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なぜIKEAで余計なものを買ってしまうのかという秘密を解説した「誰がIKEAで買い物を楽しんでいるのか?」


IKEAに行くと、本来購入する予定ではなかったものまでついつい買ってしまいがちですが、なぜそのようなことが起きるのでしょうか?

その秘密を解説したのがこの「誰がIKEAで買い物を楽しんでいるのか?(Who enjoys shopping in IKEA?)」というムービー。これはもともとユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの講義としてUCLバーレット校で建築を教えているアラン・ペン教授が行ったもので、結論から言うとIKEAが採用している戦略は「Gruen Transfer」と呼ばれている手法で、これによってIKEAを訪れた人は意識を混乱させられ、本来欲しいわけではないものまで買ってしまうようになるわけです。

一体どういう店舗のデザインによって買う予定のないものを買わせることができるのかという秘密の中身は以下から。
YouTube - Who enjoys shopping in IKEA? (18 Jan 2011)


IKEAはどの店舗も同じようなレイアウトで、迷路のようなジグザグの構造をしており、これによって客の方向感覚を喪失させます。


しかしながらこの迷路は一本道になっており、中に入った人は基本的にこの1つのルートに沿って歩くことになります。


そしてこのルートはすべて強制的にあなたをショールームの中に誘導し、あなたの時間をさまざなま種類のショールームの中で使わせます。


ベッドルームであったりキッチンであったり、いろいろな種類のショールームがあり、それらの部屋を時間をかけて通過させることによって、強制的にそれらの商品を視界の中に映るようにし、あなたの無意識下に刷り込んでいきます。


これによって、実際に商品の置いてあるマーケットプレイスに到着する時点で、実際の商品を見るとショールームに展示されていたのと同じような「良いイメージ」を商品について持つようになり、あなたは衝動買いが許されたかのような感覚に陥り、目に見えている商品について「必要なものだ」と思い込みやすくなってしまい、ついつい余計なものを次々と買ってしまう、という仕組みです。


結果、IKEAで購入したものの6割は不必要なもの、つまり本当は買う気の無かったものになる、というわけです。

こうしてわかりにくくすることによって自分で自分を制する「自制心」を取り除くというのが戦略の基本であり、そのためにIKEAの店舗内デザインは2つの部分で構成されています。まず最初にショールームの中を強制的に通すことによって商品を実際に使うという「提案」を行います。


次に迷路のような店の中を歩かせることによって、実際に買いたいものを買うまでの「時間稼ぎ」をします。すぐに目的のものがどこにあるかがわかってしまうと、目的の本来買いたいものだけを買ってしまうので、できるだけ長い時間、店の中をうろうろさせます。


こうすることによって、「IKEAで欲しいものを買う」という状態について主従関係が逆転し、「IKEAが売りたいものを買う」というようにして、IKEAによって支配されてしまう、というわけです。自分が店舗内の厳密にはどこにいるのかがわからない状態にして、IKEAの設定したルートに沿って歩くように仕向け、これによって「IKEAに従う」という状態を作り出し、容易には逆らえなくなります。


結果、あなたがIKEAで買い物を楽しんでいるのではなく、「IKEAがあなたの買い物を楽しんでいる」ということになるわけです。

なお、IKEAの「Gruen Transfer」自体は搾取的手法ではありません。対象となっているのは購買力も判断力もある成人であり、客は全員、自ら望んでわざわざIKEAの店舗に足を運んでいるので、この手法自体には特に問題があるわけではなく、極めて緻密に店舗デザインがされた結果であり、むしろこれぐらいの努力をIKEAはしているのだ、ということになります。

ちなみに、このIKEAの店舗デザインによる「Gruen Transfer」戦略を回避するには、みんなが進んでいる方向とは逆方向、つまりショールームではなく商品の置いてあるところへ一番最初に行ってショートカットすればOKです。


この階段を上ってショールームに行くのではなく、IKEAに入ったらすぐに振り返って直行せよ、ということです。そうすることでIKEAの戦略から脱することができ、IKEAで買い物を頻繁にするエキスパートはこのことを知っているそうです。

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in 動画,   デザイン, Posted by darkhorse

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