インタビュー

現代が3時間でわかる情報誌「ダカーポ」編集部に行ってきました


「現代が3時間でわかる情報誌」というキャッチコピーでおなじみの雑誌「ダカーポ」。誌面で取り上げるジャンルは、政治や経済から文学、あるいはサブカルチャーまでかなり幅広く、それらの情報がぎゅっとあのコンパクトな一冊に詰まっているのが特徴。GIGAZINEの読者でもダカーポ読者を兼ねている人がいるのではないでしょうか?

そんなわけで、今回はダカーポ編集部へのインタビュー記事です。というのも、ダカーポから取材を受けたもので……。ちなみにダカーポは今年で創刊25周年の長寿雑誌、やはり時代の荒波を乗り越えてここまで続いてきただけのことはあり、いろいろと面白い話を聞くことができました。
・マガジンハウス社内の様子
ダカーポ編集部の入っているビルの外観。ここの二階に編集部が入っています。ちなみにこれはマガジンハウスの第三別館。


本館はこちら。別館が三つということは、あわせて四つのビルがあることに…。



編集部の様子はこのような感じ。本棚には本がぎっしり詰まっています。


なぜかジャマイカの国旗が。


コピー機が鎮座しています。


フリードリンク。コップは前後にぐりぐりして取りましょう。


・そもそもダカーポはどういう企画で生まれたのか?

GIGAZINE(以下、Gと省略):
ダカーポという雑誌はどうやって誕生したのですか?

ダカーポ(以下、Dと省略):
月刊の『文藝春秋』が重いので、バラしてポケットに入れて読んでいる人かいると聞いたんですよ。ちょうどダカーポが創刊した頃は雑誌のグラビア化が進んでいたところで、情報をコンパクトにまとめた雑誌を作ろうということでスタートしたのがダカーポなんです。創刊号は特集は一本だけで、あとは記事のスクラップでした。雑誌のサブタイトルにある「現代が3時間でわかる」という通り、情報を整理して再編集したという感じでしたね。このサイズなら女性のハンドバックにも入るんですよ。そして今は25周年で600号を迎えつつあるところですね。

・毎月第1・第3水曜日発行というのは昔からなのか、どこかの時点で変わったのか。

G:
この当時からもう一ヶ月二回発行なんですね。

D:
最初からずっとです。基本的なスタイルも昔から変わっていません。漫画は別にして、語録などは今も全く同じです。レイアウトは多少変わっていますけれど。

G:
ダカーポは月二回発行なのですが、これはどうして月二回なのですか?

D:
当時、月二回が流行りだったんです。それと週刊誌だと周回遅れになってしまうし、月一回だとサイクルが遅すぎるんです。先週の週刊誌なんてだれも読みませんからね。情報を加工しているからどうしても出すタイミングが翌々週になってしまうとか、そういう事情もありますね。

・1981年11月創刊時のキャッチコピーは「現代そのものが圧縮されているリトルマガジン」、創刊25周年となる2006年のキャッチコピーは「現代が3時間でわかる情報誌」。これはどうやって決めたのか?

G:
このキャッチコピーはどういうタイミングで変わるんですか?

D:
編集長が替わったときに変えたければ変える、という感じですね。ロゴなども伝統的に編集長が考えることになっています。広告サイドからの意見はありますが、基本的には創刊時のコンセプトを大事にしています。

・編集部的にはどういうものを目指しているのか。

G:
ダカーポといえばかなり幅広く扱う雑誌ですが、時勢に合わせて新たなジャンルが出てきたら増やすのでしょうか?

D:
増やしますね。10年前なんかはIT系なんてありませんでした。ダカーポは提言して引っ張っていく雑誌ではないので、世の中の流れを見て、なぜそうなるのか、なぜ意見が異なるのか、差異を考えるのを一つの視点にしています。もう一つは情報が流れすぎているので、必要な情報だけを集めようということですね。

G:
それで「圧縮」とか「リトル」と名乗っているわけですね。本当にまとめている"雑誌"という感じですね。

D:
ある意味では"あんちょこ雑誌"というのか、大事な部分だけを取ろうと。今は情報があふれているので、ちょうどいいのかもしれませんね。昔は今よりリトルで84ページしかなかったのに、今は130ページ、特大号では162ページありますね。

・2006/10/18発売のダカーポは594号だが、600号には何か記念のイベントなどは?

G:
記念のイベントはするのですか?

D:
今考えているんではないでしょうか。もうじき次の編集長になるので、雑誌がビジネス志向になるとか。また新編集長に話を聞いてみて下さい。

・大体スタッフは全部で何人いるのか(記者、システム関連、デザイナー、バイト含む)

G:
このあたりからお決まりの質問になるのですが、スタッフは何名ぐらいいるのですか?

D:
社員が6人ですね。フリーはアルバイトなど全部入れて30人ぐらいですね。

・1日のおおまかな一般的スケジュールと、雑誌完成までの1ヶ月のスケジュール

ダカーポ・ボード。ホワイトボードでスケジュールが管理されているようです。


G:
月二回発行ということで普通の雑誌のスケジュールとは少し違うと思うのですが、どう時間を割り振っているんでしょうか?

D:
最初に取材や打ち合わせがあってまずレイアウト、そして入稿、校了ということで、かなり日数はかけてます。編集長が一ヶ月ぐらい前に担当を割り振ってそこから動いて一ヶ月後原稿を入れる、といった感じです。もちろん、それぞれが自主的にもっと前から構想を立てたりしています。

G:
一日の一般的スケジュールはどうなっているのですか?ある程度決まっているのか、それとも個人個人の裁量でしょうか。

D:
かなり自由裁量の部分が多いです。午前中から外回りしているとか、下調べしているとかですね。夜中もいつまでかかるかはわからないですし。仕事は裁量労働制ということになりますね。

・昼食などはどうしているのか?

G:
食事はここにいる時はどうしているのですか?

D:
社員食堂があります。昼は12時から14時、夜は17時半から19時半ぐらいにやっていて、そこで食べる人が多いですね。そこでなければこの近くで食べているようです。

G:
社員食堂にはどんなものがあるのですか?

D:
あそこにメニューが張ってありますが、結構バラエティに富んでます。マスコミ食堂選手権で2位か3位だったんですよ。本社の近くに3階建てであって、定食メニューが昼に3つあって、サラダバーとかもあって充実しているのでフリーの人も利用しているようです。

社員食堂のメニュー。


G:
そういう食堂がちゃんとしているというのはすごいですね。

D:創業当時、食堂はなかったんですが、深夜労働になるときは旅館をとって大きな飯びつを置いて食べてね、というふうにちゃんとしている会社だったので、伝統ですね。フリーやアルバイトもみんな昼夜無料で、昔は寮もあったからお金も貯まったかも知れないですね、今は寮はないけれど(笑)

G:
めちゃくちゃ充実してますね。そういう福利厚生がしっかりしているというのは会社の方針ですか?

D:
「ひもじい思いはさせないぞ」という創業者の思いがあるんでしょうね。福利厚生という概念ではなく、そういう雰囲気だったんです。

G:
食べるものには困らせない、と。すごいですね…

D:
印刷所の人も来たりして、関係者の利用も歓迎されています。役員も食べてたりしてますよ。食事代も、社員も社外の人も無料です。毎週水曜日の幕の内弁当が結構豪華で人気です。

・編集部の自慢

G:
会社にしっかりした食堂があるというのは自慢になりますが、それ以外にも何かありますか?ほかの編集部にこれは負けないというアピールポイントでもいいのですが。

D:
年齢の高さとか(笑)。ベテラン編集者が多いので、編集長がいろいろ言わなくてもお任せでできちゃうことですかね。編集者でも編集長経験者がいたりする。うちは機能職制度なので編集長が現場に出る場合もあります。基本的には全員参加、少数精鋭と言えば聞こえはいいけれど、何でもしなきゃいけない。新人は大変だと思いますが、ここにいる間に鍛えられます。

G:
わかりやすいといえばわかりやすいですね。

D:
あとは間口が広いことですね。企画の持ち込みや、イラストの持ち込みもできる、誰でも入ってこれる編集部。

G:
そんな編集部なかなかありませんから、非常に面白いですね。

・記事作成や取材で苦労したエピソードや伝説のエピソード

G:
これまで取材で苦労したエピソードなど何かありますか?

D:
取材を断られることがないんですよね。読者層が大学の先生や助教授、学校の先生、サラリーマンも中堅どころの20代や30代が多いので、取材相手がファンだとか青春時代に親しんだとかで、抵抗なくすんなり行くことが多いです。

G:
それはうらやましいですね。ダカーポは結構長寿雑誌の部類に入るんですが、ここまで残ってきたコツなどありますか?

D:
目立たないようにひっそりやってきたこと(笑)。小さいし、値段も安く、必要な情報を必要なだけ読みたいという時に存在感があったのかもしれないですね。あとは保存性が高いんじゃないでしょうか。買って読んで捨てる、ではなくて、しばらく後で取り出して読みたくなるんじゃないかな。

・想定している読者層

G:
ダカーポの読者はたくさんいると思うのですが、作り手が想定している読者層というのはどのあたりなのでしょうか?

D:
例えば女性雑誌なんか3歳刻みぐらいで、ものすごく狭い範囲を狙ってますよね。ダカーポの場合は年代層が幅広いので、知的好奇心とか、世の中のことをちゃんと知りたいとか、そういう人たちが対象になっています。具体的には高校生から80歳までという風に思って頂ければいいんじゃないでしょうか。今追求しているのは女性読者ですね。

・雑誌閲覧のコツ

G:
こういう読み方をして欲しいな、という読み方なんかはありますか?

D:
そういうのは特にないですね、読みたいところからぱっと開けてもらえば。例えば特集にひかれて買った人は特集から読めばいいし、読者様への注文はないですね。

・今後の方針

D:
25周年を期に、さらに時代感覚のある、反射神経のいい雑誌を目指してリニューアルすることになっています。具体的には、20代~30代のビジネスマン、ビジネスウーマンに役立つ情報を強化していきます。リニューアルは、12月6日発売の号で、新しい連載も多数用意しています。毎回、著名ジャーナリストが登場する「ジャーナリスト入門」、第1回は、田原総一朗さんが登場します。また、経済ジャーナリスト財部誠一氏の「ビジネス最前線レポート」、カラーページでヒット商品の開発の裏側に迫る「ダカーポ商品学」、その他、情報コラムのページもIT、マネー、AV、クルマなど、各分野の第1人者が最新事情を伝える形に変わります。これまで以上に、充実した誌面になるのは間違いありません。ぜひいちど、手に取ってご覧になってください。

*取材は10月に行いました。

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in インタビュー, Posted by logc_nt

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