大自然と現代アート作品が融合する秋の祭典「六甲ミーツアート 芸術散歩2010」フォトレポート vol.2
vol.1に引き続き、六甲山で行われている「六甲ミーツアート 芸術散歩2010」の作品を紹介していきます。
屋外での展示がほとんどのため、訪れた時間帯によって作品の見え方はかなり大きく変わります。中にはライトの強い光によって演出しているものもあるため、目的の作品がある場合はそれによって回るルートを変えてみてもいいかもしれません。
作品の写真と、夜の六甲山から見る夜景は以下から。六甲ミーツ・アート 芸術散歩2010
・会場全体
山崎龍一の「Culture-bound syndrome」。会場内のさまざまなところにこっそりと作品が置かれているので、それを探すのが楽しみな作品です。
入江早耶の「牛ソープ」。こちらも会場の各所トイレにそっと置かれているタイプの作品。牛乳石けんから掘り出したリアルな牛がずらりと並び、まるで牛舎の中から牛が顔を出しているかのような展示もありました。
・六甲山カンツリーハウス
イチハラヒロコの「刈る。」は、芝生を作者が常用しているタイポグラフィのアウトライン通りにその名の通り刈っています。かなりシンプルな作品ですが、制作にあたっては非常に緻密な図面が用いられるなどかなり苦労があったようです。
vol.1にも登場したのびアニキ(金子良)の作品、「手をあらわなくていいハウス」。ベッドや流し台などの日用品を使った泥遊びをして、自然と一体化させるインスタレーションを展開していくそうです。
会期中はインスタレーションの成長を見守るため、展覧会場に毎週末ごと出没して来場した鑑賞者たちと交流を図るそうなので、のびアニキの風貌やキャラが気になってしょうがない人は週末に行ってみると吉。
ポストには「野比」と「金子」両方の名字が書かれていました。
ハウスの中はえらいことになっています。確かにこれなら手を洗ってから家に入る必要はなさそうです。
テレビの中にはどこかで見たことのあるような部屋が……
谷山恭子の「ピクニック picnic」。さまざまな動物の形をしたシートが置かれていて、来場者が自由に使えるようになっている作品で、すでにいろんな人が作品の上で横になっていました。
これは「ばく」の形のシート。
色合いはキッチュで派手なのですが、ピクニック目的で来るお客さんや周囲の風景と見事に同化しています。
マスダマキコの「鳥の巣オルゴール」
オルゴールミュージアムにあった作品たちの仲間で、ボウリングの球を丸太でできたコースに転がして音を奏でます。
試しに自分でも転がしてみたのですが、やはり重ための音がしました。球はちゃんと戻ってくる構造になっているので何回も楽しめます。
KOSUGE1-16の「オルゴール式コートローラー Stripes」(※現在メンテナンス中で展示のみ、来場者が触れるようになるのは10月中旬だそうです)。こうやってガラガラ引くと、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」が流れるという場所柄を考えたら大歓迎されそうな仕組みになっています。
演奏方法の書かれたスコアボードが。イラストもかわいい。
これは別に作品ではないのですが、まるでそうだと見間違えてしまうそうなほどぽつねんと置かれていたので印象に残ったゴーカート中止のお知らせ。なぜあえて「中止」と書いたのか、そしてゴーカートを置いておくのかは分かりません。
今井紀彰の「ろっこうさん」
景色やモノに顔があるように見えた経験は誰しもあるかと思いますが、それを大がかりな目を野原に配置することで実現しています。この写真と、上の写真に写っている立て札の案内を見比べていると、ただの風景がだんだん大きな生き物に見えてくるかも……
開発好明の「暖冷蔵庫」
冷蔵庫と書かれた扉を開けると……
おびただしい数の冷蔵庫がずらりと並んで開け放たれています。一応断熱材がはられているのですが、そんなに極端に寒くはありませんでした。
逆サイドに回り込むと、そこには「暖蔵庫」という表示が。ちょっといやな予感がしながらも開けてみます。
すると先ほど正面から見た冷蔵庫の裏面がずらっと勢ぞろいしていて、確かにぬる~い空気が中に充ち満ちていて、やや焦げ臭いというか、機械のにおいがします……。しかし、見方によって物事はがらっと変わるんだということを表現しているようで少しはっとさせられました。
西村正徳の「メガメガホン=オオゴエのフキダシ」
「君はジャイアンの歌声を超えられるか!」というコピーとともに、遊び方が書いてあります。ジャイアンの歌声は阪神タイガースの試合の応援よりも大きいらしい……
ここで大声で叫ぶと大きさが測定され、何デシベルか表示されます。
・六甲ガーデンテラス
藤江竜太郎の「Red or White」。六甲ミーツ・アート「芸術散歩2010公募大賞」の大賞作品です。
風車が赤と白に塗り分けられていて、風向きによって一斉に赤になったり白になったり、鮮やかな動きを見せます。
2010年7月にできたばかりの自然体感展望台 六甲枝垂れと相まって、不思議な光景を作りだしていました。
國府理による「Upside Down Terrace」
天井に車を逆さにつり下げ、その中にナトリウムランプを設置、とても幻想的な光景を作り出しています。
帰りの道すがら、ケーブルカーの駅からはキレイな夜景が見えました。
到着時は明るくて気づかなかったのですが、森脇裕之の「atto people」はケーブルカー車内だけでなく、駅舎にもたくさん設置されていました。
帰りもケーブルカーに揺られます。
ちょっとだけ中から夜景が見えました。
別の車輌とすれ違う瞬間。暗闇に浮かぶレトロな車体に、銀河鉄道の夜を連想しました。
六甲ケーブル下駅にもひっそりと光る人型を発見しました。
塩川岳の「White jewels」。六甲にまつわる象徴的な形やイメージ (フォルム) をモチーフにした作品だそうです。
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