メモ

なぜ缶詰は球体でも立方体でもなく円柱なのか

by momoko77

食べ物が詰められた缶詰はスーパーマーケットなどに並んでいますが、ほとんどのものが円柱形となっています。なぜ示し合わせたかのようにみんな円柱形なのか、そして本当に効率的な缶詰の形とは何かをDataGeneticsがブログで分析しています。

Optimal Can Dimensions
http://www.datagenetics.com/blog/august12014/index.html

容積比の観点で言えば球体は最小の表面積で最大の食べ物を詰め込むことが可能なため、容器に最大限の中身を詰め込もうと思ったら、最も適している形は「球体」です。しかし、もしスーパーマーケットに置かれる食べ物の容器が全て球体だったら、ディスプレイが非常に困難なのは明白で、さらに言うと製造段階で食べ物を詰め込む時にも、家庭で食べ物を開封する時にも苦労することになります。形として効率的でも、製造と消費を前提にした場合は非効率的というわけです。

by jasohill

「効率的に箱詰めする」という点から言って効率的なのは直六面体(直方体)。球体よりも製造が簡単であり、積み重ねて隙間なく陳列したり、運ぶことができます。コンビーフなどの容器に四角いものが使用されていますが、その多くは角が丸くなっていて完全な直六面体(直方体)ではありません。これは製造を簡単にするためと、容器を1箇所に集めた時の接触による負荷を軽減するのが目的です。特に立方体は表面積が小さいため容器としては適しているはずなのですが、立方体に詰められた食べ物を見かけることはあまりありません。

by Bob Fosbury

ではなぜシリンダー、つまり円柱形の容器が多いのかと言うと、この理由にはまず製造の容易さが挙げられます。かつて容器は長方形の素材を切り取り、円形のキャップをぐるりと囲むような形で作られていましたが、キャップと側面の素材を1箇所くっつけてからキャップの回りをぐるりと囲む処理は、製造のプロセスから見て非常に簡単です。また角のない円柱形の容器は外からの圧力に強く、炭酸飲料や食べ物を詰め込む容器に適していました。さらにテーブルや台の上に無造作に置いても球体のように容器が移動してしまうことがなく、開封も缶切りで簡単に行うことが可能。直方体ほどではなくても、74~79%の効率で箱詰めすることもできます。

by shrapnel1

「製造の容易さ」「箱詰めの効率性」「扱いやすさ」を勘案した結果、円柱形の容器が適しているという結論になっていますが、円柱形の缶と一口で言っても、さまざまな大きさや形状のものが存在します。では最も効率的な円柱形の容器とはどんな形なのか、円柱形の容器の高さと底面の直径を計算し、さらに効率性を求めてみます。


ブログの書き手であるNick Berryさんの手元にあったという理由で選ばれた缶は以下の7種類。数字は缶の直径/高さとなっています。

チキンブロス:75mm/105mm
コンデンス・スープ:65mm/98mm
ツナ:85mm/40mm
コンデンスミルク 1:75mm/94mm
コンデンスミルク 2:74mm/77mm
チャンキー・スープ:85mm/107mm
アーモンド:84mm/57mm

円柱の容積は底面である円の面積に高さをかけたもの。ということで、円柱形の容積を固定して半径と高さの関係を見れば、最も効率的に中身を詰めることができる缶詰の半径と高さが分かるわけです。


上記の方法で分かったのは、最も効率的な円柱形容器は、高さが底面の半径の2倍であるもの、ということ。以下が高さと半径の関係をグラフにしたもの。表面積の無駄が最も少ないのは、h/rの値が「2」になっているところです。


7種類の缶について、h/rの値を求めると以下のような感じ。

チキンブロス:2.80
コンデンス・スープ:3.02
ツナ:0.94
コンデンスミルク 1:2.51
コンデンスミルク 2:2.08
チャンキー・スープ:2.52
アーモンド:1.36

これをグラフ上に表示させてみると、最も効率的なのは「コンデンスミルク 2」で、直径85mm・高さ40mmのツナ缶は無駄が7%もあるということが分かります。


ただし、缶詰における設計上の「無駄」は、必ずしも無駄なのではなく、見た目の美しさや中身の取り出しやすさを考慮した結果であることが考えられます。数学的な効率性はもちろん重要なのですが、それ以外にも製造・流通における工夫がそれぞれの缶にほどこされているというわけです。

by Classic Film

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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