取材

「エネルギーは感染する」「アイデアを生み出す人と知り合うこと」、Googleの元CEOエリック・シュミット氏が「新しい働き方」について語る


Google元CEOエリック・シュミット氏とラリー・ペイジ氏のアドバイザーのジョナサン・ローゼンバーグ氏が、Googleが行っている「新しいマネジメント方法」を全面的に公開したのが「How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント」です。2014年11月4日(火)に新著刊行を記念してシュミット氏が来日、元Google日本法人代表取締役の村上憲郎氏と「Googleが成功した方法とは何か」についてトークイベントを行いました。

日経電子版特別フォーラム開催 | グーグルCEOエリック・シュミットが語る経営とその哲学、「How Google Works」
http://pr.nikkei.com/campaign_event/201411_hgw_es/

ベルサール汐留に到着。


会場は地下1階のホールなので、エスカレーターで降りていきます。


会場付近では「How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント」の販売も行われていました。


これが受付。


イベントの開始は18時から、受付開始は17時からということで、17時に到着。まだ人は少なめです。


会場前方のスクリーンには「インターネットの未来と私たちの働き方」という文字が掲げられています。


イベント開始が近づくと、人がどんどん増えてきました。


ということで、エリック・シュミット氏らが登壇し、イベントが開始。


左からモデレータ・小柳建彦氏、Google元CEO・エリック・シュミット氏、日本Google前社長・村上憲郎氏です。


モデレータ・小柳建彦(以下小柳建彦):
3人の共通言語が英語ということで、ここからは英語で話させて頂きます。まず、最初にそれぞれが今何をしているかということをお話して頂こうと思います。エリックさんはエグゼクティブチェアマンとして活動していますが、どんなことを?


Google元CEO・エリック・シュミット(以下エリック・シュミット):
はじめに、このような場を設けて頂いてありがとうございます。村上さんとはGoogle日本法人を立ち上げたとき以来なので、また会えてうれしいです。CEOとして10年勤めていましたが、今は政府との対外交渉などを担当しています。

日本Google前社長・村上憲郎(以下村上憲郎):
私は3年前にGoogleを退任し、今は大学の講師をしています。また、自分でも会社を創設しており、日本の政府や自治体のお手伝いをしております。

小柳建彦:
両者ともに大きなことに携わっているわけですね。今日は本の話をしていきたいと思いますが、既に本を読まれた方は挙手を……かなり多いですね。ということで、今日は皆さんが本を読んだという前提で話を進めます。

エリックさんはCEOに就任してまずビジネスプランを書けと頼まれたとのこと。2003年の夏のことですね。実際に作られたのは、通常のビジネスプランとは違い、財務プランも目標も予算もマイルストーンもなかったそうですが。当時はビジネスプランをどう見ていたのですか?

エリック・シュミット:
この場に古典的なビジネストレーニングを受けた方は多いと思いますが、この本の中で書いている唯一の「やらなけれならないこと」は「すばらしい製品を作ること」です。インターネットとグローバル化のおかげで多くのことが可能になりました。信じてください、素晴らしい製品があれば、顧客もお金もついてきます。とにかく素晴らしい製品を作る必要があるのです。本の中でMicrosoftのコードネームを「フィンランド」にしていましたが、本当のコードネームは「カナダ」というものです。北にあるので(笑)。「素晴らしい製品を作ること」以外に私たちが常に掲げてきた戦略は、カナダ、つまりMicrosoftがGoogleになり代わらないにすることでした。

製品が優れていればお金は集められます。インターネットの世界には売上はないが、評価がよいゆえにお金を集められている企業はたくさんあります。


小柳建彦:
取締役会で「どれくらいの収益を得る」ということはどう伝えたのですか?

エリック・シュミット:
お金ではなく、製品についてフォーカスを当てました。Googleは製造業ではないので、優秀なエンジニアとデータセンターがあれば運営はできるのです。

小柳建彦:
ということはその時点で優秀なエンジニアを雇うことができたのですね。

エリック・シュミット:
そうです。そして、もうひとつ我々のとった判断は早い段階で「会社の50%をエンジニアにする」という決定をしたこと。これは前代未聞です。通常なら20%くらいがエンジニアで、40%はセールスおよびマーケティングです。しかし我々は製品に集中するため、セールスの数を絞りエンジニアを多く採っておくという決断をしました。

小柳建彦:
日本でも、会社の予想であるとか、予算値というのは出さなくてもよかったのですか?

村上憲郎:
基本的にはそうです。2003年に私はGoogleに入ったわけですが、その時にはルールというか、OKR(Objective and Key Result/目標と主な結果)のようなものがありました。我々は基本的にお客様にフォーカスを当てており、結果は後からついてくるだろうと考えていました。私が最初の1年で立てたOKRとしての目標は売上ではなく、「Googleのサービスが1年でどれくらい日本のユーザーに知れ渡るか」という普及率で示しました。


小柳建彦:
お金の話は一切しなかったのですか?

村上憲郎:
もちろん代表としてお金のことも考えなければなりませんでしたが、それが1番のOKRではなかったわけです。

エリック・シュミット:
OKR(Objective and Key Result/目標と主な結果)はもともとインテルで作られたもので、Googleでも使われている指標です。本の中では10%の改善ではなく、10倍の改善を求めるべきだ、と書いてあります。10倍という数字は不可能に思えるかもしれませんが、目標に掲げれば、チームは3倍よいものを作るかもしれません。大変なことを依頼することで大きくステップアップするのです。日本の企業は少しずつの積み上げを重視しているかもしれませんが、Googleはそういうやり方を取りません。クレイジーな考えに思えるかもしれませんが、失敗したとしても大きな進歩を目指すのです。

小柳建彦:
お金はどうでも良いとはいっても、会社の運営にはお金が必要です。Googleでは何かを買う時、立替金のような形で支払い、後で精算するのですか?それとも物の購入には承認が必要なのですか?


エリック・シュミット:
一度、突然会社に赤い電話が届けられたことがありました。何なのかというと、ラリーとセルゲイが、特定の人にクレジットカード渡して「興味深いものだけ買ってこい」と言ったんです。そんな感じで、制限はありますが、だいたい自由に物の購入をしていますね。

小柳建彦:
企業買収については?

エリック・シュミット:
同じようなものですね。Google Earthを作った会社を買収した際も、セルゲイは「企業を買収した」と過去形で急に言いだしました。「いくら出したんだ?」と聞くと彼は「そんなこと、どうでもいいんだ」と答えました。しかし今ではGoogle EarthからGoogleマップが生まれ、10億人がそれを使用しています。

またある時、セルゲイは「広告に関する素晴らしいアイデアがあるからチームにお金が必要だ」と言い出しました。はじめ私は反対したのですが、最終的に「100万ドル(約1億1000万円)だったら可能」と告げました。そしたら彼は200万ドル(約2億3000万円)使ってしまったのです。私はそのとき怒ったのですが、今ではその時の彼のアイデア、アドセンスが100億ドルの利益を出しています。私は間違っていたのです。


小柳建彦:
過去に1度も予算作りは行わなかったのでしょうか?

エリック・シュミット:
いえ、時として予算に従うことはあります。でも必ず従うわけではありません。

小柳建彦:
予算部門というものがあるのですね?

エリック・シュミット:
はい。

小柳建彦:
そうすると、門番のような人はいるのですね?

エリック・シュミット:
いつも合法的かどうかのチェックは行っています。Googleは日本の企業とも、既存のアメリカ企業とも文化が違うわけなので、予算など既存のマネージメントを行いつつも、クリエイティブな人が自由に仕事を行えるような環境が必要なのです。

小柳建彦:
次はスマートクリエイティブをどのように束ねていくのかという話です。

エリック・シュミット:
「スマートクリエイティブ」という言葉は本の中でもたびたび登場します。彼らは非常にレベルの高い大学を卒業した人々です。もちろん、日本でもアメリカでもレベルの高い大学を卒業した人はいますが、多くが動きのにぶい大企業に入ります。スマートクリエイティブはそのような大企業で経験を積み、会社をやめてスタートアップを始めることが多くあります。そのような、「ビジネスを始める」「好奇心がおおせい」という2つの要素を持っている人たちを我々は「スマートクリエイティブ」呼ぶことにしました。彼らは過ちも犯しますが、大きな勝利を納められます。なので、会社にスマートクリエイティブを多く集める必要があります。

またディーバという、押しの強いタイプもいます。「私が正しくて、あなたは間違っている」というタイプです。しかし彼らは組織を押し上げてく人です。トップダウンでは新しい物はうまれません。チームとして下からどんどん企業全体を動かしていくのがまさにGoogleの組織構造なのです。


村上憲郎:
Googleの企業方針というのは、エンジニアのスマートクリエイティブが作ったもの。彼らは日本法人を創ったときにもGoogleの根本的な企業文化を持ち込んでくれました。

小柳建彦:
本の中では、スマートクリエイティブを活用する最高の方法は基本的に「自由を与えること」と言っています。スマートクリエイティブは、それぞれ自分のすきなこと・やりたいことを行うと思いますが、進捗確認はどのように把握するのですか?


エリック・シュミット:
方法は2つあります。1つは毎週「何やってるか」を発表する機会を設けることです。また、コンピューターに1行で「何をやっているのか」を書き込むということもやっています。ある時「マネジメントチームは必ずしもすべて本当のことを言ってない」とラリーが言ったので「なぜ分かるのか?」と聞いたところ、スニペットと呼ばれる書き込みをラリーは全て読んでいる、ということが分かりました。この時、マネジメントというもの自体が不必要なのではないかと感じたのです。

村上憲郎:
私は採用される際の面接で「大人の監督者になるべき」と言われました。心地よい環境を整え、注意を払っておく、ということが求められたのです。しかし、スマートクリエイティブのハワードに京都を見せたら興奮した様子で「R&Dセンターは京都にすべき」と言われたと時は許可しませんでしたが。


小柳建彦:
非常に興味深いです。報告会議などは定期的に開かないということでしょうか。

エリック・シュミット:
過去にPCの持ち込みを禁止にした60分の会議がありました。モニターを見ながら会話するのは失礼だということで、対面で話さないといけないようにしたのです。でもその試みは失敗して、今は持ち込みできますけどね。

小柳建彦:
ビジネスユニットを作ると自分たちのビジネスだけに集中して会社のために働かなくなると本の中で触れられていました。

エリック・シュミット:
サン・マイクロシステムズでは、ビジネスユニットを作ったがために、部門ごとの社内競争が起こりました。その時、そういった企業では二度と働かないと決めました。会社は部門ごとに分かれているべきではなく、社員は「1つの会社」のために働くべきです。

小柳建彦:
先週Googleがグループ全体の再編を行い、ある新聞ではラリー・ペイジが前よりももっと大手企業に近づいてきたと発言していました。それを読み、事業単位で分類するようになってきたのかなと思ったのですが、ある一定の規模になってきたら区分は必要ということですか?

エリック・シュミット:
幾分かはあるかと思います。しかし、全てが対立する別個の区分になるというわけではありません。


小柳建彦:
採用について伺います。採用はマネージャーにとって最も重要で難しい仕事です。何千人もの人を面接すると時間がかかるし、マネージャーが割ける時間にも限界があります。どうやってそれを管理しましたか?

エリック・シュミット:
いろいろな実験を行いました。過去に1人の人に対し16回も面接することさえありました。しかも、16時間も面接して採用をしなかったのです。そこで面接に関してリサーチを行った結果、統計的に大体5回でその社員が採用されるかどうかの予測ができると分かったので、現在は大体5回、最大8回に制限して面接を行っています。また、これまでの企業ではマネージャーが他の会社の友人を採用することがありましたが、我々はそれを認めず、採用には必ずトップマネージメントによるレビューが行われる仕組みにしました。

小柳建彦:
CEOは常に採用委員会のメンバーになるわけですね?

エリック・シュミット:
そうです。そのため、CEOは毎週月曜日に1時間を使って全てのオファーを検討しました。

そして、採用に関して大事なことは、日本においてもアメリカにおいても、「アシスタント」の採用は抑えて、もっとコアの人間の採用を行うことです。

小柳建彦:
なるほど。では、それでもアシスタントが必要な場合、アシスタントもスマートクリエイティブでないといけないのでしょうか?

エリック・シュミット:
なるべく質の良い人を採用すべきですね。


小柳建彦:
簡単な仕事もスマートクリエイティブがやるということですか?

エリック・シュミット:
というより、簡単な仕事があってはいけないのです。簡単な仕事があるなら、それを何かに置き換えたり、自動化した方がいいと思います。

小柳建彦:
分かりました。次の質問です。組織の中で20%の人間が仕事の80%の仕事をやるというパレートの法則というものがありますが、Googleでもパレートの法則は見られますか?

エリック・シュミット:
これはイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが導いたものですが、パレートの法則が働かないように組織を作る事は可能です。Googleでは最初からそういう人間は雇わないようにしています。それでも、もし、あまりよくない実績を出す人間がいれば企業文化の力を利用します。同僚からプレッシャーをかけてもらうのです。


小柳建彦:
解雇は行いますか?

エリック・シュミット:
非常にまれですが、あります。また、時として自分から出て行く人もいます。しかし、社員のパフォーマンスがよくないのは個人のせいではなく、その殆どが会社のせいです。

小柳建彦:
ときとして解雇するとのことですが、どのように行いますか?

エリック・シュミット:
社員と話をします。日本は終身雇用ですが、我々の中ではそういったことは考えられません。時として社員が会社を離れることもありますが、私はGoogleの社員が質の高さを保っていることを誇りに思っています。


小柳建彦:
スマートクリエイティブは大きな成果をもたらしますが、大きな成果をもたらした人にはそれ相応の報酬を与える必要があります。報酬について、どのような評価の仕組みを用いていますか?

エリック・シュミット:
社員をランク付けし、半年くらいの間隔で会話を行います。誰がスマートなのか、勤勉なのか、改善が必要なのか、そういうことはチームの同僚たちが知っているので、彼らを対象に調査を行うのです。そして評価は個人でなく、チームが承認することにしています。そのため私だけではなく、ラリーやセルゲイも承認を行います。

小柳建彦:
最終的な決定は委員会で?

エリック・シュミット:
そうです。昇格の委員会は、同僚たちのコミュニティで形成されます。そのため、CEOから提案があっても、そのコミュニティから拒否されれば昇格は無理です。同僚からの圧力のようなものが良く機能するようにできています。


村上憲郎:
日本でもほとんど同じで、特定のレベル以上になると、上の人物や同僚から昇格の提案があります。そして、その上のコミュニティがそれを精査する仕組みです。

小柳建彦:
多面的な評価なんですね。

エリック・シュミット:
360度のレビューと呼んでいます。ボス、同僚がレビューし、1階級上の人が最終的な評価を下します。


小柳建彦:
中国からのGoogle撤退について本で触れられていました。そこでは意思決定だけではなく、プロセスが重要だと書かれていましたが、そのプロセスとはどのようなものでしょうか?

エリック・シュミット:
私がかつて勤めていたノベルでは「ノベル・ノッド」というものがありました。会議では頷いているのに、会議室を出たら全く逆のことを話すのです。Googleではそのような事が起こってはいけないと考えていました。例え誰かの考えを拒否することになるとしても、反対意見は聞かなければなりません。

中国からのGoogle撤退を決めた時も、朝の4時から会議を行って、できる限りみんなの意見を聞き、最終的には投票で決定を行いました。できるだけ早く動かなければならない状況でしたが、周囲の人間の意見を聞かねばならなかったので、朝早くから意見を集めたのです。そして最終的には北京から香港にサービスを移転することになりました。

小柳建彦:
また、本の中でヒッポ(かば)、つまり最も高い給料を得た人物、にも言及されていました。


エリック・シュミット:
カバは、会社にとって非常に危険な動物です。最も高い給料を得ている人はそれと同じように意見も重視されがちですが、会議においてはさまざまな人の意見を聞くべきです。通常、アメリカ企業の会議では2~3人の男性が発言し、女性はあまり発言しませんが、発言しない人間が最も興味深い意見を持つ可能性もあります。そういう人が意見を聞かれる環境を設けるべきです。

また、本では「ネイブ」と書いた、嘘をついたりする人々にも注意すべきです。

小柳建彦:
Googleでも特定の人がネイブに変身したりすることはありますか?

エリック・シュミット:
もちろん、あります。そういう場合は友人など、周囲の人に話をしていもらいます。人によっては自分の行動が悪い影響を及ぼしていることに気づいていないことがあるので、マネージャーではなく、友人の方から接触してもらうことで解決することもあります。

コミュニケーションの面を含めて、私は基本的に狭いところに詰め込まれた方が生産性が上がると考えています。あと、机も散らかっているほうが個人的には良いと思います。

小柳建彦:
それは統計的に?

エリック・シュミット:
統計的にかどうかは分かりませんが。


村上憲郎:
私も、散らかったデスクの方がいいと思いますね。きれいなデスクは気がおかしくなっているデスクです(笑)

小柳建彦:
それでは、この辺りで最終的なまとめをエリックに行ってもらいたく思います。どうすればスマートクリエイティブに近づけるのでしょうか?

エリック・シュミット:
新しいアイデアは常に存在します。そして人は、新しいアイデアを生み出すか、そうでなければ生み出す人と知り合うことができます。私はこれまで、新しいアイデアを生み出す人々と付き合えてこれて、非常に幸運でした。エネルギーは感染します。そういう人たちと知り合うことが大切なのです。

小柳建彦:
ここのどのような年代の人が集まっているかは分からないのですが、年配の方に言いたいのは、「若い世代の人を信頼してあげてください」ということです。みなさんが30歳のころ、自分は年寄りよりも良いアイデアを持っている、と思っていましたよね。若い世代も同じことを考えているはずです。彼らがやりたいことをやらせてあげること、そして彼らのわくわくした気持ちを持ち続けさせられること。そして若い世代は不安でも自信を持って、アイデアを言葉にして実現できるようにしましょう。

小柳建彦:
では質疑応答に入りたいと思います。

質問:
Google的な組織を作ろうとするとき、やるべきこととやってはいけないことは何でしょうか。また、日本で1から新しい企業を作る時に重要なものは何でしょうか。

エリック・シュミット:
会社を作るときに重要なのはビジョンを作ること。それにインパクトがあれば必ず人はついてきます。

村上憲郎:
日本の古典的なビジネスを変えるために重要なのは、まずITがいかに重要であるかを認識することです。そしてITに親しみのない50代の人たち、定年退職後の世界を考えている人は「とにかく口をとじとけ」ということ(笑)。ITが分からないのならば、若い人に任せておきましょう。


質問:
世の中を良くしたいという姿勢により、Googleはあらゆるものをオープンに公開しています。そこで聞きたいのが、オープンソースにする際は、事前にどこで収益をあげるかを計算してオープンにしているのかということです。それとも、ただひたすらに世の中をよくするためにやっているのでしょうか。

エリック・シュミット:
オープンソースの手法はGoogleでよく用いられていますが、その多くはプラットフォームを対象にしています。プラットフォームはオープンの状態にすることで、多くの人が強化してくれるので、我々は強化されたプラットフォームを使い、別のところで収入を得る形です。

質問:
予算が制約され、評価のルールも非常に厳格な中で、個人の評価は非常に難しいところです。クリエイティブを進めて行くための評価は、どのように行うべきでしょうか。

エリック・シュミット:
チームとして誰が一番いい仕事をして、誰がダメなのかはチームが知っています。とにかく、チームメンバーに話を聞く事が大切です。


質問:
本の中で「もっと早くコーチを付けるべきだった」という文章がありましたが、コーチつけて大きく変わった点は何でしょうか。

エリック・シュミット:
はじめ、私にコーチはいませんでした。私はコーチをつけるべきではないと考えていましたし、「テニスにコーチは?」「いるね」「フットボールにコーチは?」「いるね」「あなたにコーチは?」「いらないよ」という問答もしました(笑)。しかし、ビル・キャンベルと会って、対話できる相手、つまりコーチがいればより効果的に仕事を行えると知りました。難しい問題を相談できる相手は大切です。今はコーチをつけるべきだと考えていますよ。

質問:
自宅勤務についてどう思っていますか。

エリック・シュミット:
「家にいても自宅勤務ができる」という意見がもてはやされている時期もありましたが、これは非常にまずいことです。クリエイティビティは何げない会話から生まれます。もちろん例外はありますが、一般原則として在宅勤務はよくないアイデアだと考えています。


なお、当日の様子は以下のムービーから確認可能です。

【11月4日】Googleエリック・シュミット氏が語る「インターネットの未来と私たちの働き方」 - YouTube


また、今回のイベントの中心となった本「How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント」はAmazonから税込み1944円で購入可能となっています。

Amazon.co.jp: How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント: エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル, ラリー・ペイジ, 土方 奈美: 本


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in 取材, Posted by darkhorse_log

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