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フィルタリングソフトによって自分のサイトが違うカテゴリに分類されている場合、どうすればいいのか?


読者からのタレコミによると、11月中旬ぐらいから職場でGIGAZINEが閲覧できなくなっていたとのこと。どうやら各フィルタリングソフトや携帯電話キャリアで採用しているURLリストを提供しているネットスター社のカテゴリ分類が間違っているのが原因というのがわかってきました。

というわけで、自分のサイトがどのカテゴリに分類されているのかを確認し、もしもフィルタリングソフトによる規制が間違っている場合、どうすればいいのかをレポートします。


同じようにして困っている方の助けになれば幸いです。

2008/11/29 19:30、読者からフィルタリングソフト「インターセーフ」でのフィルタリング結果のスクリーンショットが届いたので追加&追記
■自分のサイトがどのカテゴリに分類されているかを調べる方法
カテゴリ分類のリストは各フィルタリングソフト会社によって多少の味付けがなされており、ビミョウに違っているのですが、元になっているリストはネットスター社が提供しているものです。自分のサイトがどのカテゴリに分類されているかは以下のサイトから調べることが可能です。

携帯フィルタリングのカテゴリ分類情報サイト|ネットスター株式会社
http://category.netstar-inc.com/

確認したいサイトのアドレスを入力して「調べる」をクリックするだけ


確認してみたところ、GIGAZINEは以前は「ニュース」だったのですが、今は「掲示板」に分類されていました……なんということでしょう。このカテゴリにあるサイトと言えば「2ちゃんねる」などの誰が見ても掲示板とわかるサイトばかりです。


なぜこんなことになっているのか、ネットスター社の「よくある質問」内にある「カテゴリ分類の確認について」というのを読んでみましょう。

当該サイトの内容を専任リサーチャーが実際に目視した上で、該当のサイトのカテゴリ分類が適切であるかの見直しを実施いたします。

NTTドコモKDDIソフトバンクモバイルウィルコムイー・モバイルの各社が採用しているのもこのリストなので、影響は甚大であり、一体どういうレベルの教育を受け、知識のある「専任リサーチャー」が実際に目視しているのか不安にならざるを得ません。また、「その収集・分類工程の品質と配信工程の信頼性が認められ、業界のデファクトスタンダードとして、国内全ての携帯電話事業者およびPHS事業者のフィルタリング(閲覧制限)サービスにURLリストを提供しています」とありますが、いい加減な分類にも程があります。フィルタリングソフトによる規制の妥当性うんぬんという議論がよくありますが、はっきり言ってそれ以前の問題です。

このようにして、元になるリストはネットスター社が提供しているものですが、各フィルタリングソフトやサービスによってもさらに再分類されていることがあり、たとえば5年連続でマーケットシェア1位を獲得している国産Webフィルタリングソフト「InterSafe(インターセーフ)」の場合、タレコミによるとGIGAZINEは「コメントのやり取りができる」ということでブログに分類され、「掲示板」として規制対象になっているそうです。


トラックバックがコメント扱いになるから掲示板だというのであれば、同じようにコメント機能が無くてトラックバックを受け付けている「ITmedia News」やトラックバックとコメントが可能な「CNET Japan」、トラックバック機能はないがコメント可能な「ITpro ニュース」も掲示板なのか?ということになるので、明らかに基準がおかしいようです。

なお、財団法人インターネット協会が管理している以下のページにおいて、日本語によるフィルタリングが可能な市販ソフトウェアやサービスがリスト形式でまとめられており、非常に便利です。

日本語フィルタリング
http://www.iajapan.org/rating/nihongo.html

■どのようなカテゴリがあるのかを調べる
カテゴリ分類が間違っていた場合、正しいカテゴリを再度申告しなければならないわけですが、そのためにはどのようなカテゴリがあるのかを知っておかなくてはなりません。事実上、フィルタリングソフトの規制リストを国内で作っている唯一の会社と言っても過言ではないネットスター社のカテゴリ一覧の場合は以下のようにかなり長いものになっています。

・不法
1. 違法と思われる行為:詐欺、痴漢、窃盗、殺人、強姦、売春など日本国内で違法となる行為に関する情報提供
2. 違法と思われる薬物:麻薬など、日本国内で違法となる薬物及びその利用を助長すると思われる各種の情報提供
3. 不適切な薬物利用:一般の薬物、処方箋が必要な薬物について、不適切な利用を助長すると思われる各種の情報提供

・主張
4. 軍事・テロ・過激派:軍事活動、テロリズム、急進的な変化を求め、過激、暴力的、恐喝的な直接行動を行うグループや個人
5. 武器・兵器:武器・兵器・刃物の入手、製造、販売、使用に関する各種の情報提供
6. 告発・中傷:一般的なマナーを守っていない一方的な表現や、主張・告発・誹謗・中傷の掲載
7. 自殺・家出:自殺の勧めや自殺の方法、家出に関する情報
8. 主張一般:サイト主宰者の主張の場としての情報提供一般

・アダルト
9. 性行為:性行為・性器の画像・動画を掲載・ダウンロード販売
10. ヌード画像:オールヌードやセミヌードの画像・動画の掲載・ダウンロード販売
11. 性風俗:性風俗店、アダルトグッズ、アダルトビデオ、アダルトゲームソフト、ラブホテル、撮影モデルなどに関する各種の情報提供
12. アダルト検索・リンク集:アダルト関連の検索エンジンやリンク集、ランキング集、ポータルサイト

・セキュリティ、プロキシ
13. ハッキング:パスワード盗用やコンピュータへの不正侵入、不正使用に関する情報提供
14. 不正コード配布:閲覧することでウイルスや不正侵入ツールなどを強制的にダウンロードさせるサイト
15. 公開プロキシ:公開プロキシサイト。利用方法やリストなど関連情報の提供
16. 検索キャッシュ:検索エンジンのキャッシュページ

・出会い
17. 出会い・異性紹介:異性と知り合うことを目的とした各種情報の提供
18. 結婚紹介:結婚を前提として異性と知り合うことを目的とした、結婚紹介所・結婚相談所などのサービスに関する各種情報の提供

・金融
19. 金融レート・投資アドバイス:株式、為替等、金融・投資についてのレートを表示、商品を紹介、投資についてのアドバイスを行うための各種情報提供
20. 投資商品の購入:投資商品をオンラインで購入・取引できるサイト
21. 保険商品の申込:生命保険・損害保険商品の申込サイト
22. 金融商品・サービス:銀行、信用組合、クレジット、消費者金融等による商品・サービスの紹介。残高照会や振込み、資料請求や申込が可能なサイト

・ギャンブル
23. ギャンブル一般:競輪、競馬、競艇、オートレースやカジノ、パチンコ、麻雀等、ギャンブルに関わる情報提供
24. 宝くじ・スポーツくじ:宝くじ、toto、ナンバーズなど日本国内の公的機関が発行するくじに関連した情報の提供

・ゲーム
25. オンラインゲーム:ブラウザを利用して楽しむ「オンラインゲーム」サイトや、オンラインゲーム攻略などの各種情報の提供
26. ゲーム一般:ゲームソフト・機器の販売やダウンロード、その他ゲーム全般についての各種情報の提供

・ショッピング
27. オークション:セリ形式により物品を購入するオークションサイト
28. 通信販売一般:各種物品をサイト上で購入申込可能なサイトまたは注文ページ
29. 不動産販売・賃貸:土地・家屋の販売、賃貸物件の情報提供
30. IT関連ショッピング:PC関連商品の販売

・コミュニケーション
31. ウェブチャット:ウェブ上のチャットサイト、チャットルーム
32. メッセンジャー:インスタントメッセージソフトウェアのダウンロードサービスを提供、その他関連する情報の提供
33. ウェブメール:ウェブ上でのメールの送受信サービスの提供、グリーティングサービスの提供
34. メールマガジン・ML:メールマガジンの登録・解除やメーリングリストサービスの提供
35. 掲示板:ウェブ上の掲示板サービス、ポータルサイトによるブログサービス、ソーシャルネットワークサービス
36. IT 掲示板:PC関連の話題を扱う掲示板サービス

・ダウンロード
37. ダウンロード:アイコンや壁紙等、プログラム以外の各種ファイルやデータがダウンロードできるサイト
38. プログラムダウンロード:各種プログラムがダウンロードできるサイト
39. ストレージサービス:有償・無償/共有・非共有に関わらずインターネット上のディスクスペース提供など、各種ストレージサービスの提供

・職探し
40. 転職・就職:転職・就職に関連する情報の提供、職員・社員・アルバイト等の募集や人材派遣登録ページ
41. キャリアアップ:資格の取得や語学力向上など、就職・転職に役立つという視点での各種情報の提供
42. サイドビジネス:副収入を目的とした各種情報の提供

・グロテスク
43. グロテスク:見せたくない(死体や排便等)ものや気持ちの悪いものに関する画像や文章

・話題
44. イベント:終了日の設定がある特定イベントに関する情報の提供
45. 話題:世間で急速に注目を集めている事柄や出来事に関する各種情報の提供

・成人嗜好
46. 娯楽誌:週刊誌やスポーツ新聞などでの芸能情報や各種娯楽情報の提供*10
47. 喫煙:タバコや関連製品の購入や利用を促進する情報の提供
48. 飲酒:飲酒を主目的としたレストラン、バー、居酒屋、スナック等の飲食店に関する情報の提供
49. アルコール製品:酒、ワイン、ビール等、未成年に禁止されている飲料製品の紹介や購入、飲酒を促進する情報の提供
50. 水着・下着・フェチ画像:水着・下着・レースクイーンなどセクシーさを強調する画像の掲載やグッズの販売、フェチをテーマにした各種画像や情報提供
51. 文章による性的表現:アダルトチャット・掲示板や官能小説など、画像は含まずに文章によって性的表現を行うサイト
52. コスプレ:画像、商品などコスプレ関連の情報の提供

・オカルト
53. オカルト:科学的に説明できない各種の超常現象に関する情報の提供

・ライフスタイル
54. 同性愛:ゲイ・レズビアン・トランスジェンダーの生活スタイルに関する各種情報の提供

・スポーツ
55. プロスポーツ:全国的な報道を伴うような各種プロスポーツおよび観戦に関する情報の提供
56. スポーツ一般:趣味のスポーツや地域スポーツに関する情報の提供、チーム紹介やチーム員募集など
57. レジャー:キャンプやサイクリング、スキー、ゴルフなどのアウトドアスポーツ、およびそれらを行う場所やフィールドに関する情報の提供

・旅行
58. 観光情報・旅行商品:観光や旅行商品に関わる情報の提供
59. 公的機関による観光情報:公的機関が運営している観光案内
60. 公共交通:鉄道・航空・バスなど公共交通機関に関する情報の提供
61. 宿泊施設:ホテル・旅館等宿泊施設に関わる情報の提供

・趣味
62. 音楽:音楽ファイルや動画データの閲覧やダウンロードが行えるサイトを含め、音楽に関する情報の提供
63. 占い:占いサービスを提供、占いに関する各種情報の提供
64. タレント・芸能人:タレント、芸能人についての公式サイト、ファンサイト、非公式サイト
65. 食事・グルメ:レストラン、ファーストフード、料理店など飲食に関わる情報の提供
66. 娯楽一般:映画、テレビ、劇場、書籍、雑誌やジョーク、遊園地、おもちゃなど娯楽に関する情報の提供

・宗教
67. 伝統的な宗教:キリスト教、仏教、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教、神道など、伝統的な宗教に関わる情報の提供
68. 宗教一般:伝統的宗教に分類されない宗教や、宗教全般に関する情報の提供、宗教を巡る議論・論争

・政治活動、政党
69. 政治活動・政党:政党・議員・それらの支援団体を含む、政治活動や政党に関わる情報の提供

・広告
70. 広告・バナー:オンライン広告を提供するサイト、広告自体を目的としたサイト・ページ
71. 懸賞:オンライン、オフラインによる懸賞やお得情報の申込や応募に関する情報の提供

・未承諾広告
72. 迷惑メールリンク:未承諾広告宣伝メールに記載されているURL

・ニュース
73. ニュース一般:一般的なニュース・新聞のサイト

これらの中で自分のサイトに本来当てはまるはずのカテゴリを見つけておきましょう。次のカテゴリ分類の誤りを訂正するのに必要です。なお、サイトのトップページとさらにそれ以下のページとでカテゴリが違っている場合もあるので、事前によく調べる必要性があります。

■正しいカテゴリを申告する
以下のページからカテゴリの訂正を依頼することが可能です。

「知らせる」カテゴリ登録の間違い等を連絡|ネットスター株式会社

サイトのアドレスを入力して、「調べる」をクリック


自分の名前、メールアドレス、正しいと思われるカテゴリ分類について、利用中のフィルタリングサービス、コメントを入力し、「確認」をクリックします。今回はカテゴリの分類間違いであることをコメントに書いておきました。


内容を確認し、「送信」をクリック


送信完了


これでおしまいです。メールアドレスを入力させられるので何かメールなどが来るのかと勘違いしがちですが、個別回答はもらえません。また、いつ反映されるのかも不明です。このあたり、もうちょっとどうにかならないのかと思わなくもないのですが、そういうシステムを作成して運営できないほどきっと大変なのでしょう。

■そもそも、一体どういう都合でこのような的はずれな分類が行われてしまうのか、ネットスター社に聞いてみた

今回、自分で実際にしてみてわかったのですが、URLリストのフィルタリングはかなりいい加減である可能性があるようです。そこで、ネットスター社の広報部広報課にいくつか電話で質問してみました。

Q:
GIGAZINEは以前は「ニュース」カテゴリだったのに「掲示板」カテゴリに誤分類されていましたが、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

A:
閲覧者が書き込みできるサイトの場合は「掲示板」に分類されます。

Q:
そのような掲示板的機能はGIGAZINEにはないのですが……?

A:
詳細は不明です。別途、確認しますので、よろしければお問い合わせフォームから問い合わせてください。

Q:
フィルタリングのアドレスは「専任リサーチャー」が実際に目視して確認しているとサイト上では明記されていますが、この「専任リサーチャー」というのは現在、何名ほどいるのですか?

A:
35名ほどいます。宮城県仙台市および中国・大連のURLリサーチセンターなどで働いています。カテゴリ分類を専門にしている者になりますね。

Q:
「専任リサーチャー」は何か資格を持った正社員が担当しているのですか?

A:
特に何か国家資格のようなモノがあるわけではありません。ページを目視して判断するという特殊な仕事なので、弊社の方で教育を施しています。契約形態については正社員以外にいろいろなものがあります。

Q:
今回のような誤分類によるネット上のフォームからの指摘というのは、毎日どれぐらい来るものなのでしょうか?

A:
数は不明ですが、ほかにも「このアドレスが登録されていない」という指摘は結構あります。

というわけで、どこで何がどうなってこのような間違い(正しいカテゴリから間違ったカテゴリへの分類)が起きたのかは結局のところ不明ですが、こういったURLリストの品質が妥当なレベルであるという前提で、いわゆる青少年ネット規制法(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)や携帯電話へのフィルタリングの適用を推進する各種運動職場からのネット利用の制限などが行われ、各フィルタリングソフトやサービスに対する影響が大きいだけに、もうちょっと規制される側のサイト管理者や運営者にとって利用しやすいシステムに改良して欲しいところです。URLリストの正確性が保証できない以上、最低限、サイト運営者が自主的に自サイトのカテゴリを申請できるような仕組みは必要なはずです。

ちなみに、青少年ネット規制法に対して、ネットスター社は「フィルタリングは情報を遮断する道具ではなく親権者に情報を管理してもらうための道具であるにもかかわらず、一律に情報を遮断することを想定してのフィルタリング強制は、フィルタリングの性格をゆがめるだけではなくフィルタリングそのものの発展を阻害するものに他ならない点でも問題があります」という見解をマイクロソフトやヤフー、楽天、ディー・エヌ・エーとともに出し、あくまでもフィルタリングは「遮断」して規制するためのものではないとしており、「フィルタリングですべて解決できる」と勘違いしてはいけないようです。ですが、実態として「フィルタリング」は「見せたくないものを見せないようにするためのもの」として新聞やテレビで報道されており、情報遮断の道具として人々に認知されて使われているケースが圧倒的に多いはず。そのため、このような言い分でどこまでURLリスト作成業者やサービス提供業者がその責任を回避できるのかは疑問が残るところです。

フィルタリングソフトによって自分のサイトが違うカテゴリに分類されており、その原因がこのようなURLリストにある場合、一体誰が最終的に責任を取るのでしょう?URLリストによる規制が死活問題となるようなサイトを運営しているのであれば、カテゴリ分類が変更されていないかどうかを定期的にチェックする必要性がありそうです。

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in レビュー,   取材,   ネットサービス, Posted by darkhorse

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