メモ

日本における児童虐待の件数が統計上過去最多を記録


大阪市西区2児虐待死事件西淀川区女児虐待死事件など、あまりにも陰惨で悲しくなる児童虐待事件が次々と報じられる中、平成22年度上半期における児童虐待の件数が過去最多件数を記録したことが明らかになりました。

諸外国と比較して日本は治安が良いというイメージが根強くありますが、今は治安の良さを誇るのではなく、家庭という閉じられた空間での安全を強化する必要が非常に高まっているように感じられます。

詳細は以下から。警察庁が8月6日付けで発表した統計資料「(PDFファイル)少年非行等の概要(平成22年上半期)」から、虐待件数の増加を見て取ることができます。各年度の上半期における児童虐待事件の検挙件数は、表に記載されている平成13年度以降ずっと増加しており、今年度も前年度に比べ15.3%増となっています。


虐待された児童が死に至った事件は18件と、前年度比では増加していますが、それ以前の年数と比較すると件数自体は少なくなっています。()内の数字はいわゆる無理心中を図ったケースの件数なのですが、近年はだんだんと減少していく傾向にあり、また[]内の新生児遺棄などの件数は以前よりもどんどん減少しています。つまり、児童が死に至るケースは少なくなっているものの、虐待として検挙されるケース自体は増加しているものと推測されます。


児童虐待で逮捕された保護者たちが、どのような罪状で逮捕されたかという統計内容。ほとんどの数値が横ばいの中、傷害致死を含む「傷害」のみがはっきりと増加しており、これまでは2ケタだった件数がついに3ケタに達しています。


被害児童の年齢別・性別の状況。過去をさかのぼってみても、1歳未満の児童に対する虐待が男女ともに最も多くなっています。性別の内訳は平成22年度のみの記載となっていますが、それを見てみると性別はほぼ半数ずつとなっているため、男女どちらかが虐待を受けやすいということはなさそうです。しかし、15歳以上においては女子の方が虐待を受ける人数が多く、これは男子であればこの年代になると力がついて暴力に対抗できるからだという考え方もできます。


上記統計の約1週間後となる8月12日に警察庁から発表された「(PDFファイル)平成21年中における少年の補導及び保護の概況」には、昨年平成21年度の段階で、児童虐待の統計を取り始めた平成11年以来、最多の虐待件数となっていたことが記載されています。今年度の通年虐待件数が減ることを祈るばかりですが、祈るだけでは当然事態の改善は望めないため、厚生労働大臣が児童相談所を視察するなどして、現状の把握に乗り出していますが、以下の記事でも相談所の人員の限界を超えた虐待件数があることがうかがえます。

児童相談所視察の厚労相「虐待のない社会に」 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

児童相談所では職員側から、「早朝、夜間、土日も対応し、職員1人あたり100件以上の事案を抱えているが、20~30件でないときめ細かい対応はできない」といった意見が出た。長妻厚労相は「指摘を踏まえて、虐待のない社会にしていきたい」と述べた。

また、大阪府の橋下徹知事は虐待に対する対策として、児童相談所への全国共通ダイヤルを現在の10ケタでは長すぎるとして、110番のように3ケタでダイヤルできるようにする要望書を厚生労働省に提出したそうです。
中日新聞:虐待通報ダイヤルを簡素に 橋下知事名で国に要望:社会(CHUNICHI Web)

要望書では、知事本人が聞いた府民からの声として「分かりにくく覚えにくい」と指摘。システム設定などで数十億円掛かるとされ、費用面がネックだが「国の借金残高900兆円の状況からすると、未来を担う子どもの命を救うための経費として、それほど大きなものとは感じません」と訴えている。

海外で日本の虐待について報じられた記事中には、虐待防止のために動いている木村まさみ弁護士のコメントに「法が家庭の事情に立ち入るべきではないという風潮が日本にはある」とあり、確かに家庭の事情というものは公的機関をはじめとした他人が踏み込みにくい雰囲気があるのも事実です。

しかし、近年は上に挙げたような厚労省の取り組みなどによって児童相談所への通報が増え、その結果として児童虐待の検挙数が増えて数字として顕在化してきただけではないか?という見方も可能です。必ずしも「最近の若者は子育てができない」といったようなあやふやな根拠による批判はできないと考えられます。

1番弱い立場にあり、本来保護すべき対象である子どもに対し、親などの保護者のうっぷんや不満がぶつけられ、いわば「はけ口」として機能させられてしまうのでは、いくら家の外が安全でもまったく意味がありません。児童虐待に対する対策ももちろん待たれるところですが、それ以外にも親となりうるすべての人たちに対する呼びかけや、社会情勢の改善が待たれるところです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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