋の中から放り出されるシーンの撮影も終わり……


ラストカットの撮影も無事終了。


というわけで、「主観ワンカット」「子猫の撮影」「重力変化の表現」という3つの挑戦をクリアしたことで「GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編」が撮影できたことがよくわかるメイキングムービーとなっているのでした。

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in 動画,   ゲーム, Posted by logu_ii

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