鉛筆を「書く」以外の目的で使った斬新なアート
鉛筆は筆記具として、また画家のデッサン道具として古くから使われていますが、それをやや異なる視点で利用しているアートを紹介します。
細かい手仕事は想像するだけで神経が張り詰めてしまいそうですが、その出来はとても美しいものとなっています。
詳細は以下から。Pencil sculptures: miniature masterpieces carved into graphite by Dalton Ghetti - Telegraph
鉛筆を筆記具として使うのではなく、それ自体に彫刻を施したこの作品はDalton Ghetti氏の手によるもの。
学生時代は鉛筆の柄に友人の名を彫ってプレゼントし、彫刻の道に入ってからは大きな物を彫っていたDalton氏ですが、自分への挑戦のためにもっと小さな物に彫刻を施したいと考えるようになったそうです。そしてチョークなどさまざまな物で実験をしていった結果、鉛筆を彫ればいいのだと発見するに至ったのだそう。
この緻密な鉛筆の彫刻に使われているのは、カミソリの刃と縫い針、そして彫刻刀。拡大鏡は一切使わず、またどんなに求められても作品を売却したことはなく、友人に贈るにとどめているといいます。
ごつごつとした質感のイスの彫刻。
消しゴムつきの昔ながらの鉛筆が、とても神々しい雰囲気のオブジェになっています。
ただでさえ小さなボタンの側面に、制作日時を彫り込むほどの腕前には驚きます。
杯をかかげる手の彫刻。
作品1つにかける時間は平均数カ月、一番長く取り組んだ物に関しては2年半もかかったということです。
とがった鉛筆の先にはハンマーが。
大胆にも鉛筆の中をくりぬいています。
このつながった鎖をモチーフにした作品はもっとも苦心した作品だと言います。彼はこの作品を見た人が「鉛筆を2本使って作った物に違いない」と思い込むのを見るのがうれしいとのことでした。実際には1本の鉛筆から掘り出したということですが、にわかには信じられません。
これも似たような形状の、ハートが2つ絡み合ったオブジェ。
こちらはカギがつながっているデザイン。1本の黒鉛からくりぬくものがだんだん複雑な形状になっています。
本物そっくりなネジの彫刻。
半分フタの開いた郵便箱。
するどい刃が見事に表現されたのこぎり。現在、彼は2001年に起こったアメリカ同時多発テロ事件の被害者の追悼のため、2002年から毎日1つずつ作品を作成し、今では1時間で彫り上げてしまうほど制作スピードが上がっています。それらを合わせて大きな涙の形を作り出すということで、完成には10年ほどかかると見込んでいるとのことですが、完成が非常に楽しみです。
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