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ゲームの世界を押し広げるために作られた「L.A.ノワール」とは?


「L.A.ノワール」は、「グランド・セフト・オート」シリーズで世界を席巻し、今最も注目される開発会社のひとつロックスター・ゲームスが新技術「MotionScan」を擁するチーム・ボンディとタッグを組み、「ゲームの世界を押し広げること」を目標に開発されたゲームです。

7月7日の日本語字幕版発売を前に、開発の経緯などを聞きつつ少しだけ実際のゲームをプレイすることができたのですが、その内容はまさにゲームの新しい時代を感じさせるもので、スーパーファミコンや初代PS、PS2の時代、ドラゴンクエストファイナルファンタジーメタルギアソリッドなどの新作が発売されるたびに感じた「これからゲームはどう進化していくんだろう?」という新鮮な驚きと期待を感じさせてくれる作品となっていました。

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中でも最も驚いたのは、このゲームが「キャラクターの表情を読み取って、キャラクターの嘘を見抜く」という要素を取り入れていること。L.A.ノワールは、新技術「MotionScan」を使って、現実の俳優の表情をあらゆる角度から撮影、これを3Dモデルに再構築し、極めて微妙な表情の変化までを、ゲームの中で精密に再現しています。下のムービーでは、MotionScanに関する詳細が説明されています。

YouTube - 演出の裏に隠された技術 トレーラー


MotionScanでは32個ものカメラを異なる角度に設置し、あらゆる表情の変化を3Dモデルに取り込みます。


撮影はイスに座って行われますが、モーション・キャプチャーが真価を発揮できるのは50cm四方程度の小さな範囲だけなので、顔の動きがこの範囲を出てしまうと即撮り直しとなります。こうした撮影手法は、役者も初めての体験なので、アクションシーン用の表情撮影ではかなりの苦労があったようです。特に主人公であるフェルプス刑事役のAaron Staiton氏は、撮影に約80時間も拘束されたとのこと。


ゲームのシーンは、2段階で撮影されます。まずはモーション・キャプチャーで体の動きをトレースします。


そしてMotionScan。最終的には400人以上に及ぶ人物のMotionScanが行われたとのこと。


主人公役のStaiton氏もゲームが大好きということで、今回の配役も喜んで引き受けたものの、まさかゲームの撮影がこんなにも大変だとは思わなかったと語っているそうです。


こうして俳優の表情をあらゆる角度から詳細に読み取り、3Dにモデリングされた映像がゲームシーンに反映されていきます。


嘘をついている人の表情が、動きを伴ってリアルに表現されています。表情の変化についてはぜひムービーを確認してみてください。ストーリーの最初のほうでは明らかに嘘をついていると見抜けるような極端な表情が見られますが、後半になると、現場での調査や人間関係を理解していないと見抜くのが難しい嘘も登場します。嘘は見抜けなくても、回り道をすることで捜査を進めることができますが、ひとつの事件を解決するたびに捜査の評価が行われ、正しく尋問が行えたかどうかも評価の対象となります。


「ものをリアルに再現するレベルはどんどん上がっています。ただ、従来の技術では、満足のいく作品は実現できませんでした。誰かの嘘を、微妙な表情からは判断できません。ですが、今回の技術を使えば、見るものすべてが意味を持つのです」とチーム・ボンディのマクナマラ氏が語るように、これまでのゲームではいくらリアルなキャラクターを作っても、人間の微妙な表情までを再現することはできませんでした。


マクナマラ氏は、ロックスター・ゲームスのトップであるサムズ氏がソニー・コンピュータエンタテインメントのロンドンスタジオに勤めていた時代の同僚で、よく2人で中華料理屋に行ってはゲームについて熱く語っていたそうです。マクナマラ氏であればロックスター・ゲームスの求めるゲームを理解してもらえるということで、今回の提携に至ったとのこと。

下のムービーは、ロックスター・ゲームスの前作「レッド・デッド・リデンプション」のプレイムービー。極めて美しく精密に西部の開拓時代を表現したゲームですが、「キャラクターが表情で何かを語る」ところまでは到達していません。

YouTube - RED DEAD REDEMPTIONゲームプレイ・シリーズ:イントロダクション


そしてこちらのムービーはL.A.ノワールのオリエンテーションムービーですが、キャラクターの表情の描写に歴然の差を見ることができます。

YouTube - 「L.A.ノワール」第1ゲームプレイビデオ「オリエンテーション」


ゲームの舞台は1947年のロサンゼルスを緻密に再現しています。


主人公のコール・フェルプスは、第二次大戦で沖縄での戦いにも従軍し、勲章を受勲した英雄ですが、戦争で受けた心の傷を、市民に奉仕することで埋めるため、ロス市警に入ります。


ロックススター・ゲームスと言えば、「極めて自由度が高く、さまざまな悪行がゲーム中で行えるバイオレンスな作品」のイメージが強いのですが、これは代表作である「グランド・セフト・オート」のイメージが強く出過ぎてしまっているとのこと。今回のL.A.ノワールは大きく方向性が変わっており、町並みやコスチュームなどの緻密な再現により、40年代のロサンゼルスの雰囲気と、タイトルの元にもなった1940年代から50年代にかけて作られた「フィルム・ノワール」と呼ばれる映画群のイメージを強く打ち出し、「ゲームの中に世界観を作り出すこと」を重視した作品となっています。


「フィルム・ノワール」とは、フランス語で「暗い映画」を意味し、アメリカで第二次大戦中から以後にかけて製作された犯罪映画を総称したものです。スタンリー・キューブリック「現金に体を張れ」や、キャロル・リード監督の「第三の男」などが代表作として挙げられ、いずれも人間の凶暴性や破滅、退廃が描かれており、第二次大戦後の不安な情勢を投影しているとも言われています。また、「大いなる眠り」などのハードボイルド小説で知られるレイモンド・チャンドラーの影響も強く受けているとのこと。

今回はお見せすることができませんが、海外のレビューでは「白黒モードがスゴイ!」という声が上がっています。L.A.ノワールには、フィルム・ノワールの雰囲気を際立たせるために画面を白黒にしてしまうモードが搭載されており、今回のプレイでもちょっとだけ見せてもらうことができましたが、非常に味わいのある映像になっています。


前作「レッド・デッド・リデンプション」は、開拓時代の西部という世界をゲームの中に作り、それをいわゆる「オープンワールド」にして、西部を自由に旅することができるようなゲームとして、ウェスタンの世界観を中心に作られたものでした。今回のL.A.ノワールは、前作の「ウェスタン」に対し、「フィルム・ノワール」を世界観の中心に据え、さまざまな映画や小説、そして史実をもとに作られていますが、ここでもロックスター・ゲームスの特徴である「膨大な調査に基づいたリアリティ」が生きています。


ロックスター・ゲームスとチーム・ボンディが、L.A.ノワールの開発において撮影した写真の点数は、調査・参照を目的としたものも含めて実に約18万枚。当時の映画用コスチュームを作っていた会社とも連携して、徹底的な実物の取材が行われています。また、当時は富裕層の間で自宅周辺の空中写真を撮影するのが流行していたそうで、L.A.ノワールの町並みはこうした40年代のロスの写真をもとに作られているとのこと。


ロックスター・ゲームスのこだわりは、建物や服飾にとどまらず、当時の世相にも及びます。ゲーム中に登場する事件の多くは、実際に起こった事件をもとにしており、開発の過程では、ロサンゼルスの大学などに保管されている当時の新聞記事をかき集めて再構成されているそうです。

主人公のフェルプス刑事は最初パトロール課に所属していますが、事件を解決し、それによって昇進していくことで、交通課、殺人課、風紀犯罪課、放火特捜課と所属する部署も変わり、部署によって遭遇する事件の規模も大がかりなものになっていきます。

ロスの街をパトロールするフェルプス。


現在では「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」として知られていますが、第二次大戦後、戦争で心に傷を負い、普通の生活になじめなかった帰還兵たちも多く存在し、現実にも猟奇的な殺人事件などが多発したそうです。

殺人課の時に展開される「赤い口紅殺人事件」は、現在も未解決の「ブラック・ダリア事件」をモチーフとしています。この事件の特徴は、犯人があえて被害者の所持品を警察に送るなど、警察を嘲笑するような自信に満ちた行為で捜査を翻弄している点。ジェイムズ・エルロイによって小説化、ブライアン・デ・パルマによって映画化もなされています。


予約特典となっている風紀犯罪課のシナリオ「裸の町」は、映画「The Naked City」をモデルとして、ニューヨークだった映画の舞台をロスに移して再構成されています。シナリオの一部を下のムービーから見ることができます。

YouTube - "THE NAKED CITY"初回特典追加シナリオ


風紀犯罪課のシナリオは、ハリウッドの闇に迫るような事件で構成されており、「フィルム・ノワール」の重要なファクターでもある「ファム・ファタール(運命の女)」も登場し、妻子ある真面目なフェルプス刑事も、ハリウッドのきらびやかな魅力に心を奪われてしまうシーンもあるようです。


L.A.ノワールは、フェルプス刑事が遭遇する各事件が、スムーズに進めばにひとつ1時間程度で終了し、それがいくつか連なって各部署のエピソードとなるという、海外ドラマのシリーズのような構成で作られています。

各事件は現場捜査と尋問を繰り返して事件の核心に近づいていき、時にマフィアや犯罪者たちとの銃撃戦をガンアクションで切り抜けるという流れで進みます。下のムービーはゲーム中の捜査と尋問のシーンをまとめたもの。実際の尋問の様子を見ることができます。

YouTube - 「L.A.ノワール」第2ゲームプレイビデオ「捜査と尋問」


この画面は英語版のものですが、左上に表示されているように、容疑者の証言に対し「信用する」「疑う」「反証する」のどれかからリアクションを選び、尋問を進めていきます。


表情から嘘を見抜くほかに、事前の現場捜査で証拠を入手しておけば、相手の嘘を反証し、一気に捜査を核心まで進めることができます。現場の証拠は、最初のシナリオでは重要なものだけが残されているなど簡単に見つけて関連づけることができますが、後半になると現場には意味の無いものや捜査を混乱させるものが並び、謎解きとしてもかなり解きごたえのある内容となっています。


こうして事件を進めていく中で、風紀犯罪課や放火特捜課まで進むと、主人公フェルプス刑事の従軍時代の戦友が登場し、フェルプス刑事が戦争で受けた心の傷の真相に迫っていくとともに、マフィアや政治家が絡んだ巨大なロスの闇と戦うことになり、ストーリーが大きな渦を巻いていくことになるそうです。


L.A.ノワールは既に海外では発売されており、海外の各ゲーム情報サイトがこぞってレビューしていますが、中でも大手ゲーム情報サイト「1UP.com」のレビューの結びは、非常に良くこのゲームの特性を表現しているように思われます。

L.A.ノワールについて、誇張した宣伝がされることもあるが、これは万人向けのゲームではないだろう。しかし、すべてのゲーマーがプレイするべきゲームであるとも感じている。これは、無数に登場している独創性の無いFPSやTPS、オープンワールドのたぐいとはまったく異なるゲームだ。ダシール・ハメットの小説や、「深夜の告白」のような古典映画でしか味わえなかった魅力が、そこにはある。(中略)もしL.A.ノワールを見過ごしてしまったら、きっと後悔することになるだろう。それは今日や明日のことではないかもしれないが、そう遠いことではないだろう。それも、これから残りのゲーム・ライフでずっと後悔するレベルの後悔だ。


開発の経緯を聞く中で、ロックスター・ゲームスが「ゲームの世界を広げる」ということに、非常に強い情熱を持って臨んでいるのを感じました。従来のゲームではなしえなかった表現を可能にするために、5年間をかけて「MotionScan」という新たな要素技術を開発して、新規タイトルでその要素を実装したゲームを世に出すというのは、現在の日本のゲーム業界から見るとかなりの離れ業のように思われます。

加えて特筆すべき点として、1UP.comも語っているように、古典映画やレイモンド・チャンドラーの小説でしか味わえなかったストーリーや雰囲気をゲームに取り込み、「大人も楽しめるゲーム」ではなく「大人が楽しめるゲーム」を本気で作り込んでいることが挙げられます。大作映画を越える開発費を投入されたゲームも現在では少なくありませんが、ストーリー、音楽、映像、表現力において、真正面から映画やドラマに迫り、追い越そうという姿勢を感じる作品というのは多くないのではないでしょうか。

L.A.ノワールは、その革新性と、重厚なエンターテイメントを追求する姿勢において、新たなフィールドに挑戦する意志を感じさせるゲームで、その意味で「万人向けではない、しかしあらゆるゲーマーがプレイすべきゲーム」という1UP.comの感想には強く共感できます。

日本語字幕版の発売は7月7日ですが、TSUTAYAやゲオ、Amazon.co.jpなどでそれぞれ特典として独自のアイテムが用意されているため、購入の際には注意が必要。後々ダウンロードコンテンツとして提供されるかどうかも現時点では未定とのことです。各店での追加特典は以下の通りで、いずれの店舗でも予約すれば追加シナリオ「裸の町」が手に入ります。

ゲオ:追加シナリオ「迷走する登録書」


Amazon.co.jp:体力回復速度アップアイテム「ブロデリックスーツ」


TSUTAYA:射撃能力アップアイテム「シャープシュータースーツ」


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in レビュー,   動画,   ゲーム,   広告, Posted by darkhorse_log

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