メモ

3600年前のスウェーデンのオノがキプロス産の銅で作られていることを発見、昔から長距離間で貿易が行われていた証拠のひとつに


スウェーデンで発掘された3600年前のオノを分析したところ、オノの原料にスウェーデンからはるか離れたキプロス産の銅が使われていることが判明しました。この発見に伴って、スウェーデンの古代の壁画が、現地で使われていた小舟を描いたものではなく、地中海からスカンジナビア半島へ銅を運ぶための貿易船の絵であることが明らかになっています。

3600-Year-old Swedish Axes Were Made With Copper From Cyprus - Archaeology - Haaretz - Israel News Haaretz.com
http://www.haaretz.com/jewish/archaeology/1.719125


ヨーロッパで発見されている青銅器時代の銅製の道具は、同位体分析により、ほとんどがシチリア島、サルジニア島、イベリア半島、キプロス島原産の銅で作られていることが判明しています。青銅器時代には、採掘された銅は平たい板状に整形され、運搬中に四隅が変形して、なめした牛の皮のような見た目になっていました。以下の写真にうつっている銅の地金(インゴット)はクレタ島で見つかったもので、1枚あたりの重さは37kgもあるとのこと。


クレタ島の銅のインゴットと同様のものが、キプロス島、サルジニア島、ギリシャ本島、クレタ島で膨大な量が発見されています。さらに、14世紀後半にトルコ沿岸で発見された沈没船ウルブルンからも大量の銅が見つかっていて、海中調査の結果、ウルブルンがキプロス原産の銅をおよそ10トンも運搬していたことが判明しています。

沈没船ウルブルンのレプリカが以下のもの。


スウェーデンのゴゼンバーグ大学で考古学を研究しているJohan Ling博士が、スウェーデンで発見された青銅器時代のオノや短剣70本を同位体分析にかけたところ、スウェーデンから遠く離れたキプロス産の銅が短剣に含まれているのが発見されました。

また、スウェーデン国内では、船の絵が描かれた壁面彫刻が大量に見つかっていて、これまでは現地で使われていた小舟の絵だと推測されていました。しかし、今回の発見により、船の絵は貿易船を描いたもので、古代スカンジナビアと地中海で貿易が行われていた証拠であると見られています。

以下の壁画は、スウェーデン南部のボーヒュースレン地方で発見された、紀元前1600年から1400年頃のもの。牛や船が描かれています。


同じくスウェーデン南部のノルショーピングでも、貿易船を描いたと見られる壁面彫刻が見つかっています。


ボーヒュースレンの壁面彫刻の中には、銅のインゴットを描いたと見られる彫刻も見つかっています(画像下部)。当時スカンジナビアでは銅が非常に貴重で、一方でミケーネ文明や有史以前の中東地域では、琥珀が黄金と同じくらい大切にされていたため、スカンジナビア産の琥珀と地中海の銅が物々交換されていたと考古学者は推測しています。Ling博士は、「キプロス島の銅はヨーロッパへあまり大量に輸出されておらず、当時の通商路を経由して少量の銅がスカンジナビアへもたらされていたようです」と語っています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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