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世界一の資産価値&年間収入の金持ちサッカークラブによるスタジアム改修計画がスゴイ


世界で最も価値のあるサッカークラブであり、世界で最も稼いだサッカークラブでもあるのがスペインの首都マドリードを拠点とするレアル・マドリードです。そんなレアル・マドリードが本拠地としている「エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ」は収容人数8万人超の世界でも有数のサッカー専用スタジアムなのですが、開場したのは1947年と約70年前と歴史のあるスタジアムでもあります。そんなエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウをより前衛的で首都マドリードの街の象徴となるような建築物にするべく、改修プロジェクトが進行しています。

The agreement between Real Madrid and the City Council presented to launch the remodelling project of the Santiago Bernabéu | Real Madrid CF
http://www.realmadrid.com/en/news/2016/10/the-agreement-between-real-madrid-and-the-city-council-presented-to-launch-the-remodelling-project-of-the-santiago-bernabeu

◆エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウとは?
エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ(通称、サンティアゴ・ベルナベウ)が開場したのは1947年12月14日で、当初は「ヌエボ・エスタディオ・チャマルティン」という名前のスタジアムでした。その後、1943年から1978年にかけてレアル・マドリードの会長を務め、同クラブを世界的なクラブに押し上げることに尽力したサンティアゴ・ベルナベウ氏の名前から「エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ」という名前に改名されています。

スタジアムの外観はこんな感じ。

By jacinta lluch valero

さらに近くで見るとこう。

By lucianf

スタジアム内の観客席はこんな感じ。開場当時は2万7645人分のシートと4万7500人分の立ち見スペースが存在したのですが、立ち見席の禁止や改築を繰り返し、現在の収容人数は8万1044人となっています。ちなみにガンバ大阪のサッカー専用スタジアムは収容人数が3万9694人なのでちょうど倍くらいの収容能力を持つスタジアムです。

By BruceW.

試合の際にはスタジアムが人で埋まります。

By Juan Jiménez Martínez

サッカースタジアムの建設には莫大な費用がかかるため、スタジアムの所有者は国や市などの自治体であることが多いです。また、スタジアムの所有者がスタジアムを使用するサッカークラブであることもありますが、ネーミングライツ(命名権)を企業に販売することでスタジアムの維持費やクラブの運営費を稼ぐ事例も多数存在します。しかし、レアル・マドリードはそもそもクラブそのものを所有する特定の人物や企業などがおらず、クラブのファン(ソシオ)の所有物であるという特殊な成り立ちで、その「誰にも所有権がない」という部分を大きな誇りとしているところがあるため、スタジアムもネーミングライツを販売せずにクラブの功労者の名前を冠しています。

By lucianf

◆スタジアムの改修プロジェクト
そんなサンティアゴ・ベルナベウの改修プロジェクトが4年以上前からスタートしています。当初は2015年の完成に向けて新スタジアムのデザイン案4件が公開されていました。


そして2014年の1月31日、4つのデザイン案からドイツの設計事務所「GMP Architekten」とスペインの建設会社「L35」によりデザインされた改修デザイン案が採用されることが決定しました。デザイン案の決定時にはレアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が「我々は新たにクラブの歴史を築くという挑戦に立ち向かわなければならない。このスタジアムの中でクラブの歴史の多くが生み出されてきた。そしてマドリードの偉大さは、今後も新スタジアムと共に更に大きくなっていくだろう」とコメントしています。

El Nuevo Estadio Santiago Bernabéu | Real Madrid CF
http://www.realmadrid.com/ja/history/santiago-bernabeu-stadium/future-santiago-bernabeu-stadium


レアルが約550億円のサンチャゴ・ベルナベウ改修計画を発表 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3007623?pid=13035936


2014年に決定したスタジアム改修デザインのイメージ画像が以下のもの。スタジアム全体を包っているのは特殊フィルム製の屋根で、金属を削り出したかのような前衛的な見た目が特徴的です。


クラシカルな外観から前衛的な見た目に変身。


スタジアムの改修費用は4億ユーロ(当時のレートで約550億円)。


改修後のスタジアムには開閉式の屋根が設置されることとなり、サッカー以外のイベントの開催地となることも可能になります。


東側の正面ゲートには大きなスクリーンが設置される予定で、特別な瞬間に外部に向けてスタジアム内部を映し出すことが可能。LEDシステムにより特殊フィルムが振動して新スタジアムが周辺環境とコミュニケーションを取ることを容易にしてくれます。


さらに、スタジアム内にはショッピングゾーンやレストランゾーン、娯楽施設、ホテル、地下駐車場の建築が予定されており、スタジアム内に存在するミュージアムもグレードアップが予定されています。


最終デザイン案を発表した会場には採用されたデザイン案の模型も展示されていました。


最終デザイン案のイメージムービーも公開されており、ムービーを見ると既存のサンティアゴ・ベルナベウの外側に商業施設など用のスペースを構築していく予定であることがわかります。

Así será el 'nuevo Santiago Bernabéu' / The new Santiago Bernabéu stadium - YouTube


しかし、1年後の2015年2月にスタジアムの改修プロジェクトは白紙に戻ります。これは改修計画用にレアル・マドリードとマドリード市が計画していた土地の取引がマドリードの高等裁判所により取り消されたため起こったものと思われます。

レアル、本拠地サンチャゴ・ベルナベウの改修工事が白紙に | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!
http://www.footballchannel.jp/2015/02/11/post71306/


レアル本拠地ベルナベウ、まさかの改築中止…クラブは問題解決へ | サッカーキング
http://www.soccer-king.jp/news/world/esp/20150211/279987.html


さらに1年以上が経過した2016年の10月11日、ようやくレアル・マドリードとマドリード市役所がスタジアムの改修工事および周辺地区の再編計画で合意に達し、ついに改修計画が実行に移される段階にこぎ着けることに成功しています。

サンティアゴ・ベルナベウの改修プロジェクト推進に関するレアル・マドリードと市役所の合意発表 | レアル・マドリードCF
http://www.realmadrid.com/ja/news/2016/10/the-agreement-between-real-madrid-and-the-city-council-presented-to-launch-the-remodelling-project-of-the-santiago-bernabeu


合意と共に公開された改修後のスタジアムのイメージが以下のもの。2014年に公開された改修イメージから大きな変更はないようです。


会見の中でペレス会長は「このスタジアムは経済と観光の両面で起爆剤となり、我々の街のポテンシャルを上げるのに貢献することになる。さらにこの計画はスタジアム周辺の改善も想定している。ここまで114年の歴史の中で、我々はマドリードとマドリード市民の高みに立っていたいと願ってきた。今日から我々は新しい挑戦に向かって行く。それは今後より良いスタジアムを手にし、レアル・マドリード、ファン、この街のためにそれをやって行くということ」と語っています。


ついに改修プロジェクトの合意を発表するペレス会長の様子は以下のムービーでチェックできます。

Florentino Pérez: "Para el madridismo de todo el mundo el Bernabéu es un territorio de emociones" - YouTube


最終的に改修にかかる費用は3億5000万ユーロ(約400億円)から4億ユーロ(約460億円)程度と見積もられており、スペインの石油会社であるCespaがネーミングライツ契約を結ぶ可能性が高いとのこと。なお、改修工事は2017年の夏に再開予定で、再開から2年半以内に全ての計画を完了させる予定とのことです。

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in メモ,   動画,   デザイン, Posted by logu_ii

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