Amazonの節税拠点であるルクセンブルクが世界的企業に優遇税制を適用しているとの調査報告
By Chris Tolworthy
世界規模で企業活動を行うAmazonやAppleが税制面で有利な国に本社機能を移転して節税していることは有名で、節税対策に利用される国や地域は「タックス・ヘイヴン」と呼ばれ、近年、「脱法的」納税回避手段として批判を浴びています。そのタックス・ヘイヴンとして有名なのがヨーロッパ随一の豊かさを誇るルクセンブルクで、Amazonの納税回避が違法であると主張するEUが本格的に調査に乗り出す中で、ルクセンブルクが340もの大企業に対して優遇税制措置をとっているとする報告が挙げられました。
Leaked Documents Expose Global Companies’ Secret Tax Deals in Luxembourg | International Consortium of Investigative Journalists
http://www.icij.org/project/luxembourg-leaks/leaked-documents-expose-global-companies-secret-tax-deals-luxembourg
Hundreds of Companies Seen Cutting Tax Bills by Sending Money Through Luxembourg - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/11/06/business/international/hundreds-of-companies-seen-cutting-tax-bills-by-sending-money-through-luxembourg.html
国際的なネットワークを持つ非営利調査報道機関International Consortium of Investigative Journalists(ICIJ)は、流出した機密文書総計2万8000ページを詳細に調査した結果、「ルクセンブルクが大企業に対して優遇税制をとっている」と結論づけました。優遇措置を享受していた企業にはPEPSI・IKEA・FedExなどのメーカー、JPモルガンチェースやドイツ銀行などの金融機関のほか、アブダビの政府機関なども名を連ねています。
ICIJによるとルクセンブルクは特定の企業に対して「comfort letters」と呼ばれる特別な優遇措置を採用しているとのこと。流出した情報は世界最大の会計事務所の一つであるPricewaterhouseCoopers(PwC)の署名があり、PwCがコンサルタントとして多くの企業に節税対策を指南していた模様。なお、PwCはICIJの報告は盗み出された文書や古すぎて意味のない情報に基づいているとコメントしています。
By George Rex
EUは2003年からAmazonがルクセンブルクで適用されている税制が、実質的にはEU法で禁じられている「国家補助」にあたると指摘してルクセンブルクに再課税を求めてきましたが、ルクセンブルクが優遇措置の存在を否定したため議論は平行線をたどり、とうとう2014年10月にEUはAmazonがルクセンブルクで利用する税制の本格的な調査に乗り出しました。これに対してルクセンブルク財務省はEUの調査に協力するとしつつ「国家補助というEUの主張には根拠がない」として事実関係を否定し、また、Amazon広報も「ルクセンブルクで特別な税制措置を受けたことはない」と優遇税制の存在を否定していました。
By Nic Taylor
今回のICIJの優遇税制を指摘するレポートは、Amazon・Apple・スターバックスなどルクセンブルクで脱法的な節税行為を行う企業のEUによる課税措置へ大きく影響する可能性があります。なお、ルクセンブルクのピエール・グラメンナ財務大臣は、現地時間2014年11月6日にベルギー・ブリュッセルでこの件に関する記者会見を行う予定とのことです。
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