FBI対AppleのiPhoneロック解除問題で一躍有名となった世界最高レベルのスマホ・クラック集団「Cellebrite」とは？

iPhoneのロック解除を巡るFBIとAppleとの攻防の中、FBIに協力しiPhoneのロックを解除したとして一躍注目を浴びたイスラエルの企業Cellebrite。そのCellebriteをAFPが取材して、なかなか内部をうかがい知れない「世界で最も高い技術力を持つ集団」の姿が明らかになっています。

Israeli firm can steal phone data in seconds
http://phys.org/news/2016-11-israeli-firm-seconds.html

イスラエルに拠点を置くCellebriteは、世界115カ国の団体と取引があり、政府関係機関が主要な顧客です。知る人ぞ知る技術者集団だったCellebriteの名前を世界にとどろかせることになったのは、言わずと知れたAppleとFBIによるiPhoneのロック解除問題です。

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CellebriteがiPhoneのロックを解除したという噂は、一躍、高い技術力をもつCellebriteを有名にしました。ちなみに、Cellebriteは一貫してFBIに調査協力したのかについてのコメントを拒否しています。

FBIの要請に応じてiPhoneの解除を行ったかどうかに関わらず、Cellebriteがスマートフォンのクラッキング技術において世界最高レベルであることは自他共に認めるところ。Cellebrite幹部のリーオ・ベン・ペレツ氏はAFPの取材に対して、「我が社はスマートフォンのロック解除において世界で最も優れた技術集団の一つです」と述べています。

Cellebriteが得意としているのはオンラインでのハッキングではなく、物理的なスマートフォンを前にしてクラッキングを行う手法です。スマートフォンに特別なPCを接続することで、あらゆるロックを解除してしまいます。

なお、Cellebriteの技術者はAFPの前で、わずか数秒でロックされたスマートフォン内からデータを取り出してみせたとのこと。また、LGのG4を使ったロック解除デモでは、ロックされたスマートフォンから写真を取りだして、撮影された日時と場所をすぐさま表示したそうです。

Cellebriteの研究所には1万5000種類のスマートフォンが実験用機器として備えられており、毎月150から200機の新機種が追加されているとのこと。250人いる技術者は互いに競い合うようにスマートフォンのロック解除にチャレンジし、たいていのモデルは数日から遅くとも数カ月でクラックする手法が確立されるそうです。

ペレツ氏は「市場にクラックできないスマートフォンはない」と述べています。それは最新のiPhoneであっても同様で、技術的なハードルは時間と共に難しくなっていることは認めつつも、Cellebriteのスマートフォンクラッキング技術には自信を持っていることを明らかにしています。

なお、「スマートフォンでフォーマット(初期化)操作を行ったとしても、表面的にはデータが削除されたように見えるものの、多くのデータは依然として端末内に残っているものです」とペレツ氏は述べています。この事実が、FBIや警察、法執行機関がCellebriteにスマートフォンを持ち込む大きな要因になっていると言えそうです。

スマートフォンという"個人情報の塊"を取り扱うCellebriteのような企業には、プライバシーに配慮し、決して情報を悪用しないというコンプライアンスが求められます。この点についてペレツ氏は、政府関係機関との信頼関係の維持だけでなく、一般市民からの信頼を勝ち取り企業として存続するために、法令遵守の精神を非常に大切にしていると述べています。