サイエンス

太陽エネルギーの85%を蒸気に変換する新構造をMITが開発


太陽光を集めて蒸気タービンを回転させる発電方法が「集光型太陽熱発電」ですが、蒸気を発生させるために必要な強度の太陽光を集光するためには大規模な太陽炉が必要となります。MIT機械工学部ではそんな蒸気の生成に注目し、大規模な設備や多額の費用をかけることなく太陽エネルギーの85%を蒸気に変換できる構造を開発しました。

Steam from the sun | MIT News Office
http://newsoffice.mit.edu/2014/new-spongelike-structure-converts-solar-energy-into-steam-0721

MITが開発した新しい太陽光蒸気生成システムは、円筒形で内部が二重の層になっています。上位の層は黒鉛にマイクロ波を当てて多孔性を持たせたもの、下の層は絶縁体の役割を果たすカーボンフォームで、これを水に浮かせて使用します。日光が当たると黒鉛層の中にホットスポットができて、黒鉛の中の気孔から水が吸い上げられるため、水が温められて蒸気になります。日光が強ければ強いほど多くの蒸気が生成されることになります。

この新しい構造は比較的低い温度の太陽光で、熱をほとんど逃さずに蒸気を生成することができ、円形の構造を水に浮かせるだけというシンプルな仕組み。大規模な設備と太陽光を集中させる高価な太陽炉などを複合させる必要はないため、太陽熱発電の著しい改良が期待されています。

By Joseph Giral

研究チームが通常の晴れた日の日光の強度で実験を行ったところ、85%の変換効率での10回の蒸気の生成に成功しています。MIT機械工学部の研究員Hadi Ghasemi氏は「構造に使用する素材によってはさらに効率的を上げることも可能です」と説明します。


この構造は比較的安価な材料で作ることや小型化が可能なため、脱塩装置や殺菌などを行う衛生システムなどのさまざまな蒸気を使う機関への応用が可能とのこと。Ghasemi氏は「特に太陽が唯一のエネルギー源である僻地では、太陽光による蒸気の生成は非常に有益になるでしょう」と話しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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