「整理整頓のモチベーションを保ちため込まないように捨てる物を選ぶためのコツ」を研究者が解説
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世の中にはなかなか持ち物を捨てられず、一見すると不要そうな物までため込んでしまい、結果的に家の中がぐちゃぐちゃになりがちな人がいます。そんな物をため込みがちな人が整理整頓のモチベーションを保ち、捨てるべき物を選べるようになるコツについて、アメリカのミシシッピ州立大学で心理学助教を務めるメアリー・ドージャー氏が自身の研究に基づいて解説しています。
Decluttering can be stressful − a clinical psychologist explains how personal values can make it easier
https://theconversation.com/decluttering-can-be-stressful-a-clinical-psychologist-explains-how-personal-values-can-make-it-easier-247171
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臨床心理士の資格も持っているドージャー氏は、所有物を捨てることに困難を感じる「ためこみ症」の人々を研究してきました。ためこみ症が重篤なレベルに達すると、日常的な機能を損なうほどに家の中が物であふれかえり、ゴミ屋敷のようになって火災などのリスクも増してしまうとのこと。
長らくため込み症の背後には、「物を捨てるという意思決定に伴う苦痛」があると考えられてきました。つまり、「これは捨てていい」「これは捨ててはだめ」と判断することが苦痛なため、物を捨てられないままどんどんため込んでしまうというわけです。年齢が増加するほどため込み症の有病率が増加するのも、加齢に伴う実行機能の変化によるものではないかと指摘されていました。
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しかしドージャー氏らが発表した2020年に発表した研究では、意思決定に苦痛を覚えることがため込み症の原因ではないと示唆されています。この研究ではため込み症を持つ人々を対象に、「自宅から持ってきたさまざまなアイテムを捨てるかどうか、15分間にわたり判断してもらう」というタスクを行わせました。
その結果、被験者の年齢が高ければ高いほど、物を捨てるかどうか判断する際に感じるストレスが小さいことが判明。さらに多くの被験者、特に高齢の被験者は、物を仕分けする際にポジティブな感情を持っていることもわかりました。この研究結果からは、ため込み症の人は何かを捨てるかどうかを判断するのが苦痛だから物をため込んでいるのではなく、何か別のメカニズムが働いていることが示唆されています。
ドージャー氏らが2024年8月に発表した研究では、ため込み症を持つ50歳以上の人々がどのような性格を持っているのかを調査しました。その結果、ため込み症を患っている人々は一般的な人々と比較して、他人を助けたいと思う性格特性である「利他主義」のスコアが高いことがわかりました。
実際、ドージャー氏らが臨床研究を行ってきたため込み症の患者からも、「良い家に招かれた時に必要になる物だから」「おばあちゃんがくれた物だから」といった言葉はよく聞くとのこと。これは、人々が物を失うこと自体を恐れているのではなく、特定の物を持っていることが自分の価値観に合っているから持ち続けていることを示唆しています。
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ドージャー氏らが2024年に発表した別の研究では、ため込み症患者の「価値観」に基づいたアプローチで介入することで、高齢者が物を捨てるのを促し、喜びや満足感といったポジティブな感情を高められることが示されました。
この研究では臨床医がため込み症を持つ高齢者の家を週に1時間、6週間にわたって訪問し、そのたびに「動機づけ面接」というアプローチでため込みについて話し合いました。動機づけ面接では、患者の中にある矛盾した価値観や相反する感情を探し、その矛盾を解消することで行動を変えるように支援するとのこと。
ため込み症の患者はしばしば、「物がもたらす喜び」に焦点を当てるあまり、「物そのものが持つ意味や目的」について考えるのを忘れています。この研究では、物を持ち続けるか捨てるかを決める価値観を重視し、物を捨てる理由や生活への目標を引き出すことにより、ため込み症を改善することができたと報告されています。
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ドージャー氏は一連の研究結果から、ため込み症の人々が物を捨てられるようにする実践的なコツを解説しています。
1:まずは自分の価値観をかき出す
最初に、自分が物に関してどのような価値観を持っているのかを書き出し、家の中の物がその価値観に沿っているかどうかを判断できるようにします。たとえば、伝統が自分にとって重要な価値観なのであれば、古くから伝わるレシピをまとめた料理本を手元に置き、書店で気まぐれに手にした新しい料理本を手放しやすくなります。また、健康や創造性を重視しているのであれば、より多くの野菜を食べられる斬新なレシピをまとめた料理本を重視するかもしれません。
2:スペースを使うための一貫した目標を定義する
家の中のスペースは有限であるため、スペースを使う特定の価値観や目標を定義することで、整理整頓のモチベーションを保つことができます。たとえば仕事の効率性を重視するのであれば、デスクの上をすっきりと片付けて作業スペースを確保できるようにするべきです。もし家族で一緒に料理したいのであれば、キッチンカウンターに複数人が入れるように整理整頓をした方がいいというわけです。
3:物とスペースの価値観が対立した場合、スペースを優先する
時には物についての価値観と、スペースに対する価値観が対立することもあります。その場合、「この物を手放した場合、自分が求めるスペースに近づくだろうか?」と考えることをドージャー氏はオススメしています。
なお、一連の価値観はすべて主観的なものであり、人それぞれ大事にする価値観は異なります。もし親戚や大事な人の片付けを手伝う場合、その人には固有の価値観があることを忘れないようにすると、相手にとって大切な物に対して「こんなガラクタ捨てちゃえばいいのに」などと言って険悪になるのを避けられるかもしれません。
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