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カタルーニャ伝統の巨大な人間の塔「Castell」のムービー


カタルーニャ地方でお祭りなどの際に作られる人間の塔「Castell」(カタルーニャ語で「城」の意)は、18世紀末のタラゴナ近郊Valls発祥といわれる伝統文化。高いものでは10層にも達するという複雑な人間の塔はまさに「城」と呼ぶにふさわしく、勇気とチームワークの結晶です。フランコ政権下では長らく禁止されてきた経緯がありますが、フランコの没後民主主義に移行したスペインで「Castell」の伝統は復活をとげ、タラゴナでは2年に一度「Colla Castellera」と呼ばれるチームたちが人間の塔作りを競っています。

この「Castell」が先日11月16日にUNESCO世界無形文化遺産に登録されたそうです。というわけで、その驚異的な人間築城の様子の映像を紹介します。

詳細は以下から。Casteller on Vimeo


先日タラゴナで行われた2010年の大会の様子です。


「Casteller(築城人)」のユニフォームはチームカラーのシャツと白いパンツで、「Faixa」と呼ばれる黒い帯を腰に巻いています。


「Faixa」は人の背をのぼっていくときの手がかり・足がかりになるほか、巻いている本人にとっては背中を痛めるのを予防するサポーターにもなります。帯の長さは短いもので1.5m、長いものでは12mあり、通常下の層のCastellerほど長い帯を巻いているそうです。


人にケガをさせることを防ぐためと、バランスのとりやすさから、2段目から上のCastellerは通常はだしです。


会場を埋め尽くすCastellerたち。


チームで輪をつくって気合いを入れている、というようにも見えるかもしれませんが、実はこれはCastell作りの第一段階。数百人からなる「Pinya」と呼ばれる、塔の土台となる人々です。


数百人の「Pinya」はCastellの重みを支えるとともに、転落した人を受け止める役割もあります。


Pinyaは主に男性から成り、Castellのできを見極め、地面からCastell作りの指揮をとります。


下の方の階のCastellerは屈強な男性ばかりですが、それでも5人分、6人分の体重を肩で支えきれる時間には限界があります。2層目が安定したら3層目のCastellerがのぼり、3層目の上に4層目がのぼり、さらにその上へまた上の層のCastellerがのぼっていくというCastell作りは、段取りとスピードが勝負です。


あちこちでCastellが立っていきます。紫のシャツはテッラーサの「Colla Castellera Minyons de Terrassa」というチーム。


赤はCastell発祥の地Vallsの「Colla Joves Xiquets de Valls」、緑はVilafrancaの「Castellers de Vilafranca」というチーム。


ピンクは「Colla Vella dels Xiquets de Valls」という、こちらもやはりVallsのチームのようです。


青は「Castellers de la Vila de Gràcia」というチーム。Castellにはさまざまな形があり、例えば1層が4人から成る8層のCastellなら「Quatre de Vuit(4×8)」というように、基本的に「1階の人数×階数」でその呼び名が決まります。このCastellの場合はPinyaの上の2段目が4人ではなく「Folre」と呼ばれる大人数の土台なので、「Quatre de Vuit amb Folre」と呼ばれるようです。


上の方の階のCastellerは身軽な女性がほとんど。


最上部の3層は「Pom de dalt」と呼ばれ、ほとんどの場合子どもたちの役目です。


「Dosos」と呼ばれる2人の上に1番上のCasteller「Enxaneta」が立つのですが、Castellが完成したと認められるにはこのEnxanetaが片手を上げなければいけないため、Dososの2人の頭や肩の上に直接立ったのでは不安定です。そこで、Dososの2人をロックするように「Aixecador」と呼ばれる子どもが載り、Aixecadorの上にEnxanetaが載る、ということになっています。


一番上のEnxanetaもそれを支えるAlixecadorも、非常に勇気がいる重要な役割です。


Castellが完成すると、上の層の子どもから順番におりていきます。


するすると身軽に降りていき……


土台となるPinyaの人々の上を走っていきます。


お母さんのもとへ走っていたようです。


「Pom de dalt」の子どもたちはヘルメットをかぶっています。時には10m以上も転落することになるCastellerですが、死亡事故は意外と少なく、30年間で2件のみとなっています。落ちても受け止めてくれる人の海「Pinya」があるので、チアリーディングのリフトや運動会の組み体操などよりむしろ、転落時の死亡率は低いかもしれません。


とはいえ、やはりケガ人は多数出るもので、この大会も含め、お祭りなどでCastellが作られる際にも必ず救護の用意がされています。


こちらの男性は鼻血が出てしまったようです。


一番事故が起きやすいのがCastellの解体時。Enxanetaが片手を上げて完成が認められたあと上の段から順に1段ずつ降りていき、誰も転落することなく解体を終えると「Descarregat」と呼ばれるのですが、完成はしたものの解体時に塔が崩れた場合は「Carregat」と呼ばれます。Castellerたちはより高くより複雑な塔での「Descarregat」を目指すわけです。


崩れるときはあっという間。


こうした崩れ方の時には上から落ちる人より下の土台の方で負傷者が多そうな気もします。一番上の子どもが降りたあとに崩れるケースが多いようで、下の方の層で筋力の限界に達したCastellerも、子どもが無事降りるまでは何とかこらえようとするものなのかもしれません。


一番上の子ども「Enxaneta」は4本の指を立てて片手を上げるのですが、この4本指はカタルーニャの旗の4本線を象徴していると言われます。


このCastellは、完成したあと中心に1層1人ずつから成る塔を残した状態で周囲が降りていきます。


この塔は「Agulla(針)」と呼ばれ、例えば4人×8階の塔の中に1人×8階の塔が入っている場合は、「Quatre de Vuit amb Agulla」と呼ばれます。


Castellerとなるには「Força, equilibri, valor i seny(力とバランス、理性と勇気)」が必要と言われるのも納得の姿です。


ほかのチームのギャラリーも、かたずを飲んで見守ります。


1番上のEnxanetaの子どもから順に降りてきて、1人も転落することなく解体することができました。


緑のチーム「Castellers de Vilafranca」が優勝したようで、紙吹雪が舞います。


実にいい表情です。

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in メモ,   動画, Posted by darkhorse_log

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