共同・朝日記者が遠隔操作ウイルス事件関連の不正アクセスで書類送検、「犯罪は成立しない」と朝日新聞見解
by Mustafa Khayat
2012年10月ごろから話題になった掲示板のスレッド経由の遠隔操作で犯罪予告を行う遠隔操作ウイルス「iesys.exe」は、2013年2月に容疑者が逮捕されたことで解明に向かうかと思われましたが、警察はウイルス作成容疑では立件を見送っています。
そんな中、この遠隔操作ウイルスの犯行声明を送るのに使われたサーバーに対して不正ログインを行ったとして、共同通信と朝日新聞の複数の記者が書類送検されることが明らかになりました。これに対して、朝日新聞は「不正アクセス禁止違反の犯罪は成立しないことが明らか」だと見解を表明しています。
朝日新聞デジタル:朝日・共同記者を書類送検 不正アクセス禁止法違反容疑 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0625/TKY201306250063.html
朝日新聞デジタル:朝日新聞記者の不正アクセス容疑について - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0625/TKY201306250088.html
朝日新聞社では顧問弁護士と事実関係を調査・検討した結果、この犯罪は成立しないという見解を表明しました。
その理由として、1点目に「『当該識別符号の利用権者』がアクセスを承諾していた」ことを挙げました。
これは、犯行声明メールが送られてきたときに、そのメールアカウントを使用するためのパスワードがメール中に記載されていたということ、そして、メール本文中にも、このパスワードを使って問題のメールアカウントにアクセスすればメール送信者が真犯人であることが証明され、誤認逮捕された人の容疑が晴れることになるという旨のことが書かれていて、「送信者はメールアカウントに対する誰からのアクセスも承諾していた」と考えられるため。
2点目は「報道機関として必要な取材であり、正当な業務行為 」ということ。
遠隔操作ウイルス事件は社会的に関心を集めた事件であり、今回のアカウントへのアクセスは「真犯人」を名乗ったメール送信者が本当にこのメールアドレスから犯行声明を送ったのかを確認するためのものであって、報道機関の記者が正当な取材として行った行為は、犯罪の構成要件に該当するとしても、正当な業務行為として違法性を欠き処罰されることはない、とのこと。
この見解については、朝日新聞社は顧問弁護士名で意見書としてまとめた上で、警視庁刑事部に提出済みだとのこと。
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