ビジュアルアーツの誇る社内スタジオを見学してきた
ビジュアルアーツ本社へ行ってきたわけですが、ビジュアルアーツの特徴はその所属ブランド数の多さと、社内にあるスタジオ。大阪本社にはサウンドスタジオとボイススタジオの2つがあり、ビジュアルアーツ作品のサウンド面を支えています。
今回、この両方のスタジオの内部をじっくりと見せてもらいました。
◆4階サウンドスタジオ
ビジュアルアーツは社内に2つのスタジオを備えています。4階にあるのは歌などを収録する時にメインで使用するサウンドスタジオ。
取材の時にはミキサー室のコンソールはデスクの上に置かれていましたが、ちょうどこの時期にコンソールを収納してデスク面とフラットになる専用デスクが完成したとのことなので、今はもっと使いやすくなっているのかも。
スタジオは常に使用しているわけではないので貸し出そうと思えばできるらしいのですが、ここは開発室を通って来なければいけないという場所柄、難しいそうです。
Pro Tools用カスタムキーボード。
コレは……
悪気があるわけではなく、ケーブルを巻いておくのにちょうどよいサイズだったからだそうです。
二重扉の奥が録音ブース。
録音ブースからミキサー室をのぞむ。
音の余計な反響を防ぐため、使用していない譜面台にはカバーが掛けられていました。
ちなみにこの譜面台はどこから調達されたものかが不明という謎の品。6階にあるボイススタジオから持ってきたものでもないそうですが、「MF-1」というテープが貼ってあるのでどこかの備品なのでは……。
◆6階ボイススタジオ
6階にあるのはボイススタジオ、名前の通りゲーム用の音声を録音するスタジオです。ここは待合室的スペース。
ここがミキサー室。
奥が録音ブースです。
基本はデジタルデータでの録音ですが、バックアップとしてDVDにも録音してあるそうです。かつて録音時の機器設定ミスでデータが使えない状態になったとき、DVDに録音してあったおかげで再録音することなく済んだことがあるとのことで、二重の保険というのがいかに大事かわかります。
録音時はここに2名の監督者がついて作業を行います。
コレはビジュアルアーツの秘密兵器。通常の録音作業はどんどんセリフを入れていってもらい、あとでセリフごとになるよう失敗テイクをカットしたりしてデータを編集します。しかし、ビジュアルアーツでは完成したスクリプトをこの独自ソフトに読み込ませます。すると、セリフ1つごとにキューが入って録音が行われるので、録音し終えると同時に声とスクリプトとの関連づけが完了しているというわけ。しかも、失敗テイクがあってもそのセリフ一言だけを録り直してすぐに修正可能。
演じる声優さんからすると、セリフを1つ発するたびにキュー音(録音開始の合図)が入るわけなので、感情を込めた一連の演技なのに集中しづらいというのもあるかもしれませんが、制作側はコレのおかげで非常に助かっているとのこと。
画面左上に台詞番号が書いてありますが、トータルで2339個あり、「なっているんだ」という台詞は21番目ということを表しています。これはあくまで1キャラの台詞なので、これがさらに何人分もあることを考えると、いかに録音・編集作業が大変なのかというのがわかります。
ビジュアルアーツでは東京と大阪の社屋にそれぞれスタジオを持っていますが、3作品以上の録音が重なると外部スタジオへ行って録音する必要が出てきます。そんなときでもこのソフトは必ず持って行くのだそうです。最初は「独自のソフトですか…?」と怪訝な顔をしていたスタジオ関係者も、録音を終えるころには「いいソフトですね、うちでも使いたい」と言ってくるのだとか。
バージョン管理などはしていないそうですが、あまりにも細かく調整しているのでもしバージョンがあったら大変なことになっていそう。ちなみに、ビジュアルアーツ作品に特化したツールなので、これをそのまま他社に持ち込んでもきっとうまくはいかないだろうとのことで、また、外に向けて販売する予定も今のところはないそうです。
音声チェック用のヘッドホン。
このULTRASONEのHFI 780は都乃河勇人さんのもの。ちなみに、折戸伸治さんはHFI 680を愛用。
ミキサー室の天井はこのように波打っています。
これは平面が向かい合っていると音が反響してしまうからで、同様にブース壁面もかならず片方はカーテンで覆えるようになっています。
そこになぜか置かれているコスプレ衣装の山々。
これらはイベント時に使用するもので、社内の他の場所に空いているところがないためこうしてスタジオの片隅に置かれているのだそうです。ちなみにコレはリトルバスターズ!のもの。
扉の向こう、録音ブース内へと入ります。
CDドラマの収録なども行うことがあるということで、そこそこの広さがあるブース内。
ここに声優さんが座って音声収録を行うわけです。
手元で音量調節が可能になっています。
いろいろと機材が置いてあります。
マイクは防湿庫に。
必要なアイテムをスタッフが手作りしているところもあるそうで、たとえば以前の社屋では天井の吸音材は今のようにスポンジではなく、卵の空きパックをもらってきて貼り付けていたそうです。そういった雰囲気の名残が、このあたりにも……。
これは都乃河さんらがゴリゴリと穴を開けてつけたそうです。
ちなみにケーブルはこのようにつり下げて保管されていました。絡まりにくくて便利そうです。
社内にスタジオを完備しているというのもすごいですが、東京と大阪にスタジオがありながら、それでも埋まっていて外部に出すことがあるというのはブランドを多数抱えるビジュアルアーツならではの悩みでしょうか。
最後は普段は見られない倉庫、そして会議室へと進んでいきます。
ビジュアルアーツのお宝がいっぱいな倉庫と会議室
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