取材

南北アメリカ大陸を自転車で縦断するには521日と2万5698kmが必要でした


諦めることなく走り続ければ、必ず目的地に辿り着けるのが自転車旅行の魅力です。2012年9月24日にカナダのバンクーバーをスタートして、2014年2月27日にアルゼンチンのウシュアイアに到達で南北アメリカ大陸縦断を達成しました。できることならアラスカのアンカレッジからスタートしたかったのですが仕方ありません。季節を繰り越さず予定通りに走りきっただけでも良しとしましょう。ロッキー山脈、グランドキャニオン、アンデス山脈、マチュピチュ、ウユニ塩湖、パタゴニアと誰もが目指すルートだけあって走り応えも十分でした。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。南米の最南端を控えたサイクリストなら無料で泊まれるパン屋さんと、ウシュアイアにある伝説の日本人宿のコンボは神がかっていました。南北アメリカ大陸縦断と同時に、最初に思い描いていた自転車世界一周も旅も完成。行きたい場所が残っているので終わりにはできませんが、一区切りはつきました。

南北アメリカ大陸縦断の軌跡はこのような形に。パナマからコロンビアは飛行機を使っています。

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ウシュアイア到達
フィッツロイのトレッキングとペリト・モレノ氷河の観光を終えたカラファテから針路を南東にとってリオ・ガジェゴス(Rio Gallegos)へ。そこから更に南に進むと南アメリカ大陸も終わってしまいます。

マゼラン海峡を越えてフエゴ島へ。


数えてしまうといつまで経っても眠れなくなりそうな羊の大群。


フエゴ島はサイクリストパラダイスで、一日には必ず誰かと会っていました。


ゴールを控えた歴戦の強者が多くて、ここにいるサイクリストは貫禄が違います。


100メートル先にガソリンスタンドと思ったら、「100キロメートル先」……。


川の脇にテントを張って野宿。


最果てを感じる景色に、ついカメラを向けてしまうのです。


ウシュアイアの約100kmに位置するトルウィン(Tolhuin)という町。


この町にあるパン屋「ラ・ユニオン(La Unión)」はサイクリストを無料で泊めてくれることで有名で、自分も一晩お世話になりました。


パン屋だけあって小麦粉の山。ちなみに、ここで販売されているパンも絶品です。


駐輪している5台の自転車。自分が泊まった日はコロンビア人2人、オランダ人1人、カナダ人1人と一緒でした。


ここが寝室。宿ではないので寝袋が必要ですが、雨に濡れない寝床があるだけで十分です。数日ぶりに浴びた熱々のシャワーも最高でした。


壁に描かれたサイクリストたちの熱い寄せ書き。


自分も落書きしました。イメージは追い風に喜ぶチャリダーマン。


到着と同時に「お腹空いてないか?」と鶏肉の差し入れ。それだけに留まらず、夕食まで提供してくれたりと至れり尽くせりでした。


ここではスプロケットが緩んでいるというまさかのアクシデントを発見して、誰かが残していったモンキーレンチを借りて対処。ウシュアイアから首都ブエノスアイレスまでの航空券は入手しておいたので、飛行機に持ち込めない調理用のガソリンも引き取ってもらいました。トルウィンで一息つけるからこそ、落ち着いてウシュアイアまで走ることができます。パン屋「ラ・ユニオン」には感謝をするしかありませんでした。

ずっと草原しかなかったのですが、フエゴ島南部は森林地帯となっていて景色も変化に富んでいます。


トルウィンから通常なら向かい風になる道でしたが、この日は風は吹かずにウシュアイアに到着。


色んな所に不具合を抱えながらも、ここまで運んでくれた愛車に感謝。


港近くの公園にある「fin del mundo(世界の終わり)」という看板の前で記念撮影。南北アメリカ大陸縦断の旅が終わった瞬間でした。


夏の終わりだというのに最高気温が9℃。


ここはカニが有名なようです。


「車のガソリンもブエノスアイレスから船でやって来る」と聞いた事もあって、気になってしまったコンテナ基地。陸路だと3000km近くあるので、航路を使って一回で大量に運ぶ方が効率がいいのかもしれません。


ウシュアイアの滞在先は日本人宿である上野山荘へ。


こちらが談話室。


壁は旅人たちが残していった記念写真でいっぱいです。


バイカー、チャリダーノートたるものも存在。知人のチャリダーの足あとはまだしも、ミキハウスで有給休暇を貰って旅をしていた坂本達さんのメッセージまで残っているから凄い。もちろん自分も書込させて頂きました。


上野山荘はウシュアイアに移住した上野夫妻が作った宿で、自分が憧れるサイクリストの待井剛さんも20年前の1994年にお世話になっています。2002年に旦那さんが亡くなり、2010年に奥さんも亡くなられてからは旅人が管理人をしている状況で、引継ぎ次第では閉鎖の噂も流れていたので、今回訪れることができたのは本当に幸運でした。

ずっと追いかけてきたサイクリストたちの背中にも届くことができて、旅を一区切りさせるには相応しい素敵な場所となっています。そして、2002年の日本一周の時に「アメリカ大陸を歩いて、工事現場で亡くなった」と断片的な話しか聞いていないのに、ずっと頭の片隅には残っていた人物を上山荘で発見したのも導かれている気がしました。

海外おすすめルート
アフリカの喜望峰に続いて、南米のウシュアイアにも到達したので、自転車で海外を走るならオススメしたい場所やルートをまとめてみました。端っこにある記念碑と、手付かずの大自然に弱いのは自分だけではないはずです。

オーストラリア:ワーキングホリデーもあって592日の滞在で1万9019kmを走りました。エアーズロックもあるセントラルハイウェイや、1000km以上も町がないナラボー平原など、好きなだけ地平線を追いかけ回すことができます。


シルクロード:中国のウイグル自治区から中央アジア、イラン、トルコを抜けていくシルクロードは陸路でアジア横断ができる確実なルート。アジア横断も南の方だとミャンマーやパキスタンの陸路が難しく、北の方ではロシアのビザが厄介です。シルクロードを進むと「青の都」とも呼ばれるウズベキスタンのサマルカンドも通ります。


イスタンブール:アジア横断のゴールにも、ヨーロッパの旅のスタートにもなるのがトルコのイスタンブール。イスラム教とキリスト教、東洋と西洋といった歴史と文化が交差する刺激的な場所でした。ボスポラス海峡を吹き抜ける海風も気持ち良く、また訪れたい町の一つとなっています。


ノールカップ:ノルウェイのノールカップはヨーロッパ最北の地。厳密には最北の場所は他にあるようですが、記念碑があるのでみんなここにやって来ます。南米ウシュアイアの南緯54度80分からしたら、ノールカップの北緯71度10分は極地に近く、北極圏すらを越えているので、夏至には白夜がやって来るそうです。


ロカ岬:ユーラシア大陸の最西端となるのが、ポルトガルのロカ岬。アジアをスタートして、ここに辿り着いたらユーラシア大陸横断の達成です。自分はここで未だ見ぬアメリカ大陸に想いを寄せました。


サハラ砂漠:西アフリカのモロッコからセネガルまでのサハラ砂漠縦断。南下をすれば追い風を目一杯受けることができます。同様にエジプト、スーダン、エチオピアと東アフリカからサハラ砂漠を南下するのも魅力的。


アフリカゾウ:現地の人に「自転車で旅行って、野生動物は怖くないの?」と聞かれるのがアフリカの旅です。タンザニアのミクミ国立公園の道脇には野生のアフリカゾウがウロウロとしてました。


喜望峰:ケープタウン近郊の喜望峰はアフリカ大陸のゴールに相応しい場所で、自分はモロッコから2万3639.25kmを走ったアフリカの旅における終着点でした。ちなみにアフリカ大陸の最南端はアガラス岬なのですが、マイナーなこともあってゴールにしづらい感じですね。


グランドサークル:アメリカ合衆国のユタ州南部からアリゾナ州北部にかけてのグランドサークルと呼ばれるエリアにはグランドキャニオン、ブライスキャニオン国立公園、アーチーズ国立公園といった大自然の創り出した芸術的な景色が広がっています。


アンデス山脈:コロンビアから始まってエクアドル、ペルー、ボリビアとアンデス山脈と格闘する毎日。1日かけても登り切れない峠が出てきたり、人生の最高となる標高4910mの峠を越えたりと随分と鍛えられました。アンデスの高地で見た澄んだ色をした青い空は忘れることができません。


ウシュアイア到達で、これまでの旅が96ヶ国と11万5608.65kmとなったのですが、行きたい場所が残っているので、もう少しだけ旅を続けます。4月末にブラジルから100カ国目となるチュニジアへの航空券は入手済み。一つ一つ終わらせていって、満足いく形で旅をまとめていきます。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材,   乗り物,   ,   ピックアップ, Posted by logc_nt

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