写真の中の物をなぞるだけで3Dモデリングしてレタッチまでできる驚異の技術が登場
3Dモデリングと聞くと、初心者が習得するには途方もない時間がかかってしまいそうで、難易度の高い印象を受けてしまいがち。しかしながら、香港で開催されたCGに関する最先端技術が集結するSIGGRAPH Asia 2013において、写真上のオブジェクトをマウスでなぞるだけでモデリングでき、そのまま変形させたりできる驚きの技術3-Sweepが紹介されました。
Ariel Shamir's Homepage
http://www.faculty.idc.ac.il/arik/site/3Sweep.asp
3-Sweep: Extracting Editable Objects from a Single Photo, SIGGRAPH ASIA 2013 - YouTube
3-Sweepはとてもシンプルで、まずは対象物の底面の2辺をマウスでなぞります。
同様に対象物の頂点までなぞると……
モデリング完了。
曲線を含んだ対象物もなぞるだけでモデリングできます。
モデリングが完了したら写真上でオブジェクトを動かせます。
円形のオブジェクトも先のものと同じ要領でモデリング可能。
瓶のような特殊な形状をした対象物もマウスで口の部分をなぞって……
瓶の底に向かって動かすだけでOKです。
蛇口のような複雑な形状をしたものも、パーツごとにモデリング。まずは取っ手の部分から開始。
次に胴体の部分。
最後に壁の方から蛇口をモデリングします。
モデリングした後は対象物を回転させてみます。まずは回転する軸を決めて……
取っ手の部分を回転させると、十字型の取っ手に変化しました。
さらに蛇口全体を選択して……
回転させると新たな蛇口が出現。
巨大な望遠鏡をマウスでなぞってモデリング。
回転させる軸を決めて望遠鏡の角度を変えます。
レンズ部分を引っ込めて……
細くしてみました。
胴体部分などを変形させて、最終的に小さな望遠鏡の完成。
先端が同じ形状をしている燭台(しょくだい)は、一番上のものをモデリングしてコピー。
そのままドラッグして別のものに合わせると自動的にリサイズしてモデリングしてくれます。
S字型の柄の部分も同様にコピーして……
右側にドラッグ。
クルッと回転させるとぴったりのサイズにモデリング。
モデリングした燭台を回転させて、ろうそくを設置する部分を増加。
最終形はこんな感じです。
次は街灯をモデリング。
電灯の部分をコピーして増殖。
街灯全体をコピーして画像のいろいろな場所に設置することも可能です。
たくさんの柄が付いている燭台も1つずつモデリングします。
モデリングした部分を土台から切り離し。
柄を色んな方向に向けてみると……
全く違う形の燭台が完成。
1枚の画像に複数の対象物が含まれていても、1つずつモデリングできます。
手前の燭台、奥にある花瓶と置物を順番にモデリング。
3つの対象物を違う場所に移動させました。
こちらはパリにあるクレオパトラの針と呼ばれる建造物。土台の部分だけをモデリングして……
別の画像の部分に縮小して貼り付け。
このままでは土台の色だけ違うので、上の部分から色をコピーして調節します。
拡大してみると、別の写真からモデリングして取り出した土台の表面に彫られた模様も再現されています。
シンプルに使えて完璧に見える3-Sweepですが、失敗することもあるようです。例えば歯磨き粉の底は平面ではないためモデリングすることができません。
また、対象物の周囲が不明瞭でぼやけてしまっている場合、3-Sweepは形状を認識できないようです。
上記のような欠点があるものの、3-Sweepはマウスを使って対象物をなぞるだけでモデリング可能という画期的技術となっており、さらに写真上でこのような感じで自由自在にレタッチできる技術は今までにないもの。YouTubeに寄せられたコメントでは、近い将来に画像編集ソフトなどへの採用を希望するコメントが投稿されており、さらに発展すれば人間や植物などの有機物のモデリングも可能になっていきそうです。
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