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ダ・ヴィンチもピカソもウォーホルも、失読症だと絵がうまい?


知的能力や一般的な理解能力など異常がないにもかかわらず、文字の読み書きに著しい困難をおぼえるディスレクシア(失読症)は、子どもの12人に1人が抱えるといわれる学習障害の一種です。

たぐいまれなる絵画や彫刻の才能に恵まれた芸術家のなかにも、レオナルド・ダ・ヴィンチパブロ・ピカソオーギュスト・ロダンアンディ・ウォーホルなど、失読症だったと言われる芸術家は多数いますが、失読症であることが視覚芸術の分野では有利に働くかもしれないと示唆する研究結果が出ています。

詳細は以下から。Dyslexia, the DaVinci code for genius... Did Leonardo's 'word blindness' help him to be a master painter? | Mail Online

Learning and Individual Differences誌に掲載されたミドルセックス大学の心理学者たちの研究によると、失読症の男性は読み書きに問題のない男性と比べ、視空間能力が高いそうです。

これは、失読症の人々では言語的な困難を補うため空間認識能力が発達するのではないかと考えられるとのこと。研究を行ったNicola Brunswick博士は「失読症の人々は問題を解決しようというときに、しゃべる(人に聞く)ことではなく、考えたり行動したりすることで解決しようとする傾向があります。これも、空間認識能力の発達を助けることになっているかもしれません」と語っています。


41名の男女(うち約半数が失読症)を対象に行われた視空間能力のテストは、イギリスの郵便切手の女王の頭の向きを思い出す、カラーブロックを使って意匠を再現する、パソコンのスクリーン上の「ヴァーチャルタウン」で目的地にたどりつく、といったタスクを含み、失読症の男性はほとんどのテストで失読症でない男性と比べ高い成績をおさめたそうです。ただし、この傾向は女性の被験者では見られなかったとのこと。

三次元空間をすばやく正確に認知する能力は日常生活では地図を読んだり自動車を駐車したりといったスキルに結びつけられますが、絵を描いたり立体物をデザインする際にも非常に重要な能力です。目で見たりイメージした三次元の光景を二次元に描くことのできる画家や、イメージしたとおりに立体物を構築することができる彫刻家は、高い空間認識能力を持つはずです。

その一方で、オックスフォード大学192人の失読症の子どもを対象に行われた研究では、失読症の子ども、特に「PCSK6」という遺伝子に異常がある子どもでは、右手(利き手)が左手と比べ器用であるという利き手の優位性がより顕著だということが明らかになっています。これは、失読症にも関係する「脳の非対称性」によるものだと考えられるとのこと。

必ずしも失読症の人の左手がそうでない人と比べ不器用だというわけではなく、失読症の人の右手がそうでない人の右手と比べ器用というわけでもないのですが、ダ・ヴィンチやピカソなど、失読症でありかつ手先が器用であったと思われる芸術家では、この「脳の非対称性」もその才能を発揮することに何らかの形でつながっていたのかもしれません。


視覚芸術の分野に限らず、ベートーヴェンモーツァルトなどの音楽家、トーマス・エジソンマイケル・ファラデーなどの科学者、現代ではジョン・レノンスティーブ・ジョブズ、作家のジョン・アーヴィングからトム・クルーズウーピー・ゴールドバーグなどのハリウッドスターまで、さまざまな分野で失読症の人々が活躍しています。失読症の機序や失読症の人が持つさまざまな特質がさらに解明されれば、失読症による「ハンデ」を克服するとともに「ユニークさ」を生かすような教育ができるようになるのではないでしょうか。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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