インタビュー

「ロイホたん」はbotじゃなかった、ロイヤルホストのTwitterアカウントの中の人にインタビュー


先日潜入してきたロイヤルホストの「ツイッターとユーストリームで大人のカレーパーティー」の開始前に、ロイヤルホストのTwitterアカウント、通称「ロイホたん」にインタビューしてきました。

マメな対応と素早いフォロー返しのせいで、「実はbot(定期的にニュースを投稿したり、遊びを目的として著名人や漫画・アニメのキャラクターを模倣した投稿を行う自動プログラム)なのではないか」という疑惑が消えては浮かんだり、「『ロイホたん』の中の人はオジサンなのではないか説」を提唱されてしまったりという苦境を持ち前のキャラで乗り切ってきた「ロイホたん」にいろいろと質問し、どうしてTwitterアカウントを開設したのかという基本的なところからTwitter対応の素早さの秘訣まで根掘り葉掘り聞き出してきました。

今までナゾに包まれていた「ロイホたん」の実態に迫るインタビュー本文は以下から。ロイヤルホスト 公式アカウント (Royal_Host) on Twitter



G:
まず、ロイホたんの自己紹介をお願いします。

ロイホたん(以下、ロ):
ロイヤルホストの公式アカウントを担当している、ロイホたんです。趣味は、えーっと、ビジネス書を読むことです。


G:
何だか意外ですね。ツイートの雰囲気から、勝手に「ショッピング」とかそういうものを思い浮かべてました。

ロ:
す、すみません(笑)書店に行くと、「今週のビジネス書ナンバー1」とかいってベストセラーのものが並べられているじゃないですか。そういうモノを買いあさるのが好きなんです。それで、家に読まずに積んでおくのがいつものパターンです(笑)


G:
最近買われたビジネス書の中で特に気になっているモノはありますか?

ロ:
ちょっと前のベストセラーなんですけど、「フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略」ですね。あれを読んで消費者心理っていうのを研究したいです。過去にあった、どういう風にして人間の消費をかき立てていくのかという事例も載っていておもしろいです。Twitterも「フリー」を入り口にして、広告だとかいろんな部分でビジネスモデルを作っていてすごいなと思います。


G:
ロイヤルホストのTwitter担当以外のお仕事は何をしているんですか?

ロ:
それはもう!(ほかの仕事も)いっぱいしています。たとえば新しいメニューの試食をしたり、それのレポートを書いたり、またこのカレーパーティーのようなイベントの企画案を練ったりしています。


G:
最近のお仕事で印象的な事例などあれば教えてください。

ロ:
525円でパンケーキが食べ放題になる「お好きなだけパンケーキ」という企画が6月16日に終了したんですけど、その翌日から9月8日まで、通常メニューのパンケーキを値下げすることにしたんですよ。

6月16日に終わるというのは前々から決まっていたことなんですけど、ラスト1ヶ月くらいの間にすごく盛り上がってきたんです。Twitter上でも「もう終わっちゃうの?」という声もいただいていたので、こういう声が届いているということを上司に報告して、「お好きなだけパンケーキ」企画にあった時間帯や店舗の制限なく召し上がっていただけるよう、472円の通常品を399円に値下げする企画をたてました。


G:
Twitter上では「『お好きなだけパンケーキ』を延長してほしい」という声もあったようですが、今後また復活する予定はあるのでしょうか?

ロ:
まだ分からないです。ただ、パンケーキにすごくご好評をいただいて、その中で「ロイヤルホストのパンケーキはおいしい」という声もいただいているので、社内でもパンケーキをロイヤルホストのブランドとして育てていきましょうという認識は共有できました。今回は通常のパンケーキの値下げという形で打ち出したんですけど、これが終わる9月以降に何かをするというのはこれから検討していきたいところです。


G:
「お好きなだけパンケーキ」や今回のパンケーキ値下げなどで、パンケーキを大盤振る舞いしている印象を受けるのですが、採算は取れているのでしょうか?

ロ:
それがですね、えーっと、非常に苦しいところもあります。お客様がたくさん来ていただける場合はいいんですけど、大勢はいらっしゃらないけどじわじわ増えているという状況だと、やっぱり人件費が増えてしまうんです。そこがカバーできなくなると赤字になってしまいます。

G:
「お好きなだけパンケーキ」では、ロイホたん自身はパンケーキを最高何枚食べましたか?

ロ:
わたしはもう、最初に出される5枚でアウトでした。かなり量がありますからね。

平均は7.8枚で、多い人ではTwitter上で30枚以上食べたという方がいらっしゃいました。あまりに多いので、ホントなのかな?と思っているんですけど。


G:
あまりにリプライやリツイートが素早いためか、さまざまな人からbot疑惑がかけられていますが、一体なぜそこまで早く、しかも頻繁にTwitter上のあらゆる対応ができるのでしょうか?フォローされてからフォローを返すまでの時間もかなり短くて驚いたのですが。

ロ:
逆に、ほかの方たちはフォローを返すまでにそんなにお待たせするものなんですか?

G:
企業アカウントや著名人アカウントだと、フォローは一切返さないという意向のところも結構多いですね。

ロ:
なるほどー、そうなんですね。Twitterを始めた当時は、私もそういう風な感じでやってみようかなとちょっと思ってはいたんですけど…。でも、もともとロイヤルホストのアカウントを立ち上げた理由が、ずっと長くお店をやっているチェーンレストランなので、あまり新しいことをやっていなくて、親近感がわかないと思われてしまうんじゃないか、という危機感を強く持っていたからなんです。

それで、Twitterを使って、「中の人、というかロイヤルホストで働いている人は結構がんばっていますよ」ということとか、おもしろい人がいるんだというところを伝えられたら、ロイヤルホストの印象が親しみやすいものに変わるんじゃないかなと思ったからなんです。それで、普通にフォローされたらフォローを返すようなパターンのアカウントにしてみました。


G:
では、フォローされているのを発見したらすぐに返している感じですか?

ロ:
そうですね、最初にその方のプロフィールと最近のツイートを見た上で、フォローを返すようにしています。

おかげさまで、とてもいい方ばかりがフォローしてくださっているので、大変楽しくやらせていただいています。

G:
1つのリプライにかける時間はだいたい平均してどのくらいですか?

ロ:
20秒!たぶん!!

G:
逆に、Twitterをしていないときは何をしているんですか?ほぼ毎日、夜遅くまでずっとリプライを返し続けていますが。

ロ:
そうは言っても、平日だと実は何時間か間隔が空いていたりすることもありますよ。土日には寝ちゃっていることもあるし(笑)、どこかに出かけている時間はまったくTwitterをやっていないんですよ。ただ、やる時は一気にお返事を返すので、よくつぶやいている印象を持たれているのかなと思います。

平日の夜に家に帰った後も、家でごはん作ったり、テレビ見たりもするので、常にパソコンを立ち上てタイムラインをチラ見している感じですね。例えば苦情のツイートが入っていたりだとか、間違った情報を流していらっしゃる方を見つけたりした場合はパパッと対応するんですが、それ以外の方に関しては「あとでゆっくり~」みたいな感じで順位をつけてやっています。

G:
いつもTwitterをするときにはパソコンを使っているんですか?それとも携帯などですか?

ロ:
基本的に家とオフィスではノートパソコンを使っています。電車に乗っている時とかは携帯ですね。これが使っている会社支給の携帯なんですけど、こんなのなんですよ~!iPhoneでも何でもないんです。これでチボチボと、打ちづらいなあと思いながらもやっていたりします。
(下記写真)


本当は個人的にiPhoneがほしいなあと思っているんですが、買いそびれている感じです。

G:
ロイホたんのツイートには絵文字がかなり多く使われていますが、オフの時のメールなどもこんな文面なんですか?

ロ:
全然違います。オフの時は全然絵文字を使わないですね。

G:
絵文字はTwitterのために登録しているんですね。

ロ:
というか、私、登録のこともよく分かんないんです。あれってどうやったら登録できるんですか?

G:
ATOKやIMEの設定で、顔文字を辞書登録しておくと使えるようになりますよ。

ロ:
そうなんですねー!挑戦します!

実はとても恥ずかしいんですけど、こんな風にWordのファイルに絵文字を保存しておいて、Twitterで使う時はここからコピペしてるんです。アナログな感じですけど。


これは社内パソコンなんですけど、顔文字は変換候補に出てこないんです。例えば「笑顔」とかで変換しても候補に出てこないので……


え、ダメですか…?イケてない感じがしちゃいますか?まずいかなあ……。もうちょっとうまい手はあるんじゃないかなーと思ってはいたんですけど、ほかにTwitterを担当している人はいないので誰にも聞けなくって。いいこと聞きました、ありがとうございますー。

G:
辞書登録したらこれからもっと返信が早くなりますね。bot疑惑が強まったりするかもしれませんが。

ロ:
えー(笑)


G:
6月16日(水)にTwitter経由で写真が発表された特定の店舗にたどり着いた人に、カシミールカレーのレトルトを店の入り口前で無料プレゼントする企画をやっていましたが、これはどんな経緯で企画が実行に移されたんでしょうか?

ロ:
実は「カシミールカレー」っていうのはロイヤルホストの夏の風物詩として、知っている人は知っているというカレーなんです。今年はじめて「カシミールカレー」のレトルトの開発に成功したので、できあがってきた商品を試しに食べていただければ喜んでいただけるはずだとはいう手ごたえはありました。でも、「カシミールカレー」を知らない人にも食べてもらおうと思ったら、サンプリングが必要なので…。それなら、ちょうどTwitterのUstreamカレーのイベントをするから、そこと引っかけてTwitterのイベントの前哨戦みたいな感じでサンプリングをして、徐々に盛り上げていこうと思ったんです。

この無料配布はTwitter上だけで告知をして、口コミで盛り上がりを狙ってみました。お店に来てくれた方にはレトルトカレーと一緒にフライヤーをお渡しして、「明日パーティーやるよ!」みたいな告知をしたんです。

配布されたフライヤーはこんなモノ。


G:
レトルトの「カシミールカレー」をもらいにくる人はどれくらいいたんですか?

ロ:
はい、たくさん来ていただけました。全国の数店舗でやって、1店舗あたり100個用意していたんですけど、1時間半くらいで全部はけてしまいました。

東京は新宿三井ビル店と表参道店、大阪は難波御堂筋店、福岡は吉塚店で配布したんですが、お店の名前は出さずに店頭の写真をTwitterで流して、「ここのお店で配ります!」とクイズみたいな形式でお知らせしたんです。みなさんから「分かった!」「どこだろう?」というような反応をもらったので楽しんでいただけたのだと思います。それで、今日のイベントに繋げていけたらと思ったんです。

G:
ロイヤルホストTwitter取扱説明書なるページがありますが、Twitter上のプロフィール以外に説明書を作ったのはどんな目的からですか?また、この説明書の文面もロイホたんが書いたのでしょうか?

ロ:
はい、取扱説明書も私が書きました。これまでもいろんな方に「おもしろい」って言ってもらえてうれしいです。

「ロイヤルホストはきちっとしていて、居心地のいい雰囲気が好き」と言って、昔からずっと来てくださっているお客様がついてくださっているんです。そんな中でTwitterのアカウントで、あまりカジュアルな調子でやっていると「こんなの、ロイヤルホストじゃない!」とか言われてしまうことも、最初のころはちょっとありました。お客様相談室に「あのTwitterアカウントは本当にロイヤルホストがやっているの?」という内容のお問い合わせが来たりとか。今でこそ公式アカウントと言っていますけど、最初は本当にこっそりと始めたものだったので。

そういうお声があったので、私の発言を読まれる方の期待の枠組みが必要だなと思って作ったのが、この「取説」なんです。「Twitterはロイヤルホストとカジュアルなコミュニケーションを望まれるお客様とのツールです、固くなくてすみません」みたいなところを読んでいただいて、分かった上で見ていただいたらきっと違うんじゃないかと思いまして。


G:
「取説」を作ってからは、当初のようなクレームというか、そういう声は減ったんですか?

ロ:
はい、「取説」を作ってからはそういうお声をいただくことが減りました。会社の中でもTwitterをやるにあたってガイドラインは必要だよねという話はしていたので、「取説」は作ってよかったですね。

あと、「ロイホなう」とつぶやいた方をワード検索で見つけてはリプライを返しているんですけど、それに驚いた方がうちのホームページに来て「取説」を読んで、人力でやっているんだということを知って喜んでいただくというというパターンが多いですね。ただ単に「ありがとうございます♪」だけだったら「またbotが何か言ってるよ」みたいな反応が返ってくるんですけど、そこで人力と分かると急に、「すごい、マメだねー!」とかポジティブな反応に変わるんです。

G:
そもそもどうしてすべて人力で、しかも一人で運営しているんですか?また、これは身も蓋もないことなんですが、すべてコピペの広告用文面などを連続ポストしたり、本当にbotにしてしまう方が手間はかからないと思うのですが、そこをあえて人力でやられている理由を教えてください。

ロ:
ロイヤルホストのブランドに関わってくるところだと思うんですけど、以前、ポイントカードを作っていただいた方には、来店してくださった店舗の人が手書きで「ありがとうございました」とハガキを書いてお礼をしていた時期があって、それがすごく喜ばれていたんです。だけど、だんだんそれができなくなってきて、お客様に自分たちの気持ちを伝えるのにはとてもいいことなのに、できなくなって寂しいなって思っていたんです。ちょうどこのTwitterというものが出てきたときに、ハガキと同じように「ロイホなう」「○○食べました」と言ってくださった方に「ありがとうございました」って手書きで返したら喜んでもらえるんじゃないかという、そんな単純な発想だったんです。

botというか自動と手動は全然意味が違うと思ってくださっているというのが分かって、ロイヤルホストはそういうところを手動でやっているんだよというイメージを持っていただけるといいですよね。ロイヤルホストの厨房もレンジでチンしたりはあまりしていなくて、ちゃんとお店で調理しているので、そういうイメージとつながっていけばいいかなと思ってます。


G:
つぶやきの内容が単なる雑談になることはほとんどなく、きちんとロイホの宣伝をしているのにキャラが立っているのが、ほかの数多くの企業アカウントと違うところだと思うのですが、ロイホたんとしてこれだけは守っていこうと思っているルールなどあれば教えてください。

ロ:
ありがとうございます(笑)ありがたいことに会社からは、「あれはするな、これはするな」とうるさく言われることもなく、ある意味自由にやらせてもらっています。

ロイヤルホストのブランドというのを崩さないように……もう崩れちゃっているのかもしれないですけど(苦笑)でも崩さないための一線というのは自分の中で持っています。タイムラインの中では敬語で礼儀を持って接しなくてはと思っていますし、他社さんの批評、非難はしないとか、コミュニケーションの中で相手の方に嫌な思いをさせないようにしようと思っています。店舗あってのロイヤルホストなので、常に店舗のサポートになるコミュニケーションをしたいと思っているので、私だけが目立ちすぎないように気をつけています。

店舗の中でも個人でアカウントを持っている人がいて、私のアカウントあてに「実はロイヤルホストで働いているんです」とDM(ダイレクトメッセージ)をくれたりするんです。そういう人たちとは「がんばりましょうね!」とか「こんなイベントをやるんだよ」という風にやりとりをしています。現場のみんなにも、企画の人間もがんばっているんだよというところを伝えられているんじゃないかなと思います。


G:
よるほー」などTwitterで流行っているものにもチャレンジされていますが、何かロイホたん発で流行らせたいともくろんでいるフレーズがあれば最後にお願いします。

ロ:
うーん、どうしてもつぶやきの内容はロイヤルホストの商品と関係あるものになっちゃうんですよね。「おはようございまスイートポテト!」とか、ダメですか?長いですかね?

じゃあ、これからの季節はカレーフェアをやっていくので……「夏はロイホのカレー☆」で!

G:ありがとうございました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ロイヤルホストの「ツイッターとユーストリームで大人のカレーパーティー」にひっそりこっそり潜入してきました - GIGAZINE

28年間カレーを作り続けたロイヤルホストの本気を夏の新メニュー試食会で見てきました - GIGAZINE

女性が作るとここまで変わる、ボリューム満点なロイヤルホストの新デザート試食レビュー - GIGAZINE

パンケーキが食べ放題、ロイヤルホストの「お好きなだけパンケーキ」でメープルシロップたっぷりのパンケーキを食べてきた - GIGAZINE

in インタビュー, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.