レビュー

780km上空の人工衛星を基地局にして僻地から通信・通話ができる携帯電話「イリジウム Extreme」実機レビュー


携帯電話から人工衛星にアクセスすることで、地上の基地局からの電波が届かないような場所でも通話や通信が可能になる「衛星電話」。日本ではモトローラ傘下の企業が打ち上げた衛星ネットワーク「イリジウム」を利用して、KDDIがサービスを提供しており「イリジウム Extreme」という端末が利用できるということなので、実機を借りて隅々までチェックしてみることにしました。

◆イリジウムの仕組み

地上約780kmにある66個の人工衛星を使用して通信網を構築しているので、地球全体がサービスエリアです。なお、北朝鮮とスリランカの北東地域では使用が不可能とのことで、室内および空が広く見えない場所では通話できない場合があるそうです。

ネットワークのイメージは以下の通りで、イリジウム携帯同士の通話は人工衛星のみを経由して、一般電話との通話は人工衛星と「地球局」を経由して行います。


通信に使用する人工衛星はこんな感じ。ちなみにWikipediaの記述によれば、ピカピカと光をよく反射するので地上からの視認性が高く、UFOと誤認されることもあるのだとか。


なお、KDDIのサイトでは以下の2点がイリジウム携帯のメリットとして紹介されています。

イリジウムは衛星を経由して通信するため、地上の通信手段がない場所でも利用できます。コンパクトで持ち運びにも最適です。

災害時は固定・携帯電話が利用可能な場所でも規制がかかり使用できなくなる場合があります。衛星を活用するイリジウムなら影響を受けずに通話できます。


◆フォトレビュー

割とラフな包みでデモ機が届きました。


端末はマレーシア製のようです。


本体の大きさはiPhone 4より1回り大きい程度ですが、太いアンテナが付いているので縦の長さは2倍近くになっています。


重量は約246グラムとラクラク持ち歩きできるレベル。


成人男性の手にスッポリと収まる大きさ。


側面はラバー製で凹凸が付けられており、とても滑りにくくなっています。


外見は昔の携帯電話みたいですが、最新鋭の端末です。なお、本体サイズは縦140×横60×厚さ27ミリで、-10から55℃の環境で動作可能。水没には耐えられませんが水がバシャバシャと掛かる程度なら故障せず、粉じんにまみれるような状況でも使用可能です。


キーはこんな感じ。


凹凸が大きく、プチプチという感じのしっかりした押し心地。


背面はマットブラック一色。この面もゴムのような素材でできており、車のダッシュボードの上などに置いておく際に滑りづらそうです。


電池パックを取り外すには、金属のツマミを回します。


反時計回りにひねると……。


「パカッ」と取り外し可能。電池の容量は2300mAhで約30時間の連続待ち受け、約4時間の連続通話が可能です。


カードスロットを写真左方向に引っ張ると……。


約45度の角度で起き上がってくるので引き抜けます。


カードにもIRIDIUMの文字が書かれています。


反対側は赤と黒のストライプ。なお、試しにauのSIMカードを挿してみたところ使用することはできませんでした。


通話時に右になる側面はこんな感じ。


ストラップホールがあるので……。


以下のように使用可能です。揺れの激しい船舶上などで使用する際にはこれがあるとかなり心強いハズ。


厚さはiPhone 4の約3倍。


ヘッドフォンジャックもありますが細めの穴なので、専用のヘッドセット(税込2100円)などを使用する必要があります。


端末上部にあるボタンを押すことで、GPSを使って一発で現在位置を割り出す機能も備えています。


日本語の表示がこなれていない部分がありますが、ちゃんと位置情報が表示されます。


左側面はこんな感じ。


音量調整ボタンが付いています。


底部は以下の通り。


カバーを開けると充電などに使用する端子が登場。


充電をするには、まず以下のようなアダプターを下部に装着します。


「カチッ」と押し込めばOK。


こんな感じで取り付けられます。


さらに、専用のACアダプターを……


「プスッ」と挿します。


するとこんな感じで充電可能。


本体と充電セット1式を合わせても400グラム未満と軽量。


本体上部は以下の通り。


電源ボタンはこうなっています。


アンテナを伸ばすとこんな感じ。


「SOS」と書かれたキャップがあるので……。


開けると中には赤いボタンがあります。事前に設定をしておくと、このボタンを押すだけで特定の相手に緊急事態を知らせるSMSを送ったり通話を発信したりできます。


◆価格

本体に充電器、ヘッドセット、補助アンテナなどが付属する「イリジウム標準セット」は以下の通りで、実売価格は税込25万円前後です。


回線契約の料金は月額6000円と5000円の2パターン。5000円プランは無料通話1000円分、6000円プランは無料通話2000円分がついてきます。


通信料は固定電話・一般携帯電話宛てが6000円プランの場合55円/20秒、5000円プランの場合は63円/20秒、イリジウム携帯宛が6000円プランの場合35円/20秒、5000円プランの場合は40円/20秒となっており、着信は全て無料です。


なお、旧モデルのみとなりますが、1週間2万4000円からレンタルも可能。


一般の人が気軽に購入できる値段ではありませんが、一世一代の冒険に出かける際や企業の災害対策などに役立ちそうです。

・次の記事
衛星電話「イリジウム Extreme」を3Gが圏外になる山中で実際に使ってみた

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in レビュー,   モバイル, Posted by darkhorse_log

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