ソニーのゲーム事業が黒字化まであと一歩、新型PS3の製造原価は今一体どうなっているのか?
従来よりも薄型・軽量化した上に販売価格を1万円値下げするなど、思い切った戦略が功を奏して好調な売れ行きを見せているソニーのPS3ですが、その製造原価が調査会社によって明らかにされました。
PS3本体の販売価格が製造価格を下回る「逆ざや」の状態が続いたことなどを受けて、赤字が続いていたソニーのゲーム事業ですが、血のにじむようなコスト削減努力の結果もあって、ようやく黒字化まであと一歩というところにまで差し掛かっているようです。
詳細は以下から。
Sony Gets One Step Closer to Breakeven Point with Latest PlayStation 3 Design? - iSuppli
Appleの「iPhone」やGoogleの携帯電話向けOS「Android」を採用した世界初のスマートフォン「G1」などの製造原価を調査したことでも知られる調査会社「iSuppli」のレポートによると、新型PS3の製造にかかるコストは336.27ドル(約2万9750円)であることが明らかになったそうです。
これは新型PS3本体のアメリカでの販売価格である299ドル(約2万6450円)を37.27ドル(約3300円)上回るもので、依然として販売価格が製造価格を下回る「逆ざや」の状態が続いているとのこと。
新型PS3のコスト内訳。Blu-rayドライブが66ドル(約5840円)、グラフィックチップセット「RSX (Reality Synthesizer)」が45.82ドル(約4050円)、120GBのHDDが38ドル(約3360円)で、45nmプロセスで製造された新たなCellプロセッサは37.73ドル(約3340円)となっています。
なお、従来モデルのPS3は多数の部品が複雑に構成された製品となっていましたが、新型PS3は全体の部品構成の見直しによって単純化されているほか、部品点数を従来モデルの4048個から約2568個まで削減することでコストを抑えたそうです。
そして45nmプロセスで製造されたCellプロセッサ(従来は65nmプロセス)の導入により、本体の消費電力が抑えられた結果、電源にかかるコストや冷却にかかるコストも削減できるようになったため、従来のPS3(80GBモデル)では49.72ドル(約4400円)であった逆ざやを、新型では37.27ドル(約3300円)にまで縮めることに成功したとされており、今後部品の価格が下がり続けることなどを考慮すると、2010年には材料コストが著しく低下すると見込まれています。
8月にソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長 兼 グループCEOの平井一夫氏が、イギリスのTimes紙によるゲーム事業の戦略に関するインタビューにおいて、PS3本体が逆ざやとなっている状態について、「ソフトウェアや周辺機器を含めたトータルでは利益が出る状態になった」と回答していましたが、今回の調査結果によって明らかになった約3300円という逆ざやの額は、その回答を裏付ける形となりそうです。
ちなみに399ドルで販売されていた80GBモデルの逆ざやが49.72ドルであったということは、80GBモデルの製造原価は448.72ドル(約3万9700円)ということになりますが、新型PS3の製造原価が336.27ドル(約2万9750円)であることを考えると、トータルでは112.45ドル(約9950円)の製造コスト削減に成功したことになります。まさに血のにじむような努力の結果ですねこれは…。
2010年度にゲーム事業の黒字化を目指しているソニーであるだけに、PS3の製造コスト削減の行く末は今後を占う大きな要因となりそうです。
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