WikiLeaksがTPP草案を再びリークさせ、外国企業が国を訴える条項の存在が明らかに
By Backbone Campaign
WikiLeaksが新たにTPPの投資に関する章の草案をリークしました。流出した草案には、外国籍企業が国家政策などにより投資当初の予想を裏切られる不当な損害を被る場合、企業側が国を訴える権利を与える条項が盛り込まれているそうです。
WikiLeaks - Secret Trans-Pacific Partnership Agreement (TPP) - Investment Chapter
https://wikileaks.org/tpp-investment/press.html
TPP leak: states give companies the right to repeal nations' laws - Boing Boing
http://boingboing.net/2015/03/26/tpp-leak-states-give-companie.html
今回注目されているのは流出したTPP草案に記された投資家対国家の紛争解決(ISDS)条項に関する文章。流出した草案は2015年1月20日付けのもので、ここには「国際的な法廷を設けることで、グローバル企業の地位を保護すること。具体的には外国企業が法改正によって不当な納税義務を課されたり、投資した設備などの接収により『将来的に見込まれていた利益』を得られなくなった場合に、国を訴えることが可能になる」と書かれています。
このISDS条項は、TPP加盟国の法律や政策が恣意的に事後に改正されて多国籍企業が「将来的に見込まれた利益」を不当に得られなくなる場合には、政府が企業に対して補償金を支払わなければいけないようにするためのメカニズムです。なお、条項では多国籍企業がこの権利を得る代わりに、投資先の国への積極的な投資を求めています。
なお、過去にはオーストラリア政府が公衆衛生の観点からタバコのパッケージデザインの無地化に関する規制を設けた際に、アメリカのタバコメーカーPhilip Morrisがオーストラリア政府に対して損害賠償を求めた「Philip Morris事件」や、アメリカの石油関連企業「シェブロン」がエクアドルのアマゾンでロードアイランド州と同等の広さの面積を汚染したとして起こされた訴訟など、多国籍企業と国家間での衝突は珍しいものではありません。企業による国を相手にした訴えを容易に認めることになれば「企業側の力が大きくなりすぎる」という見方もありますが、この条項が認められなければ多国籍企業は投資先の国の理不尽な政策により不当な損害を被る可能性もあることから、国際法廷での紛争解決システムを盛り込むことで、外国企業への恣意的・差別的な取り扱いを防ぐ狙いであるとみられています。
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