ポーカーで勝つためにカードが何かを一発で透視するいかさまスマートフォンとは?
お金をかけたポーカーなどのカードゲームでは、チート行為はつきものです。スマートフォンを使った最新のチート端末では、次に引くカードが何かを机の上に置いたスマートフォンが丸裸にする恐ろしい手口を実現してしています。
Full(er) House: Exposing high-end poker cheating devices
https://www.elie.net/blog/security/fuller-house-exposing-high-end-poker-cheating-devices
エリー・ブラズテインさんは、中国のサイトで「いかさまポーカー」用のカード&デバイスがセットで売られているのを見つけました。サイトの表記を見る限り、カードを特殊な端末で読み取ることで、カード情報を不正にゲットできるという内容で、驚くべき事に約5000ユーロ(約56万円)という値付けがされていたとのこと。
値段は高すぎると考えたブラズテインさんでしたが、どのような仕組みでどれくらいの精度なのかを知りたくて、中国にいる知り合いに仲介してもらい、「いかさまポーカーセット」を製造している業者とコンタクトを取ることに成功。価格も1300ドル(約14万円)で直接販売してもらえることになりました。
そして、中国から送られてきたのは特殊なカードセットと1台のスマートフォン。ブラズテインさんは機種の名を明かしていませんが、端末のデザインと「8GBストレージと1GBメモリを持つ」という情報からSamsung製の「Galaxy Core」だと考えられます。
スマートフォンはAndroidがインストールされていましたが、中国バージョンの「Android 4.2.2」カスタムOSが搭載されていたとのこと。そして、各種アプリの中に「Game」といういかさま専用アプリがプリインストールされていました。
Gameアプリを立ち上げると、パスワード入力画面が表示されます。なお、カスタムOSは、ADBサーバーを削除しておりチーティングモードではスクリーンショットを撮影できない仕様に改造されているとのこと。
製造元から知らされたユーザーID・パスワードを入力すると、メイン画面が表示されます。
「Game Hall」では、基本的な操作説明と、端末がサポートするゲームが表示されます。
ポーカーに限られず、数百種類のゲームに対応するとのこと。
専用端末には側面部分にIR LED(赤外線LEDが搭載されています。
赤外カメラで撮影した様子。肉眼ではIR LEDが点灯していても感じることは不可能です。
このIR LEDでカードのエッジ部分の文様を読み取って、カードが何かを"透視"することが可能です。
テーブルの上に無造作に置かれた端末でカード情報を読み取る仕組み。
いかさまポーカーセットでカード情報を読み取る様子は以下のムービーで確認できます。
Poker analyzer basic demo - YouTube
ずらりとならべたカード。もちろんいかさま用のカードです。
カードをシャッフルして……
机の上に置くと……
いかさま端末が「スペードのエース、ダイヤのジャック」と上から2枚分のカードを読み上げました。
カードをめくるとその通り。無造作に置かれたカードの山から、2枚分の種類を見事に読み取ることに成功しています。
いかさまカードは、一見変哲もないトランプに見えます。
しかし、縁の部分にIR LEDでのみ読み止めるコードが刻まれており、積み上げたトランプから情報をゲットできるようになっています。
ムービーでは音声で読み上げさせていましたが、実際のゲームでは画面で情報を表示させます。
なお、ゲームの相手に信頼感を与えるため、トランプは未開封の状態で送られてくるそうです。
ブラズテインさんは端末を分解したところ、内部にIR LEDカメラと専用のカスタムチップが追加されているのが確認されたそうです。
ブラズテイさんによると、いかさま端末はカード側面のコードを素早く読み取りデータを高速に複号化する必要があるため、スピードを重視するためアプリの認識アルゴリズムはC言語で書かれているとのこと。また、カメラ性能の制限のため30センチメートル以内に端末を近づける必要があると注意点を挙げています。
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