メモ

仮想通貨取引所のCoinbaseに対し「ビットコイン以外すべての仮想通貨の取引禁止」を証券取引委員会が要求していたことが判明


2023年6月、アメリカにおける証券取引を監督するアメリカ証券取引委員会(SEC)が、仮想通貨取引所のCoinbaseを「アメリカ国内に未登録の取引所を設置していた」として告訴しました。経済紙のフィナンシャル・タイムズの報道によると、SECはCoinbaseを告訴する前に「ビットコインを除く全仮想通貨の取引停止」を要求していたとのことです。

SEC asked Coinbase to halt trading in everything except bitcoin, CEO says | Financial Times
https://www.ft.com/content/1f873dd5-df8f-4cfc-bb21-ef83ed11fb4d


SEC asked Coinbase to trade only in bitcoin before suing crypto exchange -FT | Reuters
https://jp.reuters.com/article/usa-sec-coinbase-idCAKBN2ZB05Y

仮想通貨は近年になって成長した新興技術であるため、長らく専門の規制当局が定まっていませんでした。ところが、近年は仮想通貨取引の規制にSECやアメリカ商品先物取引委員会(CFTC)が競うように乗り出しており、大手仮想通貨取引所のBinance2023年3月にCFTCから6月にはSECから告訴されています。

アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置く仮想通貨取引所のCoinbaseも規制当局の取り締まりを受けており、2023年6月にSECから「アメリカ国内に未登録の取引所を設置していた」として告訴されました。

アメリカ証券取引委員会が仮想通貨取引所「Coinbase」を「未登録で仮想通貨を販売した」として訴える - GIGAZINE


SECは、取引所で扱われている仮想通貨はSECの規制対象となる「有価証券」に相当するとして、仮想通貨取引所の監督権が自らにあると主張しています。これに対しCoinbaseのブライアン・アームストロングCEOは、「SECはCoinebaseの事業を精査済みで、2021年に上場を許可しています」「Coinebaseは有価証券を扱っていません」「SECと先物取引委員会(CFTC)が矛盾した意見を表明しており、何が有価証券なのか明確な結論が出ていません」と述べ、Coinebaseが証券取引法に違反していないことをアピールしています。

Regarding the SEC complaint against us today, we're proud to represent the industry in court to finally get some clarity around crypto rules.

Remember:
1. The SEC reviewed our business and allowed us to become a public company in 2021.
2. There is no path to "come in and…

— Brian Armstrong ????️ (@brian_armstrong)


アームストロング氏はフィナンシャル・タイムズに対し、SECはCoinbaseを告訴する前に「ビットコインを除く全仮想通貨の取引停止」を要求したことを明かしました。アームストロング氏は、「彼らは私たちのところに戻ってきて、こう言いました……『ビットコイン以外すべての資産は証券であると信じています』と。それは私たちの法解釈とは異なっていたので、なぜそのような結論になるのかと尋ねました。彼らは、自分たちはその理由について説明するつもりはないと述べ、そしてCoinbaseがビットコイン以外の仮想通貨取引を停止する必要があると伝えました」と述べています。


ここでCoinbaseがビットコイン以外の仮想通貨の取引停止に同意していれば、「SECは証券取引所として登録していない仮想通貨ビジネスの大半を法律外の部分で規制できる」という前例を作れた可能性があるとフィナンシャル・タイムズは指摘。しかし、アームストロング氏らはこの要求を拒否し、SECの告訴につながったというわけです。

アームストロング氏は、「その時点で、私たちにはビットコイン以外の仮想通貨の取引停止という選択肢はありませんでした。これは法律で定められていることではなく、実質的にアメリカにおける仮想通貨業界の終わりを意味するものだったのです。これは簡単な選択でした……裁判所に持ち込み、裁判所がどう言うかを見極めるという選択です」と述べました。


なお、SECはフィナンシャル・タイムズの問い合せに対し、「ビットコイン以外の仮想通貨取引の停止」は執行部門による正式な要求ではないと指摘。「調査の過程において、スタッフは証券取引法の下で委員会に疑問を投げかける可能性のある行為について、独自の見解を相手と共有することがあります」と述べ、要求があったとしてもそれは調査員の一存だったと主張しています。

仮想通貨が証券として認められた場合、仮想通貨取引所を含む業界には従来よりはるかに厳しいコンプライアンス基準が設けられます。しかし、仮想通貨業界の中には「仮想通貨は証券ではない」という前提でビジネスモデルを構築した企業も多く、もし仮想通貨は証券だという判断が下った場合、多くの企業が操業停止に追い込まれるだろうとみられています。

フィナンシャル・タイムズは、Coinbaseがビットコイン以外すべての仮想通貨取引を停止することが業界に及ぼす影響についてSECにコメントを求めましたが、SECは回答を拒否したとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
X(旧Twitter)が「マスク氏の買収後Twitterでヘイトスピーチが急増している」と指摘した非営利団体に訴訟をちらつかせる - GIGAZINE

アメリカ証券取引委員会が仮想通貨取引所「Coinbase」を「未登録で仮想通貨を販売した」として訴える - GIGAZINE

規制当局からの訴訟に直面している仮想通貨取引所のBinanceで上級幹部が複数辞任したことが報じられる - GIGAZINE

仮想通貨取引所のBinanceが証券取引委員会から訴えられる、「未登録で仮想通貨を販売した」などの疑い - GIGAZINE

「自称ビットコイン発明者による数十兆円訴訟」から開発者を守るべくTwitter創業者のビットコイン開発者補助基金「Bitcoin Legal Defense Fund」が鋭意活動中 - GIGAZINE

「中国政府の規制回避方法」を世界最大の仮想通貨取引所「Binance」が中国人ユーザーに指南している - GIGAZINE

仮想通貨に特化した「シグネチャー銀行」が規制当局によって閉鎖される、1週間で3行が立て続けに閉鎖する事態に - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.