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なぜ人間の脳は音楽の低音を愛するのか?


音楽ではメロディやボーカルなどが印象に残りやすいですが、楽器のベースで演奏される「ベースライン」や、打楽器による「リズム」もまた、あらゆる音楽で楽曲を構成する上で重要な要素です。ジャンルや文化にかかわらず、どんな音楽にもそのような低周波音によるベースラインやリズムが備わっているわけですが、なぜ人は低音に心を奮わされるのか、ということがムービーで解説されています。

Why our brains love music with bass - YouTube


「人間に『リズム』が根付く理由の1つには、胎児期に母親の心臓の鼓動や母親の声が聞こえているため、低音を聴き取る脳の領域がごく早い段階で発達する」と主張しているのはラトガーズ大学の認知科学者であるKarin Stromswold氏。


心臓の音はもともと低音で聞こえていますが、母親の体を通して聞こえる音もまた、高周波の音がカットされて胎児に聞こえているとのこと。多くの科学者は、胎内で聞こえる低音こそが、赤ん坊の初期言語の獲得に深くつながっていると考えています。


赤ん坊が生まれた後にも、胎内で聞こえていたリズムは継続して耳にすることになります。文化や居住地が違っても、音楽にリズムがつけられるのは、人間の脳には先天的にリズムとの生理学的なつながりがあるためではないか、と考えられているとのこと。


また、音楽のベースラインを聞いて、心拍数が上昇したり、気分が高揚したりするような経験がある人も多いはず。音楽において楽器のベース音は、人体にアドレナリンを分泌させるなどのユニークな影響をもたらすことが確認されています。これはヒトが音楽を聞いた時、「神経同調」というプロセスから音楽のリズムを追跡する性質があるためとのこと。


ベースは32Hz~512Hzの周波数帯で演奏されますが、低周波はビートの中で直接的に響きます。なぜ歌や音楽にビートが必要なのかは、人体に骨が必要と同じように、楽曲の骨子として効果を発揮しているそうです。


2014年にはカナダのMcMaster Institute for Music & the Mindでも低周波に関する研究が行われており、ヒトの脳が音楽の高周波および低周波の音色にどのような反応を見せるか、ということがテストされました。


その内容は35人の参加者に高周波・低周波のピアノ演奏を同時に聞いてもらうというもの。その際に、演奏者は演奏する2つの音のうち1つをビートから50ミリ秒ずらして演奏し、参加者が気付くかどうかをチェックしました。その結果、低周波音を変化させた時の方が、わずかなリズムの違いに気付く参加者が多かったとのことです。つまり、曲のメロディよりも、ベースラインがずれていると「おかしな曲」と感じられる可能性が高くなることを示しています。


低音のベースやリズムが持つ効果が、ごく近年の研究で示唆されたものですが、はるか昔から作曲家たちはこの事実に気付いていたのかもしれません。

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in 動画, Posted by darkhorse_log

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