Metaの原子力AIデータセンター計画が「ハチ」によって阻止される
Metaが計画していた、原子力発電で稼働するAIデータセンター建設プロジェクトが、予定地に希少なハチが生息していることが判明したのを原因に頓挫していたことが報じられました。
Meta’s plan for nuclear-powered AI data centre thwarted by rare bees
https://www.ft.com/content/ed602e09-6c40-4979-aff9-7453ee28406a
Meta’s nuclear datacenter plan reportedly stung by bees • The Register
https://www.theregister.com/2024/11/04/meta_ai_datacenter_bee/
経済紙・Financial Timesによると、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは2024年10月末ごろに開かれた全社会議で、従業員に「建設予定地で希少種のハチが発見されたことがデータセンター計画の中止の一因になりました」と話したとのこと。
MetaのAIテクノロジーを支える新しいデータセンターに排出ガスゼロの電力を供給するため、ザッカーバーグCEOは原子力発電所運営会社と契約を結ぶことを予定していましたが、環境や規制上の課題などの複雑な問題に直面していると、事情に詳しい関係者2人は話しました。
データセンターの建設予定地の位置や、希少種のハチの具体的な種類は記事作成時点では不明です。
森林破壊や地球温暖化、農薬、人工光による光害などで世界的に昆虫が減少していますが、中でもハチは花粉媒介者として植物の繁殖や農業に欠かせない存在です。
2024年の研究では、花粉媒介者の減少の影響がコーヒーやリンゴなど身近な農作物にも及ぶことが明らかになりました。
コーヒーやリンゴを含む地球の食用作物のうち約60%は「花粉を媒介する昆虫不足」の悪影響を受けている - GIGAZINE
生態系を支えるハチを保護するため、クリーンエネルギー研究団体であるElectric Power Research Institute(EPRI)は2018年に、ハチやチョウなどの花粉媒介者との共存を奨励する取り組みであるPower-in Pollinators Initiativeを立ち上げました。
その一方で、AIクエリ1つあたりのエネルギー消費量はGoogle検索の最大10倍に上ると見積もられており、大手AI企業らは温室効果ガスの排出量を抑えつつ急増する電力需要を賄うための方策として原子力に注目しています。
Financial Timesに情報を提供した2人の関係者によると、ザッカーバーグCEOは全社会議で、「原子力発電所運営会社との契約が実現していれば、Metaは原子力発電によりAIを活用する初の大手IT企業となり、データセンターに電力を供給するものとしては世界最大の原子力発電所の所有者となっていたでしょう」と話していたとのこと。
また、そのうち1人はアメリカでは原子力発電の設置が困難なことにザッカーバーグCEOが不満を抱いている一方、中国は原子力発電に積極的だと語っています。
Financial Timesは「中国は急速に原子炉を建設しているようですが、アメリカで過去20年間に稼働を開始した原子炉はほんの一握りに過ぎません」と指摘しました。
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