Facebookが8K対応カメラ17台で全周囲死角なしのVR映像を作れる「Surround 360」を発表

Oculus RiftやHTC Viveなどの本格的なVRヘッドセットの登場によりにわかに盛り上がるVR市場ですが、さらなるコンテンツの充実のためにはVR映像を簡単に作成できるツールが必要です。Oculusを抱えるFacebookは、自ら主導で8K対応の超絶VR映像を誰でも簡単に作成できるハードウェア＆ソフトウェアをオープンソースで提供するべくVRカメラシステム「Surround 360」を発表しました。

Facebook 360 Updates and introducing Surround 360 | Facebook Media
https://media.fb.com/2016/04/12/facebook-360-updates/

Introducing Facebook Surround 360: An open, high-quality 3D-360 video capture system | Engineering Blog | Facebook Code
https://code.facebook.com/posts/1755691291326688/introducing-facebook-surround-360-an-open-high-quality-3d-360-video-capture-system

FacebookがVR映像キャプチャーのために提唱するVRカメラシステム「Surround 360」がどのようなカメラなのかは、以下のムービーを見れば一発で理解できます。

Facebook Surround 360

FacebookがVR映像キャプチャーのために提唱するVRカメラシステム「Surround 360」

砂漠などの過酷な環境でも使えるように設計されたハウジングの中にはカメラがずらり。

円周上にF値2.4・広角77度のレンズ搭載の1インチセンサー内蔵カメラを14台、天面に1台・底面に2台の魚眼レンズを搭載しており、合計17台の8K対応カメラを搭載。8K対応の映像を17台のカメラで撮影するため映像のビットレートは30Hzで17Gpbsとのこと。

天面カメラで上空まで完全にカバーします。

専用のスタンドで移動もOK。底面に取り付けられた2台のカメラで地面までカバー。映像はソフトウェア処理されるので、合成したVR映像にはスタンドは映らないという、死角なしのVR映像を撮影可能です。

Facebookによると、Oculus RiftなどのVRヘッドセット用のコンテンツ作りに高性能なVRカメラが欠かせないところ、これまでは高品質のVR映像を簡単に撮影できるカメラがなかったとのこと。そこで、Facebookはハードウェア＆ソフトウェアをオープンソースで提供するべく開発したのが「Surround 360」というわけです。Facebookはカメラシステムを売るわけではなく、上記ハードウェアはカメラメーカーや部品メーカーから購入でき、一式の価格は3万ドル(約330万円)。もちろんサードパーティがSurround 360システムの規格にのっとった製品を販売することもOK。

8K対応のVR映像を撮影できる強力なカメラハードウェアだけでなく、Surround 360はソフトウェアも強力です。撮影した映像は、特別な編集操作なしで合成でき、全周囲をつぎめなく滑らかにつなぎ合わせてリアルなVR映像にできるとのこと。Facebookは2016年7月をめどに、Surround 360用ソフトウェアをGitHubでオープンソースとして公開するとのことなので、誰でもこのソフトウェアを利用して超絶VR映像を作成できるようになります。

Surround 360を使えばスマートフォン型のVRヘッドセット「Gear VR」でも再生できる以下の様なスマートフォン用VRムービーを簡単に作成できます。

FacebookはVRこそ次世代のキラーコンテンツになると考えており、VRヘッドセット「Rift」のOculusを約2000億円で買収しています。VRコンテンツ普及のためには良質なVR映像が必要であり、Facebookは自ら主導して「Surround 360」を提供することで、コンテンツ制作環境を整えVRコンテンツの普及を一気に進める構えです。