サイエンス

地球に衝突しそうな小惑星はまだ10%しか発見できていない


2014年9月8日に地球をかすめるように小惑星「2014RC」が通過していきましたが、2014RCのように地球付近を通過する小惑星は非常に多く、巨大な小惑星が地球に衝突する可能性については常に注意が必要であることを、あらためて思い知らされました。しかし、地球に衝突する危険性のある小惑星の発見は思うようには進んでいないようです。

NASA is supposed to spot 90% of dangerous asteroids by 2020. It's at 10% - Vox
http://www.vox.com/2014/9/16/6226379/nasa-asteroid-risk-location

直径12メートルの小惑星・2014RCは、2014年9月8日午前3時18分頃、地球から約4万kmの距離を通過していきました。4万kmというと結構離れているとも思えますが、地球から月までの距離が約38万kmであることを考えると、月より10倍近い位置を通過した2014RCは宇宙スケールで見れば地球の至近距離を通過した小惑星といえます。


このような地球に衝突する危険性がある小惑星のうち、6500万年前に地球に衝突して恐竜の絶滅を招いたと考えられているような直径10kmサイズの巨大なものについては、その約90%が発見済みで、幸運なことにどれも地球に衝突し得る軌道には乗っていないことが分かっています。なお、地球に接近する小惑星の全個体数を正確に知ることはできないため、「90%」という数字は、危険な小惑星のマッピング作業においては「十分に特定できている」と判断できる合理的な数字であるとのこと。


しかし、巨大な小惑星と違い、直径数百メートル程度の中規模サイズの小惑星については特定作業が遅れているとのこと。なお、1908年にシベリアに衝突した(ツングースカ大爆発)直径30メートルから60メートルの小惑星が地球に与えたエネルギー量は、広島に投下された原子爆弾の1000倍以上であると推測されています。

このような地球への衝突の危険性がある小惑星の存在が次第に認識されるのに伴って、地球に最接近する小惑星を発見するための米航空宇宙局(NASA)のプロジェクトへの予算は2009年以来400万ドル(約4億3000万円)から4000万ドル(約43億円)に増やされており、現在、NASAは小惑星発見のために地球上に望遠鏡を設置するだけでなく、宇宙空間で小惑星を観測できる望遠鏡「NEOCam」の打ち上げも計画中です。


しかし、NASAの最近のレポート(PDFファイル注意)によると、現在までに中規模サイズの小惑星は約10%程度しか把握されておらず、その特定作業を急いで進めていく必要性が明らかにされています。なお、NASAは2020年までに中規模サイズの小惑星の90%を発見することを目指しているとのこと。


仮に、地球に衝突する可能性が高い小惑星が発見された場合、宇宙空間で核ミサイルを小惑星に撃ち込み軌道を変えることで地球への衝突を避けるという「小惑星迎撃計画」が持ち上がっており、この計画について国連が各国の協力の必要性を提唱していますが、25億ドル(約2700億円)かかると推察される費用の分担がネックとなって遅々として計画は進んでいません。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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