レビュー

自作の見出しやキャッチフレーズが人の感情に影響する度合いを数値化してくれる「Headline Analyzer」

by Crezalyn Nerona Uratsuji

「人の心に残るような文章」を作るのは難しく、特に短い文章で印象づけるキャッチフレーズや見出しは専門の職業があるほど。多くの人は「読む人はこう思うだろう」と予想しつつキャッチフレーズを作るわけですが、自作の見出しやキャッチフレーズがどのくらい「感情的」であるかを「数値」にして測定してくれるサービスが「Headline Analyzer」です。

Advanced Marketing Institute - Headline Analyzer
http://www.aminstitute.com/headline/index.htm



Headline Analyzerは1960年後半から1970年代にかけて言語学者のHakim Chishti博士が行った研究をベースにAdvanced Marketing Instituteが独自のアルゴリズムを導き出したもの。研究が行われた結果、言葉の一連の流れには「直接的な意味」よりも多くの意味において強い和声のようなものがあるということ、そして「言葉の持つ意味は間違った伝わり方をすることがあるが、言葉の持つトーンはいつも同じ方法で人間の感情に作用する」ということが判明しました。そこで文章中に「感情に強く影響する言葉」がどのくらい含まれているかを測定して「EMVスコア」として数値化してくれるHeadline Analyzerが作られたわけです。

「感情に強く影響する言葉」は大きく分けて「知性」「感情移入度」「スピリチュアル」の三点で評価されます。「知性」は、合理的な理由や注意深い評価を必要とする物やサービスの提供時に効果的な単語がどれくらい使われているか、ということ。「感情移入度」は、人々からポジティブな反応を強く引き出せる言葉がどのくらい使われているのか、「スピリチュアル」は深い感情レベルで人々に影響を与えたり、メッセージを訴えかけたりできる言葉の使用頻度を表します。

ということで、まずはアーネスト・ヘミングウェイが書いた六単語のみで構成された小説「For sale: Baby shoes, never worn.(売り出し中:一度も履かれなかった子どもの靴)」で試してみます。診断するにはテキストボックスに文章を入力して「Submit For Analysis」をクリックすればOK。


なお、カテゴリが選べるようになっていましたが、いくつかの見出しについてカテゴリをいろいろ変えてみたところ、特に結果に変化は出ませんでした。


「For sale: Baby shoes, never worn.」の感情に訴えかける度合いを示した「EMVスコア」は33.33%。プロのコピーライターが作る見出しにはだいたい30~40%のEMVワード、つまり感情に訴えかける単語が使われており、その中でも特に才能がある人は50~75%のEMVワードを盛り込めるので、33.33%は「プロ並の見出し」というわけです。なお、EMVスコアの最高値である100%を出すには5個以内の単語で文章を作る必要があるとのこと。


試しに「This is so fun」という単純な一文を入れたところ……


EMVスコアは0%。評価欄にも「Neutral(中立)」とあり、「知性」「感情移入度」「スピリチュアル」のうち特出したものはなく、全く人の感情に影響を及ぼさないというわけです。


少し変えて、「This makes you happy」という文章にしてみたところ、数値はぐんと上がって50%に。


見出しではないのですが、「メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した」という太宰治の走れメロスを英訳したものを入れてみます。


すると、EMVスコアは40%。見出しとしては、特に「知的さ」に優れているとのこと。


続いて「フォレスト・ガンプ/一期一会」のキャッチコピー「Life is like a box of chocolates.(人生はチョコレートの箱のようなもの)」という一文を入れてみます。


有名なキャッチコピーですが、EMVスコアは14.29%。「感情移入度」という点については優れているようです。


「007は二度死ぬ」の原題「You Only Live Twice」はEMVスコア50%。


スティービー・Bの曲名でもある「Because, I love you」は……


EMVスコアが50%に。知的さとスピリチュアルの二点に優れているのですが、感情移入度はイマイチのようです。


一方で「Marriage, not for everybody.(結婚、全ての人にはおすすめしません)」という文章を入れたところ、EMVスコアは75%に。使うシーンを選びますが、キャッチコフレーズや見出しとしては人の感情に影響を与える様子。


なお、「本当にHeadline Analyzerの結果は正しいのか?」ということで、OkDork.comがEMVスコアとシェア数の関係を調べたところ、「EMVスコアが少ない記事ほどシェア数が少なく、多い記事ほどシェア数が多い」という結果も出ているようです。

We Analyzed Nearly 1 Million Headlines. Here’s What We Learned | OkDork.com
http://okdork.com/2014/07/22/we-analyzed-nearly-1-million-headlines-heres-what-we-learned/

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in レビュー, Posted by darkhorse_log

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