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若者が職に就けない問題は世界中で発生しており10年以内に6億もの仕事が新たに必要

By Montecruz Foto

日本の新卒一括採用システムは、採用人数がそのときの景気に大きな影響を受けやすく、長らく続く不況の中、不運にも新卒時点で就業機会を逃し、その後も定職に就けない若者が増加しているという問題があります。しかし、このような若者の雇用問題は日本に限ったことではなく、世界的にも就職できない若者が増加傾向で、大きな社会問題になりつつあります。

If You're Young, The Job Outlook Is Grim No Matter Where You Live - Bloomberg Business
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-10-13/if-you-re-young-the-job-outlook-is-grim-no-matter-where-you-live

World Bank: 'extreme poverty' to fall below 10% of world population for first time | Global development | The Guardian
http://www.theguardian.com/society/2015/oct/05/world-bank-extreme-poverty-to-fall-below-10-of-world-population-for-first-time

The human cloud: A new world of work - FT.com
http://www.ft.com/cms/s/2/a4b6e13e-675e-11e5-97d0-1456a776a4f5.html

世界銀行は、1日1.90ドル(約230円)以下で生活している「極度の貧困」層の人の数が、2015年には7億200万人つまり世界人口の約9.6%いると発表しました。なお、極度の貧困層の割合が10%を下回るのは統計開始から初めてだとのこと。


しかし、極度の貧困層が減少しているという事実とともに、世界銀行は、15歳から29歳までの「若者」層の多くが仕事に就けないという問題があることも明らかにしています。世界銀行によると、世界中の国や地域で若者層の非就業率(失業率)は壮年層に比べて約2倍も高いとのこと。

これは発展途上国(青色)、中央アジアおよび東南ヨーロッパ(赤色)、中東(緑色)の各地域における、若者の失業率の推移を示したグラフ。いずれの地域でも失業率は今後も横ばい状態が続く見込みです。


また、国際労働機関(ILO)によると、過去10年における世界的な金融不安と景気後退によって、若者は不安定な不定期雇用を強いられることが増えてきており、不定期雇用に従事する若者は2015年に13.1%に到達。壮年層における不定期雇用者の割合が4.5%であることに比べると、若者の就業状況が不安定であると指摘されています。

若者の雇用状況が悪化しているという背景には、雇用主が求める人材と若者の実像との齟齬があるという指摘があります。雇用情勢を調査したレポート「Toward Solutions for Youth Employment」は、若者には募集される仕事の内容に比べてスキルが低すぎる人が多いという問題点を指摘しています。特に、途上国ではサービス業の成長が著しいのに対して、サービス業で求められる技術や能力を持つ若者の数が圧倒的に少ないというわけです。


このような能力不足の問題は途上国に限られず先進国でも発生しているとのこと。単純労働ではない技術や能力が求められる仕事が増えることで、学歴や資格以上の素養を求める雇用主が増えてきているという現実があり、中でも高い専門性や職業能力を若者にも求めることも少なくないそうです。

若者が職にありつけず貧困にあえいでいるという状況は、世界経済全体の危機と言えます。つまり、若者が働けず、消費行動を控えなければならないことは、企業の収益性を悪化させ国の税収を小さくする原因であり、若者の雇用問題は地域的、一時的な問題ではなく、世界的かつ将来的な問題であるというわけです。なお、世界銀行は若者の雇用問題を改善するためには今後10年間に6億、月平均にして500万件という膨大な数の新たな雇用創出が必要であると算出しています。

By SpaceShoe [Learning to live with the crisis]

そんな中、膨大な数の新規雇用を創出するための新たな手段として「ヒューマンクラウド」が注目を集めています。ヒューマンクラウドとは、必要な労働力や専門家をオンラインで募るサービスで、仕事そのものがオンラインで完結することも珍しくありません。

ヒューマンクラウドによる雇用は、企業や組織に雇用されて継続的に安定的な収入を得ることはできない一方で、「好きな時間に好きな種類の仕事を好きな量だけゲットできる」という自由なライフスタイルを実現できるというメリットがあります。ヒューマンクラウドが活性化することは、定職に就けない若者に仕事の機会を与えられるとともに、適切な人に適切な仕事を配分できるという雇用の最適化によって社会全体にとってプラスになるという指摘もあります。

これは2014年10月から2015年10月における、ヒューマンクラウドで求められる技術・能力を示したグラフ。もっとも需要があるのが翻訳で、法律・会計実務の補助、入力作業などが続きます。


時給がダントツなのは知的財産法の知識で、以下、声優やインターネットセキュリティが続いています。


また、2014年10月から2015年10月におけるヒューマンクラウドで求められる専門性上位はこんな感じ。ダントツなのはAppleの開発したプログラミング言語「Swift」の知識で、インターネットセキュリティの知識の3倍以上の需要があるようです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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