東京銀座に工場がある、「日本データテクノロジー」で、ハードディスクのデータ復旧現場を見学してきました
ハードディスクのデータが吹っ飛ぶというのは誰にとっても非常事態。慌てて業者を探したりもするのですが、データ復旧業界というのは不透明な部分が多く「物理障害の復旧技術はなく他社に外注する、仲介のような実態の業者」や「別の復旧業者が復旧させると信用が落ちるため、復旧できないよう破壊してから返却する業者」など悪質な業者の存在もあると聞きます。
そんなグレーなデータ復旧業界において「すべてを見せることで顧客に安心してもらいたい」という信条から唯一社内見学を実施しているオープンな会社日本データテクノロジーで、データ復旧の現場を見学させてもらい、業界一位の秘密やデータ復旧についてまことしやかにささやかれているうわさの真偽についてインタビューしてきました。
詳細は以下から。日本データテクノロジー
データ復旧サービスならデータ復旧.com
日本データテクノロジーが入っているのは銀座・並木通りにある東京朝日ビルディング。
各線銀座駅のほか、有楽町駅からも徒歩5分程度。アクセスの良い場所にあります。
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正面玄関から入ります。
日本データテクノロジーは3階。
エレベーターを降りて左手へ進むと、接客ルームの入り口があります。
受付は右手にあるこの電話で。
内線番号81番にかけ、予約時に伝えられた番号で「NZ03XXです」といった感じで伝えます。なぜ名前ではなく番号になっているかというと、社内でも個人の実名や法人の実名で取り扱わないようにすることによって、プライバシーを保護しているそうです。
情報セキュリティ基本方針や個人情報保護方針が明示してありました。
電話で受け付けを済ませたらこのロビーで待つことに。
4つある相談ルームのうちのひとつに通され、持ち込んだハードディスクの受け渡し・症状のヒアリングなどを行います。相談ルームは、「落ち着き」「調和」など部屋ごとのテーマに沿ったインテリアになっていて、完全防音になっているそうです。
■続いていよいよ復旧現場の工場見学へ
同じビルの同じフロア内、この廊下の左側が日本データテクノロジーのオフィスと工場とのこと。250坪あるそうです。
廊下の突き当たり左が入り口。他社の中には窓口が都心にあっても、実際の修理工場は郊外にあったりする場合があるのですが、日本データテクノロジーは同じフロアにあるので大幅に輸送時間も削減でき、最終的な復旧時間も短くなるというわけです。
このロックはなんと静脈認証。セキュリティに気をつけていることがよくわかります。
扉が開いている間に複数名入るということはできないようになっており、社員は一人一人認証して入っていきます。この後、「ここまでか!」というほど徹底したセキュリティチェックに驚かされることに。
中に入ると右手には警備員。見学者はここで記名します。
奥へ進むとロッカーと金属探知機が。
携帯電話やカメラなどはロッカーにしまっていきます。今回は取材ということで特別に申請してカメラを持ち込ませていただきましたが、通常の見学の場合は工場内の撮影はできません。
金属探知機をくぐる際には靴を脱ぎスリッパに履き替えるほか、腕時計・メタルフレームの眼鏡・金属バックルのベルトなども外します。同時多発テロ直後の空港なみに厳しいかもしれません。
ポケットの中身などで反応した場合、このように手持ちの金属探知機と目視により確認。常時2名いる警備員は社外より派遣された「第三者」であるという点も信頼性を高めます。
セキュリティチェックを終えると、インテリア誌にとりあげられたこともあるという開放的なオフィスへ。
社員の方はここで昼食をとることもあるそうです。
会議室もガラス張りで、誰がどこで何をしているのか一目でわかるようになっています。この見通しの良さがセキュリティにもつながります。
持ち込みや郵送で到着した機器が最初に受け付けられる「入庫機器確認」ゾーン。
ここで開封されます。作業服やサンダルはすべて静電気防止素材とのこと。
入庫してきたものと修理を終えて送り返される出庫物は一目でわかるように。青いカーペットは静電気防止加工がされています。
ラックに機器を置く際も通電しないトレーに載せます。
パソコン本体からHDDを取り出す作業。複数のパソコンの部品が交ざらないよう、この作業は1台のパソコンに対し1人の社員が始めから最後まで、一ヶ所でやります。
隣ではMacを分解していました。
「ディスク初期検査」ゾーン。ここで物理故障なのか論理故障なのかなどを検査します。
足元に大量のハードディスク。
周りを見渡すと、データ復旧用と思われるソフトウェアが多数見当たります。
その次に見えてくるのがこの「論理復旧エリア」です。
左の棚に載っているHDDは今まさに論理復旧中でした。
物理故障の場合はこの先のクリーンルームへ。
白衣・帽子・マスクで完全防備し、99.99%ホコリをとるというエアシャワーをくぐります。髪の毛が帽子の外に出ていないかどうか鏡でチェック。
エアシャワーの中へゴー。
今回は風が出ている様子がわかりやすいよう、帽子を手に持ってエアシャワーに入ってもらいました。動画は以下から。
YouTube - 「日本データテクノロジー」データ復旧のエアシャワー
クリーンルームは外から見学できます。
クリーンルームの足元は一部開いているのですが、ここからは常に排気されていて空気は入っていかないそうです。
天井にこういったフィルターユニットが設置されていて、上から浄化された空気を取り込み下から排気することで、常にホコリのない状態を保っているというわけ。
「部品保管エリア」もクリーンルームの中に。見たことないくらい大量のハードディスクが保管されていました。これ以外にもさらに地下の倉庫に1万台ほどHDDがあるとのこと。全部集めればGoogle並の数のハードディスクを持っているのではないでしょうか……。
見学時には5名ほどが物理復旧作業にあたっていました。
こんな感じ
ちょうどハードディスクを取り出す作業を見学することができました。一度分解して中身を確認し、さらに動作音もチェックしています。
YouTube - 「日本データテクノロジー」データ復旧の開封作業例
解体・組み立てに使うドライバーも各メーカーの規格にあわせて多数そろっています。
手首につながれているこの水色のコードは静電気を逃がすためのもの。
指先にはゴムサック。手袋より細かい作業がしやすいそうです。
ハードディスクのホコリ・汚れを取る綿棒。
クリーンルームの先には「特殊復旧エリア」
RAID復旧エリア
この奥はコールセンターになっています。
機器が最初に到着する「入庫機器確認」ゾーンからこのあたりまでのウォークスルーは以下。
YouTube - 「日本データテクノロジー」データ復旧工場見学のウォークスルー
ところで、このカラフルなボールが気になった人も多いのではないでしょうか?
モニターの右肩にあるボールはオレンジが「通話中」、緑が「受話可能」、紫が「対応中(通話中ではないが受話できない)」の意味があり、電話がかかってきたとき一目で誰にまわせばよいかわかるようになっているそうです。
左側にお団子のように積み重なっているボールはその日に電話を受けた各案件の中身と数をあらわし、大きな青が「緊急」、黄色が「持ち込み予定」、赤が「宅配での受付」となっています。このボールの数を見ても、一刻も早くデータを復元するために持ち込みをする人がかなり多いことがわかります。
確かに「データが消えた!」というのはユーザーにとっては非常事態。急患を受け付ける病院のように、土日祝休まず365日営業しており、持込みは毎日朝9:30~夜9:00まで受け付けているとのこと。復旧作業は手術のようなものと考えているため、インフォームド・コンセントのようにパソコン初心者にもわかりやすく丁寧に、カウンセリングや診断結果・作業内容の説明を行っているそうです。
ここまでの画像とムービーの内容はすべて誰でも事前に申し込めば見学が可能となっているわけですが、ここまでオープンな姿勢に徹する日本データテクノロジーとは一体どのような会社なのか、そして、実際にはどのようなケースが多いのか、業界のシェア一位の秘密は何なのか、他社との違いは何なのかなどをインタビューしてみました。
■素早い対応と短い復旧期間
GIGAZINE(以下G):お医者さん感覚、急患のように365日受け付ける、というのは「早さ」にもつながると思いますが、具体的にはデータ復旧にかかる期間はどれくらいなのでしょうか?
日本データテクノロジー(以下N):リードタイム(作業の着手から終了までに要する時間)の計測をしますと、ほぼ復旧は一日半で終わります。ただその一日半には夜間が入りますので、実質的には朝いただいた物はほとんど当日に返せるくらいのレベルですね。
G:それはほかの会社と比べてかなり早いような気がしますが……
N:競合調査なども行うのですが、他社さんに聞いた場合『それであれば三週間くらいかかります』……というのが一般的ですね。この業界は職人気質なところがあって、『これは難しいんだぞ』という感じで長い期間を提示する場合が多いのですが、我々に求められているのは素早い対応と短い復旧期間ですので。
G:データ復旧をやっている会社といっても、実は論理復旧しかやっていなくて物理故障は他社に外注するとか、実態は代理店のようなところも多いようなので、たらい回しにされて時間がかかるというようなこともあるのでは?
N:そうですね。海外に出したりする会社もありますが、うちの場合は銀座の自社内工場で全工程完了するので輸送時間・コストも短縮できます。国内なら北海道・沖縄であっても遅くても2日で到着しますし、輸送中の衝撃・事故のリスクも減ります。また、インドや中国にあるHDD復旧工場に送るわけではないので、情報漏えいの心配もなく安全です。
■最先端の技術で実質復旧率90%を実現
G:ホームページには国内や世界各国に技術顧問がいるとあったのですが、預かった機器を海外に出すことはないんですね。
N:海外の技術顧問というのは最先端のデータ復旧会社の方や半導体スペシャリスト、研究者などです。彼らを招いて勉強会を行っているほか、24時間オンラインで情報交換を行っているので、進歩が速いハードディスク業界についていけます。見たことがないような故障の事例でも海外だと経験・ナレッジがあったりしますし。
G:海外というとどのあたりが多いのですか?
N:ハードディスクの復旧業者はやはり中古ハードディスク市場が大きいアジアに多いのですが、最新の情報はヨーロッパやアメリカが強いですね。データ復旧の根幹は「リサイクル(もう一度動かす)」技術と「読み取る」技術なのですが、世界中数百社を見学した中でその技術が最先端なところ、かつ会社としても信頼できるところに技術顧問をお願いしています。日本も含めてアジア・アメリカ・ヨーロッパなど、五大陸全部に情報網があります。そのおかげで海外で買ったハードディスクや古いハードディスクでも、どこで製造・販売されてどういうファームウェアを使っているかがわかったり、そういった点も復旧率実質90%超えにつながっていると思いますね。
G:90%というのはすごいですね。
N:復旧率5~6割という会社さんがほとんどだと思いますが、他社で復旧できなかったといって持ち込まれたものでも5割は復旧できますね。自社でも復旧技術を開発しているのでその情報も生かせますし、世界中から色んな情報が入ってきて検証できるというのが強みです。世界に目を向けるといろんな事例があるので、情報がなければ「直らないだろう」と思うようなものでも実は復旧できるというケースは多いです。
G:90%というとほとんど直ってしまうような感じですが、逆に「これは直らない」という目安、復旧できなかった事例というのはありますか?
N:やはり傷がついているものが一番直りにくいですが、ハードディスクが傷付いても実は復旧できるということを知らずにあきらめてしまうのはもったいないですね。多くの会社さんはハードディスクに傷がついていた時点で「復旧不可」という診断結果を出しますが、我々は傷がついていない部分を読み出し、そこで整合をとることができれば復旧することは可能だと判断します。穴が開いているような場合もありますが、穴が開いているとさすがに復旧不可ですね。
■個人と法人の案件は半々、パソコン初心者にもわかりやすい解説で安心して任せられる
G:壊れてから修理に出すまでの経過時間というのは、復旧率に関係ありますか?
N:壊れてから持ち込まれるまでの経過時間はできるだけ短い方がいいです。物理故障の場合は使い続けていれば悪化しますし、論理故障の場合は上書きされてデータが消えてしまう場合もあります。一日でも一秒でも早ければ、微々たるものですが復旧率は高くなります。
G:おかしいなと思ったときは使い続けずにすぐに送ったほうが良いということですね。
N:そうですね。あと以前あった事例だと、HDDを分解して中のプラッター2枚を取り出してCDのケースに入れ、「1枚目」「2枚目」とラベルを貼って送ってきたお客さんもいらっしゃったのですが、プラッターを取り出した時点でさらにデータが破壊されるため、それは復旧できませんでした。やはり可能であればパソコン自体をそのまま送ってもらったほうがいいです。復旧も早くなりますし。
G:どういった事例が多いのでしょうか?
N:個人と法人がちょうど半々くらいなのですが、個人のお客様だとパソコンに弱い主婦層や高齢者層が多いです。80歳くらいのおばあさんもいらっしゃったり、年齢は幅広いですね。お子さんやお孫さんの写真・動画などを復旧されたいというケースが多いです。お客様にとってははかりしれない価値のある大切なデータですので、パソコン初心者にもわかりやすい説明を心がけています。法人では顧客データべースなどの復旧依頼が多いですね。
G:例えば警察だとか、行政、公共機関などからも依頼はあるのですか?
N:具体的には言えないのですが、官公庁からの案件も多いですね。日本を救ったと言われるくらいの規模のものも(笑)
G:日本を救った!それは言われてみたいですね。故障の原因などはどういったものが多いのでしょうか?
N:個人のお客様では経年劣化によるものが一番多いです。ハードディスクは消耗品という意識が個人のユーザーにはほとんど無く、パソコンを買い替えずに長く使っている方が多いので。法人の場合も劣化は多いです。法人様の場合は特に24時間連続で稼働している機器が多いため熱によるダメージが多く、休み明けに壊れていたというケースが多いですね。休み中エアコンがついていないので熱障害で壊れてしまうため、ゴールデンウィーク明けやお盆明けに復旧を依頼してくるケースが特に多く、その時期は人員を増やしたりもします。
■参入4年でデータ復旧業界最大手に
G:作業をしている人というのは、何名くらいいるのですか?
N:自社内工場で作業をしている者が20名ほどです。20名というのは復旧の手術をする医者にあたる技術者で、手術を手伝う看護婦にあたる者や接客・電話対応などの担当者も入れると100名以上の組織でやっています。
G:非常に大きいですね。この業界の中では。いつごろからある会社なのですか?
N:会社(インターネットオーナーズ)の中で「日本データテクノロジー」としてデータ復旧事業を始めたのは4年前です。
G:4年前に参入して業界一位というのはすごいですね。
N:データ復旧業界は、お客様からは非常に見えにくい業界です。本来B to Bの取引をする際は、取引先をHPだけでは選びませんよね。一度電話をして、その後、顔合わせをして、本当に信頼できるか、対話を行いそこから信頼が生まれてくるものだと考えています。更に、個人様でも法人様でも、復旧したいと思っているデータの価値は非常に高いので、お客様に耳を傾け、お客様の気持ちに素直に答えてきた結果、我々の行動がお客様に支持されたものだと思っています。
G:件数でいうとどれくらいですか?医者でいうと手術した回数というか、それが実績として一番説得力がある数字だと思うのですが。
N:そうですね。ここ直近の一年間で言いますと、一日約100件の問合せが有り、初期診断の件数ですと、年間約3万件程度を行っています。これだけの量を、我々は経験・ナレッジとして蓄積できていることは大きいですね。1日10件の会社の10倍の量ですから、他社で10年かかることが、うちでは1年で出来てしまうわけです。
■社内案内・社内見学を業界で唯一実施
G:銀座に工場があるというのは意外というか、非常に珍しいと思うのですが、どうして銀座に?
N:データ復旧事業を始める以前から銀座でやっていたのですが、ビジネスの中心地から近く交通の便がよいのですぐに持ち込んですぐに対応できるというのが利点ですね。他社さんだと郊外に大きな工場があるというのが普通ですが、お客様からしてみれば『そんな遠くまで行ってられるか』という感覚だと思うので。
G:持ち込みする方が復旧は早いのですか?
N:持ち込みの方が復旧は早いです。その時にヒアリングもできますので、持ち込んで来ていただくのが一番良いですね。それに個人のお客様がデータを預けるというのは、手帳を預けるような感覚に近いと思いますが、いろいろ書いてある個人の手帳を郵送して、何をされてるかわからない、誰がやっているかもわからない、という状態は怖いですよね。来ていただいて、すべてを見ていただいた方がお客様も安心されるというのもあります。
G:確かにそうですね。修理はすべて郵送で持ち込みは受け付けない、会社には来ないでくれ、という会社も多いですが、すべてを見せてくれるというのはお客さんの立場からすると『見られたくないことはやっていない』という安心感がありますね。
N:持ち込みのお客様には個人情報保護士が対応し、社内案内・社内見学も実施しています。社内見学を実施しているのは業界唯一ですね。
G:社内見学をされる方は多いのですか?
N:とても多いですね。持ち込んだお客様はほとんど見学されます。
■ISO27001やプライバシーマークも取得の完全なるセキュリティ対策
G:データ復旧という業務の性質上、見学者などが増えると情報漏えいなどのリスクが高まるということも考えられるのですが……
N:その点、セキュリティ対策は徹底していますね。ISO 27001/IMSやプライバシーマークも取得していて、高いセキュリティ意識を持った会社としてめざましテレビで紹介されたこともあります。
G:ISO 27001というとかなり基準が厳しいですよね。
N:プライバシーマークと両方持っているのは業界内で2~3社だと思います。工場の入出、物品の持ち込み・持ち出しには警備員を配し、大統領専用機である「エアフォース1」で使用している大統領警備と同等の金属探知機で徹底的に検査しています。
SDカードなどのわずかな金属にも反応し、更に驚きなのが、奥歯に埋めた金歯にも反応するようです。
■RAIDは得意分野、平均1~2日で復旧可能
G:あとホームページを見ると「RAID専門ダイヤル」などもあるのですが、RAIDのデータ復旧依頼は多いのですか?
N:RAIDの依頼は多いですね。DELL、HP、IBMなどの大手メーカーはもちろん、サードパーティの、バッファローやI-OデータなどのRAID機器に関しては経験・ナレッジ・マンパワーがあるので復旧率が高いうえ、早いです。RAIDの場合、他社さんだと普通は1ヶ月ほどかかったりするものが、平均1~2日で復旧できます。
G:それは早いですね。
N:RAIDは法人のお客様・重要なデータが多いので力を入れています。個人のお客様の場合、「明日必要」というデータはありませんが、法人だと明日や今日中にでも必要なデータというのがありますので。
G:具体的にはどういったケースが多いのでしょうか?RAIDは同じ時期に買ったハードディスクで組むので壊れるときは全部壊れると聞いたこともありますが……
N:たしかにRAIDでは購入時期が近いので複数のハードディスクが同時に壊れる場合も多いです。1つ壊れたあと修復せずに片肺飛行のような感じで負担がかかり、両方壊れて持ち込まれる場合も多いですね。
G:レベルとしてはどのあたりが多いのですか?
N:レベルとして件数が多いのはRAID 5ですね。5が壊れやすいというわけではなく、市場的に5が多いので当然復旧依頼も多くなります。RAID 3、4、6なども入ってきたことはあります。どちらかというとコントローラよりハードディスクの障害が多いですね。
■ハードディスク障害・データ復旧について気になることを聞いてみた
G:Googleなどのように10万台規模で各メーカーのハードディスクを持っていると故障しやすいメーカーや機種がわかってくるという話が以前あったのですが、修理する側も持ち込まれる件数から「このメーカーのこの機種は故障が多いな」というのがわかるのではないでしょうか?
N:確かに持ち込まれるのが多いメーカー・ロットなどもありますね。同じ型番であっても作った工場と出た時期で違うのですが、どこでいつ作られたものが壊れやすいという傾向はわかります。ただし2~3年前に販売されていたものが壊れて集まってくるので買う前に警告することはできないですね。買う側も製造工場や出荷時期まで指定して買うことはありませんし。
G:最新のものほど壊れやすいといううわさはよく聞くんですが、本当ですか?
N:故障率でいうと変わりません。最新のものでも一年で壊れるものもあれば10年もつものもあります。昔のものはソフトウェア部分が弱いのに対し、最近のは回転が速いので熱障害が多くなりますね。ハードディスクは放熱機能がないので、回転数が上がるほど熱くなりますから。
G:S.M.A.R.T.(スマート)値はあてになるのでしょうか?
N:ならないですね。ヒアリングの際に「スマート値はよかったんですが」というお客様もいらっしゃいます。
G:デフラグすればするほど壊れやすくなるというのは本当ですか?
N:確かにそういうことがありますが、デフラグしてハードディスクをすき間なく埋めるというのが問題なのではなく、デフラグ時にCPUとハードディスクに発生する熱が問題となります。デフラグ途中で壊れると復旧が難しくなるという弊害もあります。
G:デフラグをすることによって壊れやすい状態になるのではなく、デフラグ中は熱により壊れやすいということですね。デフラグ中に壊れると復旧率は低いのですか?
N:どの時点で壊れたかにもよりますが、デフラグ途中で壊れると復旧率は低いですね。個人のお客様でも起動速度にこだわる方などだと毎日デフラグされるというケースも多いのですが、今のハードディスクだとデフラグは月一度で充分だと思います。
G:ハードディスク障害を防ぐためのポイントというのはありますか?
N:やはり熱ですね。冷やすことで防げる障害が多いです。あとノートパソコンの場合は、例えば電車の手すりにぶつけてディスクがずれるなど、移動時の振動によって壊れる場合もあります。電源は切って移動した方が故障は少なくなります。iPodなども持ち込まれることがありますが、衝撃によって壊れたという場合が多いです。
G:失いたくない大切なデータを保存する場合、どの記録メディアがよいのでしょうか?
N:SSDなども復旧できる場合はありますが、メモリ系は一度の衝撃で一気に吹っ飛ぶというか、すべてが消えてしまう場合が多いので、SSDは速くて便利だが怖いという感覚はあります。個人的にはSSDは一時的な保管用で、データ保存ならハードディスク・DVDなどのメディアの方が安心ですね。長く保存したい場合はハードディスクをお薦めします。
ハードディスクのデータが消えたという際はホームページから問い合わせるか、電話の際に「ホームページを見た」と言うと初期診断が無料になり、データ復旧の料金は成功報酬制で直らなければ無料とのことなので、ひとまず相談してみるとよいかもしれません。
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