クリエイティブな才能は注意散漫な人の方が発揮できる

by Mari Paz Molina

物事に集中しだすと周りの音が聞こえなくなり、外野から「いるんですね、天才ってやつは……」と言わしめるような存在がフィクションの中に登場することがありますが、アメリカのノースウェスタン大学の研究では、逆に「現実世界でクリエイティブな人ほど外部の音をシャットアウトできない」という可能性が示されました。

Creative Genius Driven by Distraction: Northwestern University News
http://www.northwestern.edu/newscenter/stories/2015/03/creative-genius-driven-by-distraction.html

フランツ・カフカジェイムズ・ジョイスと共に20世紀を代表する作家と言われているマルセル・プルーストは、雑音をシャットアウトするために耳栓を愛用しており、また寝室に防音のためコルクを並べていたことで知られています。ノースウェスタン大学の最新の研究によると、クリエイティビティを発揮する、天才と言われる人の中には「日常の『知覚情報』に大きく影響される人」がしばしば存在するとのこと。このような人々は知覚情報を簡単にシャットアウトできないからこそ、意識しないうちに外界の情報を取り入れて頭の中のアイデアと融合させ、クリエイティビティを発揮させるのだと研究を行ったDarya Zabelina氏は語りました。

by Seth Sawyers

脳が不必要な情報をフィルタリングすることを感覚ゲーティングと呼びますが、今回の研究では、ERP P50という指標を使って感覚ゲーティングのテストが行われました。P50とは、刺激後に50ms(0.05秒)前後の潜時で出現する誘発電位成分のこと。

研究は100人の被験者を対象に行われ、被験者には自身のクリエイティブな業績についてアンケートを使って報告してもらうと共に、独創的な認識力・多様な思考力を測るためのテストを行ってもらいました。思考テストはいくつかのシナリオについて制限時間内にできるだけ多くの質問に答えてもらうというもので、解答の数や内容に従って点数が付けられました。

この時、被験者のクリエイティビティは「現実世界の業績」と「ラボで行われた思考テストの点数」という2つの指標で測られたわけですが、調査の結果、ラボでの思考テストにおいて「多様な考え方ができる」ことは学校のテストの点数と関連があり、テストで多様な考え方ができた人は情報のフィルタリング能力が高いことが分かりました。

一方で、現実世界でのクリエイティブな業績は感覚ゲーティングにおける情報漏れ、つまり、「意識上で起こる外界からの刺激を完全にシャットアウトできないこと」と関連があることが分かりました。もちろん、多様な考え方もクリエイティビティに大きく関わりますが、「クリエイティブな思考処理」とは別物だということが示されたわけです。

by Tsahi Levent-Levi

今回の研究結果は、感覚ゲーティングにおける「情報漏れ」が、より広範囲のこと対する集中を生み出し、多くの刺激を拾える可能性があるということを示しました。

ただし、感覚ゲーティングにおける「情報漏れ」が弊害を生み出すこともあり、カフカが「私が物を書くためには孤独が必要です。世捨て人のような孤独ではなく、死人のような孤独が」という言葉を残しているように、感覚が鋭敏すぎるがゆえに、クリエイティビティを発揮するために苦しむ人もいます。

なお、今回の研究で、感覚ゲーティングの情報漏れがその人特有の性質なのか、それとも行っているタスクによって変化するのかは明らかになっておらず、今後の研究で明かされていくものと見られます。

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