野球・サッカー・バスケなどあらゆるスポーツの中でどの試合が盛り上がっているかを数値で示してくれる「Gambletron 2000」

By gravitat-OFF

週末のスポーツ観戦を楽しみにしている人も多いと思いますが、自分の応援しているチームなどがない場合はなんとなく適当に観戦する試合を決めてしまったりするもの。しかしそういう場合に限って他の試合がものすごい盛り上がりをみせ、歴史に残る名勝負を見逃してしまうこともあります。そんなことが起きないように、スポーツギャンブルのデータを集めて試合の盛り上がり具合を数値化してくれるのが「Gambletron 2000」です。

Gambletron 2000
http://www.gambletron2000.com/

◆Gambletron 2000の製作経緯

2007年1月2日、カレッジフットボールのフィエスタボウルという大きな大会で、ボイシ州立大学がオクラホマ大学の強豪チームに勝利しました。その試合の最中、Gambletron 2000の製作者はオンラインギャンブルサイトTradesports.comのオッズが表示されているページをずっと眺めていたそうです。

現代のスポーツギャンブルでは試合中にベットすることもでき、各試合のオッズは試合の行方に合わせて絶えず変化していきます。なので、ボイシ州立大学対オクラホマ大学の試合のオッズを示すグラフは心電図のように激しく変動しまくり、ボイシ州立大学の勝率が90％になったかと思うと、1分後にはオクラホマ大学の勝率が95％になったりしたそうです。

By Ed Yourdon

この試合の後に「試合中のオッズ変動が激しければ激しいほど、その試合は逆転に次ぐ逆転が巻き起こっている白熱した試合なのでは」と思いつき、Gambletron 2000が作られることになったようです。

例えば2014年のBCSナショナル・チャンピオンシップ・ゲームのフロリダ州立大学対オーバーン大学の試合は世界的に注目を集めたスリリングな試合になったのですが、試合のオッズも試合終了まで激しく変動し続けていました。

以下のグラフはフロリダ州立大学対オーバーン大学の試合のオッズを表したもので、縦軸がフロリダ州立大学の勝利する確率、横軸が時間を表しており、試合開始から終了までのオッズ変動を表しています。

試合開始前まではフロリダ州立大学が勝つと考えるギャンブラーが78％もいたのですが、実際に試合が始まると序盤はオーバーン大学が21対3で圧倒的にリードしました。これによりオーバーン大学の勝率が一時は75％まで上昇しています。

なお、この試合のハイライトは以下から見ることができます。

Florida State Seminoles vs. Auburn Tigers - Recap - January 06, 2014 - ESPN
http://espn.go.com/ncf/recap?id=340060002

これに対して、以下のグラフはSuper Bowl XLVIIIで行われたシアトル・シーホークス対デンバー・ブロンコス戦のオッズ変動グラフ。

この試合の最終的なスコアは43-8で、この数値が示すとおり試合は一方的な展開となり、オッズの変動もあまりありませんでした。以下リンクのハイライトムービーを見てもシアトル・シーホークスの選手が一方的に攻めまくっていることが分かります。

Super Bowl XLVIII: Seahawks vs. Broncos highlights - NFL Videos
http://www.nfl.com/videos/nfl-game-highlights/0ap2000000323054/Super-Bowl-XLVIII-Seahawks-vs-Broncos-highlights

現在Gambletron 2000で集めているデータはアメリカンフットボールのトップリーグであるNFLとカレッジフットボールのトップリーグであるNCAA Football、アメリカのプロバスケットボールリーグNBAと大学バスケットボールリーグNCAA Basketball、他にもプロホッケーリーグのNHLやプロ野球リーグのMLB、さらにサッカーのプレミアリーグとUEFAチャンピオンズリーグのリアルタイムギャンブル市場でのデータを集めており、「どの試合が白熱したのか」だとか「リアルタイムで進行中の試合の中でどれが盛り上がっているのか」などを見ることができます。

◆実際に使ってみた

「Gambletron 2000」のトップページ赤枠部分には、現在試合中のスポーツのオッズ変動グラフ、もしくはこれから開催される予定の試合のオッズ変動グラフへのリンクが表示されています。リンクが何のスポーツのオッズを表示しているのかはアイコンを見れば分かります。

トップページ上部にある「Filter by Sport…」をクリックすれば、特定のスポーツのみを表示させることも可能。

さらに、ページ中段にある「Sort by start time」をクリック。

ここから試合の「start time(開催時間)」もしくは「hotness(盛り上がり具合)」順にアイテムを並べ替えることができるので、「Sort by hotness」をクリックして盛り上がった試合を表示してみることに。

するとこんな感じに並び替えが完了。赤枠部分の数値が試合の盛り上がり具合を示す数値になります。

Gambletron 2000でさまざまなスポーツのデータを収集し始めたのが2013年10月からで、それ以降の期間で最も盛り上がったとされるのが、2013年12月8日に行われたボルティモア・レイブンズ対ミネソタ・バイキングスの試合。この試合では逆転に次ぐ逆転が巻き起こり、試合残り45秒のところでレイブンズがスコアをリードされたのですが、タイムアップ4秒前にタッチダウンを決めて逆転勝利を収めました。

このように最も白熱した試合はNFLの試合であったにもかかわらず、Gambletron 2000のデータベースはNBAの試合が最もエキサイティングなスポーツであるとしています。これは「hotness」の数値が高い順番に各アイテムを並べ替えてみると、トップ50のうち40個がNBAの試合になっており、Gambletron 2000のデータから見るとNBAが最もエキサイティングなスポーツリーグであるようです。

さらに各スポーツリーグごとの平均値を見てみると、NBAは908、NFLは843で、小差ではありますがNBAの方がNFLよりも「hotness」の値が高いことも分かっています。なお、他のスポーツリーグの「hotness」の平均値は、NHLが680、大学リーグであるNCAA FootballとNCAA Basketballはそれぞれ531と712でした。大学リーグに所属するチームの間には、プロリーグのチームごとの実力差よりも大きな差があるので「hotness」の平均値が低くなるのは仕方がない、とGambletron 2000の製作者は記述しています。

By Rondo Estrello

さらに、各リーグの「hotness」の平均値を試合の前半と後半に分けてみると、どのリーグも前半よりも後半の「hotness」の値の方が高い値を示したとのこと。中でもNBAは特に前半と後半の「hotness」の値に開きがあり、前半は全リーグ中最も低い「hotness」の平均値を示すのに対して、後半はどのリーグよりも高い値を出すとのこと。これらのデータからGambletron 2000の製作者は「だからNBAの前半は退屈なのかも」とコメントしています。

そして、試合前の「hotness」の値と最終的な試合結果の関係性を示したグラフがこれ。グラフを見ると、試合前の「hotness」が高ければ高い程、どちらのチームが勝つのか分からない展開が多いということが分かります。

Gambletron 2000では、リアルタイムで行われている全てのスポーツの中で最も盛り上がっているものを示すことも可能なので、「とにかく白熱した試合を見て熱くなりたい」といった場合や、「エキサイティングなスポーツの試合が見たい」といった場面などで使えそうです。