AppleはiPhone 7/7Plusのモデムチップの性能を制限している
By Aaron Yoo
iPhone 7/7 PlusのLTEモデムチップは性能の異なるIntel製かQualcomm製のどちらかが採用されていますが、Appleは性能のよいQualcommのチップのダウンロード速度を制限していることが判明しました。
Apple's Chip Choices May Leave Some iPhone Users in Slow Lane - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-11-18/apple-chip-choices-may-leave-some-iphone-users-in-slow-lane
Yes, Apple is limiting some iPhone 7 download speeds. But you probably won't notice. - Recode
http://www.recode.net/2016/11/18/13681324/apple-limiting-some-iphone-7-download-speeds
iPhone 7シリーズのモデムチップにはQualcommの「Snapdragon X12 LTE Modem」とIntelの「XMM 7360」が搭載されており、どちらのチップを搭載するモデルなのかは、購入する通信キャリアによって異なります。そして、モバイル機器の分析会社Twin PrimeとCellular Insightsが2つのチップを調査したところ、性能がほぼ同じだったことがわかっています。
以下はIntelモデルおよびQualcommモデルのiPhone 7と、Qualcommのチップを搭載しているGalaxy S7のダウンロード速度を比較したもの。iPhone 7で比較すると、青いラインのQualcommモデルの方がややダウンロード速度が速いのですが、同じQualcommのチップを搭載しているGalaxy S7は2倍近くのダウンロード速度を記録しています。つまりAppleは、Qualcommのチップの性能を意図的に制限していることを示しているわけです。
これに対してAppleの広報担当であるトルーディ・ミュラー氏は「ワイヤレス業界標準に基づいた厳しいラボテストや、何千時間もの実地テスト、キャリアパートナーによるテストのデータは、iPhone 7のモデルごとにワイヤレスパフォーマンスに大きな違いはないことを示しています」とコメント。
AppleはiPhone 6sシリーズまで、モデムチップに関してはQualcomm単独供給を行っていたのですが、iPhone 7シリーズからIntelを加えた複数供給に切り替えました。これには市場競争の促進によるコストの削減や、部品供給先を多様化させることでリスクを分散する狙いがあったと見られています。複数供給にすることで、搭載モデムチップによって品質に差が出てしまうことが危惧されていたわけですが、Appleは意図的に「2種類のモデムチップを低速度の方に合わせる」という選択をとった模様です。
なお、アメリカでは通信キャリアのAT&Tが販売するiPhone 7シリーズはIntelモデルになり、VerizonだとQualcommモデルになります。日本で供給されているのはQualcommモデルのみとなっています。
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