メモ

現代にも残る奴隷労働の実態をまとめた「Global Slavery Index 2014」


何者かの所有物として支配され、人間としての権利や自主性を認められずに搾取される奴隷は決して歴史上の用語ではなく、現代にも存在している社会問題と言えます。こうした状況を改善して非人道的な奴隷労働を解消することを目的とする「ウォーク・フリー・ファウンデーション(Walk Free Foundation:WFF)」が発表した「グローバル・スレイバリー・インデックス2014(Global Slavery Index 2014:GSI)」では、現在も全世界で約3580万人が奴隷的な労働を強要され、特にインドで最も多くの人々が強要を受けていることが明らかにされました。

Global Slavery Index
http://www.globalslaveryindex.org/findings/


調査を実施したWFFはオーストラリアに本部を置く組織で、今回発表されたGSIでは世界のさまざまな国や地域での奴隷的労働の実態を調査し、その規模の調査はもとより、国家による現状改善への取り組みの状況を明らかにすることを目的としています。

奴隷的労働の実態は多岐にわたり、加工用の魚を捕る漁師(タイ)や、ダイヤモンドを掘る炭鉱作業員(コンゴ)、綿花摘み(ウズベキスタン)、サッカーボールを手縫いする仕事(インド)といったケースが見られるほか、戦闘行為にかり出される少年や売春行為の強要などが行われています。国際労働機関(International Labour Organization:ILO)の推計によると、このような強制労働から生まれる利益は、年間1500億ドル(約17兆6000億円)にも上ると試算されています。

問題の規模を表すランキングは以下のような感じ。奴隷人口を全人口比で表した場合、全人口のうち実に4%もの人が奴隷的労働を強要されているというモーリタニアがトップ。次いで3.98%のウズベキスタン、2.30%のハイチ、1.36%のカタールなどが続きます。


人口数で並び替えたグラフがこちら。1位のインドは人口比1.14%にあたる1400万人が奴隷的扱いを受けていることが明らかになっています。次いで320万人の中国、210万人のパキスタン、120万人のウズベキスタンが続いています。


なお、日本の順位は世界167か国中で127位。人口比でおよそ0.19%というものですが、24万人もの人が強制的に奴隷的扱いを受けているという実態を忘れるわけにはいきません。


政府ごとの対応をランク付けしたのがこちら。丸の色が濃い緑色になるほど評価が高いことを示しています。最良となる「AAA」は該当なしでしたが、次点の「AA」にはオランダ、さらに「A」のスウェーデンが続きます。


日本の評価は「CCC」となっており、これは最低ランクとなる「D」→「C」→「CC」に次ぐ下から4つめの結果となっています。


奴隷労働が起こる危険性を制度面、体制面で判断する「Vulnerability(脆弱性)」のワースト1はソマリア。次いでエリトリア、スーダン、イエメンが続きます。「Dem. Rep. Korea」はいわゆる北朝鮮のこと。


日本はエストニア、韓国などのわずかに上を行く位置にランクイン。


最も危険性の低い国はノルウェーという結果となっていました。


なお、GSI2014のサイトではインタラクティブに調査結果を確認することも可能。トップにある地図をクリックすると、その国の統計データを見ることができたり……


項目を変更すると、地図が塗り分けられて視覚的にデータを把握することができるようになっていました。


世界167か国を対象に行われたこの調査では、少なくとも58か国で122種類の商品が奴隷的労働によって製造されていることも判明。「Global Slavery Index 2014」の報告書は、以下のリンクからダウンロードして閲覧することも可能です。

The Global Slavery Index 2014 - Global_Slavery_Index_2014_final_lowres.pdf
(PDFファイル)http://d3mj66ag90b5fy.cloudfront.net/wp-content/uploads/2014/11/Global_Slavery_Index_2014_final_lowres.pdf

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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