人体の冷凍保存を行う財団に対する内部告発の手記「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」の衝撃的な写真を公開
アメリカには人体の冷凍保存を行う団体が実在し、実際に70名以上もの遺体が冷凍保存されているそうですが、「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」はそうした団体のひとつである「アルコー延命財団」の犯罪行為を告発する過程を描いたノンフィクションの手記です。そこで暴露されている人体冷凍の写真や恐るべき実態はまさしく衝撃的と言っていいものでした。
人体冷凍を行う人々は「たとえ肉体が機能しなくなっても、脳さえ冷凍して保存しておけば、やがて科学が発達して未来に復活できる」という考えから、自分の肉体を冷凍保存しようとするそうです。
「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」に掲載された写真と内容の一部は以下から。注意:遺体写真や人体を冷凍している写真、手術中の写真なども含まれているので、ここから下は自己責任で閲覧して下さい!
『人体冷凍 不死販売財団の恐怖』(ラリー・ジョンソン,スコット・バルディガ,渡会 圭子)|講談社BOOK倶楽部
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000185969
著者であるラリー・ジョンソンは、ラスベガスで働く救急救命士でしたが、肉体の衰えを感じ、救命士としてのキャリア25年目にして転職を決意します。そうして転職した先が「アルコー延命財団」でした。下は著者が証拠探しのために患者保管室(アルコーでは遺体を患者と呼ぶ)にカメラを持って潜入していた際、同僚に発見されたものの、記念写真を撮ろうとしていると勘違いされてシャッターを切ってもらった時の写真。著者の顔が引きつっているのはそのため。
アリゾナ州フェニックス郊外のスコッツデールのアルコー延命財団本部。外見は周囲の建物と変わらないそうですが、内部の衛生状態は良くなかったと書かれています。床のタイルは灰色に汚れ、オフィスにはピザの空き箱が放置されていたとのこと。
アルコーでは「デュワー」と呼ばれる装置に冷凍した遺体が保管されているそうです。デュワー1機には人体が最大で4人分まで保管可能で、これらのデュワーは「患者保管室」に安置されているとのこと。(「遺体保管室」と呼ばないのは、アルコーでは保存する遺体を「生きている」と見なして「遺体」ではなく「患者」と呼ぶため)
これは冷凍保存のための施術を行う手術室。通常のベッドではなく、遺体用寝台が使用されているとのこと。冷凍保存を希望する人の多くは首から上だけの保存を希望するため、ここで頭部の切断手術を行い、血液と冷凍用薬剤を交換するそうです。
施術後の頭部は、寝台の隣に置かれた頭部保管ボックスに移され、ここで特殊な薬剤と液体窒素を注入されて凍結処理が施されるようです。
ロサンゼルスからスコッツデールまでレンタルしたトラックで運ばれてきた遺体のバッグを開けようとする著者(手前)。換気も冷房もしていないトラックで砂漠を越えて運ばれてきたため、遺体は悪臭を放っていたそうで、救命士歴25年の著者ですら顔を背けています。
首の切断作業。雇われた外科医が、ハンマーを使って半ば強引に骨にノミを打ち込んで切断したそうです。「首の骨どころか脊髄までばらばらになっていたのは間違いない」と著者は述べています。
最後は首を胴体からねじり取るようにして切り離していたとのこと。
切断直後。
冷凍保存される際、マイナス196度まで温度が急激に下がると、凍った脳にひびが入って割れてしまうため、頭骨に穴を開けてマイクを挿入し、脳にひびが入る音を測定しながら温度を調節していくそうです。これはそのマイクを挿入するために頭部にドリルで穴を開けているところ。
保管ボックスに安置された直後の頭部。この後、液体窒素を注入し、冷凍化していくそうです。
冷凍の準備ができた頭部。
マイクを挿入する手術の前に、運ばれてきた遺体の髪をそる様子。手術が行われた後、この遺体の胴体部分は、血まみれのガーゼや衣服、髪をそるのに使用したカミソリなどの汚物や廃棄物と一緒にバッグに詰め込まれ、葬儀業者に引き渡されそうになったとのこと。アルコーの衛生管理や廃棄物の処理は極めてずさんで、冷凍保存処理の過程で排出される生物学的に危険な薬品を、そのまま下水に捨てたり、トイレに流したりしていたと著者は語っています。
切断された頭部は、首の骨にフックが取り付けられ、逆さまにして「ニューロ・カン」という容器に収められるとのこと。
冷凍された頭部はこのように取り出されて「デュワー」に納められるようです。頭頂部についている金属は、頭部が転倒したり容器の底に張り付いたりしないようにするためのもので、アルコーに住み着いた猫のエサであるツナの缶が利用されていると書かれています。
年間打率4割6厘という驚異的な記録でアメリカ野球界史にその名を残すテッド・ウィリアムズも、その頭部をアルコーに保存されているひとりだそうです。彼の冷凍保存が実は彼自身望まなかったことである可能性に気づき、これを追求することで著者のラリーはアルコーとの対決を余儀なくされていったようです。
アメリカで遺体を冷凍保存すること自体は法に触れるものではありませんが、まだ生きている人間を冷凍してしまうようなことがあれば、それは当然犯罪と見なされます。テッド・ウィリアムズ事件のほかに、アルコーが実は生きた人間を冷凍保存して殺したのではないかという疑惑が持ち上がった「ドーラ・ケント事件」にも、ラリーは本書の中で触れています。
「われわれの患者を殺そうとするお前たちは死ぬ」という脅迫状。アルコーを告発したことにより、ラリーは狂信的なアルコー信奉者に命を狙われることになったそうです。
◆目次
プロローグ
主な登場人物
第1章 転機
第2章 スコッツデールへ
第3章 奇妙な同僚たち
第4章 冷凍戦争
第5章 人体冷凍の歴史
第6章 研究所の正体
第7章 深みへ
第8章 人体冷凍保存処置 ケース1
第9章 人体冷凍保存処置 ケース2
第10章 人体冷凍保存処置 ケース3
第11章 入会 A-2032
第12章 テッド・ウィリアムズの不幸な晩年
第13章 支払うか死ぬか
第14章 盗聴
第15章 殺人の証拠
第16章 発覚
第17章 葛藤
第18章 テッド・ウィリアムズ その後
第19章 ドーラ・ケント事件の深い闇
第20章 果てなき闘い
エピローグ
訳者あとがき
「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」ラリー・ジョンソン スコット・バルディガ著 渡会圭子訳
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