ハードウェア

60GHzの超高速モバイルネットワーク「Terragraph」など、都会&郊外向けに高速通信環境をFacebookが構築中


Facebookのビジネスモデルは世界中の人がSNSを利用することで収益が上がる構造であるため、世界中の人がインターネットを使える環境作りこそが、ビジネスを拡大する有効な先行投資となり得ます。Facebookは誰もが高速のインターネット通信を利用できるようにするために、都会向けの60GHzのノード型モバイル通信システム「Terragraph」と、ネットインフラが整わない郊外向けの複数アンテナ型MIMO通信システム「Project ARIES」を発表しています。

Introducing Facebook's new terrestrial connectivity systems — Terragraph and Project ARIES | Engineering Blog | Facebook Code
https://code.facebook.com/posts/1072680049445290/introducing-facebook-s-new-terrestrial-connectivity-systems-terragraph-and-project-aries/

Facebookによると、現在、主流となっている高速通信サービスの光ファイバーでは、世界中の至る所に高速通信環境を構築することは費用や時間などのインフラ整備コストが高すぎて現実的ではないとのこと。そこで、Facebookの通信研究部門Connectivity Labは、都会向けの「Terragraph」と郊外向けの「Project ARIES」という2種類の無線通信プロジェクトを発表しました。

◆Terragraph
Terragraphは、一般的に普及している2.4GHz帯および5GHz帯に比べるとはるかに高周波な無線である60GHz帯の無線通信「WiGig」を使います。ミリ波によって最大7Gbpsという高速通信を可能にすると期待されているWiGigを使って、人口密集地の都市に超高速なモバイル回線を提供することが目的です。

これがTerragraphのための専用アンテナ。各アンテナは街灯などの街の構造物に200メートルから250メートル間隔で設置される予定です。


60GHz帯の電波は高速通信が可能という利点がある反面、障害物を電波が回りにくく減衰しやすいため、電波の届く範囲が狭いという大きな欠点があります。この欠点を補うためにTerragraphでは、街中に張り巡らした専用アンテナを相互通信するノードとして機能させることで、くまなく高速モバイル通信を提供する計画です。Terragraphのノード相互間での通信制御には、Facebookがデータセンター管理で培った技術が活用されているそうです。


Terragraphでは、既存のWi-Fiアクセスポイントと組み合わせることで、都市部の人口カバー率100%の範囲に比較的安価にギガビットの無線通信を提供できるとのこと。街の景観を損なわない工業デザインを採用したTerragraphアンテナを開発中で、Facebook本社のあるメロンパークで実験中。最大250メートル離れた距離での1.05Gpbsの双方向通信に成功しており、将来的には12.8Gbpsまで速度を向上させられると予想しています。

◆Project ARIES
Project ARIESは、まだ2Gや3Gのモバイル環境しかない郊外に、4Gの高速通信を提供することが目的のプロジェクトです。MIMO技術による帯域幅アップが期待されています。96個の電波送信用アンテナを放射状に備えた試作機では、従来の10倍のエネルギー効率を実現したとのこと。


Facebookによると世界人口の97%が主要都市から40キロメートル以内に居住していることから、都市部をTerragraphで、農村などの過疎地ではProject ARIESで高速なモバイル通信環境を実現できるとのこと。さらに、残りの3%については、かねてから研究中の空中からモバイル回線を提供する自動飛行ドローン「Aquila」でカバーするものと考えられます。

太陽光で飛び僻地でのインターネット接続を可能にするドローン「Aquila」をFacebookが発表 - GIGAZINE

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in ネットサービス,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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