なぜ「おっぱい」を愛してしまうのか、科学的に解説するとこうなる
By Karlos
人間の赤ちゃんは成長に必要な栄養素を母親の母乳から摂取しています。赤ちゃんの命を育む生命の象徴とも呼べる乳房ですが、乳房を愛してしまうのは赤ちゃんだけではありません。豊胸手術を受ける女性が増加していることは、男女問わず大人になっても女性の乳房が重要な部位であることを示唆しているわけですが、そんな乳房がどのような機能を持っているのかが、科学的に解説されています。
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乳房は赤ちゃんに栄養を供給するための器官であり……
母乳は血液から抽出されたタンパク質・糖分・脂肪から作られています。ほ乳類の進化にとって、母乳は大きな役割を果たしているのです。
鳥類やハ虫類は子どもは親が持ち運んでくる昆虫などの食糧を食べて成長しますが、ほ乳類はその名の通り、赤ちゃんにとって必要不可欠な栄養素を母体で作り出し、母乳として供給できることが大きな利点となっています。
乳房のサイズ・重量・形は人によって異なりますが、これには遺伝要因も関係しています。女性の50%は胸のサイズや形が左右非対称で、ほとんどの場合は左の方が大きいそうです。このような左右非対称は正常な現象ですが、なぜ女性の胸のサイズが左右非対称になるのについては、科学的に完全には解明されておらず、思春期に起こる体内のホルモンの変化が有力候補とのこと。
また、女性は月経周期ごとに胸のサイズが変わることがあり、正確にはエストロゲン(女性ホルモン)とプロゲステロンの分泌が、女性の胸のサイズの変化に影響しているそうです。
乳首と乳腺は男性・女性のどちらにもありますが、女性のみ乳首と乳腺が成長期に発達します。
女性の乳首と似た色になっている周囲の輪は「Areola(乳輪)」と呼ばれ、乳輪にある複数の小さな突起は「モントゴメリー腺」という名称を持っています。モントゴメリー腺は授乳中に赤ちゃんの口の滑りを良くする皮脂を分泌するだけでなく、赤ちゃんが乳首を「おいしそう」と感じる化合物も分泌するなど、赤ちゃんの成長に欠かせない機能を持つ器官であるとのこと。
母乳を分泌する乳首の穴は1つではなく複数あるのですが、裸眼で確認できないほど小さな穴であることは、あまり知られていません。また、赤ちゃんを持つ母親の乳首は、赤ちゃんが母乳を飲み始めたことを検知する受容体を持ち合わせており、受容体は赤ちゃんが母乳を飲んでいることを母親の脳に伝達します。その結果、母子間の結合形成を促すことから「抱擁ホルモン」とも呼ばれる「オキシトシン」、および母乳の生成に不可欠な「プロラクチン」などのホルモンを継続的に分泌できるようになるとのこと。このような母親の反応は、我が子以外の子どもの泣き声を聞いただけでも起こることがあるそうです。
このように、母親の乳房には赤ちゃんが愛さざるを得ない数々の機能が備わっているわけですが、大人になった男性・女性にとっても、「女性の乳房」が特別な部位と考えられているかもしれません。ある研究では、大きな胸と特定の幅のヒップを持つ女性を見ると、男女問わず観察時間が長くなることがわかっています。2014年のアメリカで約30万件もの豊胸手術が行われたというデータを挙げても、人々が乳房に持つ特別な感情を潜在的に説明している、とAsapSCIENCEは述べています。なお、同研究は形状やサイズに関わらず人々が乳房を好むことを示しており、むしろミディアムサイズの乳房が最も評価が高かったことが反映しています。
さらに乳房は他人に喜びを与えるだけでなく、性的な刺激を感じる部位でもあります。乳房に関する研究によると、乳首に対する刺激により、全体的な性的刺激が女性で82%・男性で52%の向上を示したとのこと。fMRIスキャンを使った研究では、陰核・膣に対する刺激で反応する脳の領域が、乳首を刺激した時と同じ領域だったこともわかっています。
そんな栄養や喜びを与えられる驚異の発生源となっている乳房ですが、病気になりやすいという欠点を持ち合わせています。これは分裂回数の多い細胞ほど突然変異の可能性が高くなるのですが、乳房はホルモンなどの影響で頻繁に細胞分裂が行われる器官であるため。
北アメリカで確認されているがんの中で、最も多いのが乳がんであるとも言われています。
授乳時に分泌される女性ホルモンは、乳腺細胞の分裂を刺激する性質を持っているのですが、農薬・工業製品・食品などからエストロゲンを模倣し、細胞増殖に影響を及ぼす環境化学物質が発見されています。信頼できない製品を回避することで、乳がんになるリスクを減少できる可能性があります。
乳がんの同研究では、胸の密度・初産・BRCA1・BRCA2などのがん抑制遺伝子のような乳がんの発症に関わる新しい危険因子も発見されており、これらの乳がんの予防策となる科学的知識は、覚えおくと役に立つかもしれません。
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